補助金比較図
室谷さん、うちの取材でも最近「海外に出たい」という徳島の経営者さんに会うことが多くて。でも補助金って種類が多すぎてどれを使えばいいかわからないって声もよく聞くんですよね。
あー、それはほんとうに多いですよ(笑)。徳島県の場合、国の制度だけでも十数種類あるし、県独自の制度や四国経済産業局の制度まで含めると全部で159件もあるので。最初に「どんな目的で海外に出たいのか」から整理するのが大事です。
159件! それは確かに迷いますね。どんな分類になるんですか?
大きく4つのカテゴリーで考えると分かりやすいですよ。1つ目が「海外出願・知財保護」、2つ目が「販路開拓・展示会出展」、3つ目が「市場調査・F/S(フィージビリティスタディ)」、4つ目が「設備投資・事業再構築」です。それぞれで主力の補助金が違うんです。
あります! 徳島は上海に県の事務所を持ってるんですよ。徳島県上海事務所って言って、中国向けの情報収集や商談会のコーディネートをしてくれます。これ、他県にはなかなかないアドバンテージで。
それから公益財団法人「とくしま産業振興機構」が海外販路開拓の相談窓口になっていて、補助金の申請サポートもしてもらえます。電話は088-654-0101です。こういう伴走支援がある地域は採択率も上がりやすいんですよね。
| カテゴリー | 代表制度 | 補助上限 | 補助率 |
|---|
| 海外出願・知財保護 | 徳島県海外出願支援事業 | 300万円 | 1/2 |
| 海外出願・知財保護 | INPIT外国出願補助金 | 300万円 | 1/2 |
| 設備投資・製品開発 | ものづくり補助金 | 4,000万円 | 1/2〜2/3 |
| 輸出・販路開拓 | 輸出支援エコシステム補助金 | 2,000万円 | 1/2 |
| 市場調査 | 海外市場調査等補助金 | 1億円 | 1/2 |
| コンテンツ海外展開 | 放送コンテンツ製作促進事業 | 1.5億円 | 1/2 |
補助金申請フロー
一番使いやすいのが「
徳島県海外出願支援事業(令和7年度)」ですね。特許・実用新案・意匠・商標を外国で出願したい中小企業向けで、費用の1/2・上限300万円を補助してもらえます。窓口がとくしま産業振興機構なので、相談しやすいんですよ。
300万円って、結構大きいですね。特許の外国出願ってそんなにかかるんですか?
アメリカや欧州で特許を取ろうとすると、1件で100万〜200万円ってことはざらにあるんです。翻訳費用だけで数十万円かかりますから。この補助があると現実的に出願できるようになりますよ。
「とくしま経済飛躍ファンド」ってご存じですか? 国・県・地域金融機関が出資した131億円のファンドの運用益で助成金を出している仕組みで、「LED×藍産業応援枠」と「地域資源産業応援枠」の2つがあります。
助成率が2/3〜3/4っていう高さも特徴です(笑)。助成額は50万〜500万円の範囲で、販路開拓・ブランド化もしっかり支援対象になります。徳島らしい農林水産物や藍製品を海外に出したい事業者さんには特にマッチしやすいですよ。
藍ってインジゴ染料の藍ですね。徳島産の藍って世界的に評価高いですもんね。
そうなんです! ジャパンブルーとして海外バイヤーからの引き合いも多いです。あと「
ディープテック・イノベーション創出支援費補助金」も見逃せないです。フードテックやヘルステックのスタートアップが国内外の展示商談会に出展する費用を補助率1/2・上限30万円で支援してもらえます。J-Startup WESTに選定されてる場合は補助率が2/3に上がります。
小さい額ですけど、スタートアップにとっては展示会費用って痛いですよね。
出展費用だけで50万〜100万円かかることも多いので、30万円でも大きいんですよね。ちゃんと使える。
- 徳島県海外出願支援事業: 外国出願費用の1/2補助(上限300万円)。とくしま産業振興機構が窓口
- とくしま経済飛躍ファンド: 131億円規模、補助率2/3〜3/4。LED・藍・地域資源産業向け
- ディープテック支援補助金: 展示商談会出展費用の1/2(上限30万円)。J-Startup WEST選定で2/3に
海外展開で一番使われるのは「
ものづくり補助金」です。正式名称がものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金といって、経済産業省が実施しています。製品を海外展開するために必要な設備投資や試作品開発に使えて、
補助上限4,000万円・補助率1/2または2/3です。
4,000万円は大きいですね。徳島の中小企業でも使えますか?
もちろんです。全国の中小企業・小規模事業者が対象で、採択率はざっくり40〜50%程度の水準です。ポイントは事業計画書の出来と、賃上げ計画をセットにすること。加点されますからね。
いくつかありますよ。「
INPIT外国出願補助金(令和8年度・第2回)」は独立行政法人INPITが実施していて、国内出願済みの特許・商標を外国で権利化する費用の1/2・上限300万円を補助します。徳島の外国出願支援事業と似ていますが、こちらは全国版なので要件が若干違います。
原則、同じ出願に両方というのは難しいですが、対象が違う出願なら使い分けはできます。申請する前に確認するのが大事ですね(笑)。
なるほど。市場調査系の補助金って聞いたことありますが?
「
海外市場調査等事業費補助金」があります。インド太平洋地域や中南米地域でサプライチェーンに参画したい事業者向けで、
補助上限1億円・補助率は中小企業で1/2。調査費用にこれだけ出るのはなかなかないですよ。
1億円ってすごい規模ですね(笑)。中小企業でも応募できるんですか?
応募自体はできますよ。ただし複数社連携でのコンソーシアム形式が多いです。徳島の農業系企業が東南アジアに農業技術を輸出するために使った事例もあります。
「
グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」ですね。ASEAN・南西アジア・中東・アフリカ・中南米・太平洋島嶼国など向けに、FS事業と小規模実証事業を支援します。中小企業の補助率は2/3、F/S事業は上限1億円です。徳島のポンプ製造業者が東南アジアの農業インフラ向けに応募した事例があります。
阿波踊りとか藍染工芸とか、日本文化として海外に展開できるコンテンツは結構あります! アニメでも県産コンテンツを世界配信している会社があるので。
展示会への出展とか、海外の商談会への参加とかに使える補助金はありますか?
ものづくり補助金や海外出願支援事業は単独で使えます。あと「
海外ビジネス展開支援等事業費補助金(対内直接投資促進事業)」も注目です。JETRO(日本貿易振興機構)が事務局で、日本企業と外国企業が協業して外資の対日投資を進める取り組みを補助します。補助上限2,000万円、補助率1/2または1/3です。
JETROは補助金だけじゃなくて海外ビジネスの相談窓口としてもめちゃくちゃ使いやすいですよ。JETRO徳島(徳島市南内町)に無料で相談に行けますし、輸出向けの規制や現地の市場情報も教えてもらえます。補助金申請前に一度行くことをおすすめします。
そうです。特に「JETROの海外ビジネスナビ」は徳島から直接問い合わせできて、現地バイヤーとのマッチングまでサポートしてくれます。補助金の獲得後に使い倒してほしい制度です。
- ほぼ全ての補助金は後払い。補助金が振り込まれる前に立て替え払いが必要
- ものづくり補助金は交付から実績報告まで最長18ヶ月かかるケースも
- 運転資金の手当てを先にしておくこと。政策金融公庫の低利融資と組み合わせるのが定番
海外展開で必要な知的財産の保護ってどうすればいいんですか?
そうです。この場合は産業支援機関(商工会議所とか産業振興機構)が補助金をもらって、その機関が中小企業に無料もしくは低コストで知財支援サービスを提供する構造です。結果的に中小企業が恩恵を受ける形です。
それから模倣品対策や商標侵害対策には「JETROの海外侵害対策支援事業」もあります。防衛型侵害対策支援・模倣品対策支援・冒認商標無効係争支援の3種類があって、上限400万〜500万円です。海外で自社商品の偽物が出回り始めたら即座に活用を検討してください。
GビズIDを取得(e-Gov経由で申請。取得まで2〜3週間かかる)
JETRO徳島でも情報収集(海外市場・現地規制・バイヤー情報)
補助金申請書類の準備(事業計画書・収支計画・賃上げ計画)
一番シンプルな判断基準は「何をしたいのか」ですよ。外国出願したいなら徳島県海外出願支援かINPIT外国出願補助金。設備投資して輸出品質を上げたいならものづくり補助金。市場調査から入りたいなら海外市場調査補助金という感じです。
種類が違えばできます。例えば「ものづくり補助金で設備投資しながら、INPIT外国出願補助金で特許を海外出願する」という組み合わせは全然問題ないです。ただ同じ取り組みに複数の補助金を重複させるのはNGなので、確認が必要です。
「賃上げ計画を明記すること」「自社の強みを数字で示すこと」「競合他社との差別化を明確にすること」の3点です。あとものづくり補助金だと、GビズIDを事前に取得しておかないと申請すらできないので要注意。GビズIDは申請から取得まで2〜3週間かかるので、公募が始まってから動くと間に合わないことがあります。
それと「加点項目」を意識することも重要です。ものづくり補助金でいうと、経営革新計画の認定を受けていると加点されますし、事業承継補助の活用なんかも加点対象です。徳島県ならとくしま産業振興機構に相談に行くと、加点に使えるツールも教えてもらえますよ。
| 補助金名 | 補助上限 | 補助率 | 特徴 |
|---|
| 徳島県海外出願支援事業 | 300万円 | 1/2 | 徳島県内事業者専用。知財海外出願向け |
| INPIT外国出願補助金 | 300万円 | 1/2 | 全国版の外国出願支援 |
| ものづくり補助金 | 4,000万円 | 1/2〜2/3 | 設備投資・試作品開発。全業種対象 |
| 輸出支援エコシステム補助金 | 2,000万円 | 1/2 | 2社以上連携。越境EC・輸出インフラ整備 |
| 海外ビジネス展開支援補助金 | 2,000万円 | 1/2〜1/3 | JETRO実施。外資協業による対日投資促進 |
| 海外市場調査補助金 | 1億円 | 1/2 | 市場調査・サプライチェーン参画支援 |
| グローバルサウス共創補助金 | 1億円(FS) | 1/2〜2/3 | 新興国向けインフラ海外展開のFS・実証 |
| とくしま経済飛躍ファンド | 500万円 | 2/3〜3/4 | 徳島独自。LED・藍・地域資源産業向け |
徳島県の産業特性として、海外展開に向いているジャンルってどんなものがありますか?
大きく3つあります。1つ目が「農林水産・食品加工」。スダチ・里芋・有機農産物といった徳島ブランドの食材は輸出需要が高くて、アジアの富裕層向け市場が熱いです。2つ目が「伝統工芸・ファッション」。藍染・阿波和紙・徳島和紙なんかは欧米のデザイン系バイヤーから注目されています。
「製造業の部品・精密機器」ですね。徳島は半導体製造装置の部品を作る会社が結構ありまして、台湾や韓国向けのB2Bビジネスを展開している事業者も増えています。こういう企業には「
四国経済産業局の知財支援事業」が非常に有効です。
確かに徳島って製造業の企業も結構あるイメージです。
それと越境ECも最近多いです。楽天グローバルやAmazonグローバルセリングを使って海外直販を始めた徳島の食品・雑貨メーカーが増えています。越境ECの場合、初期の翻訳や決済システム整備コストにものづくり補助金を活用する手もあります。
「デジタルツールを使って生産性向上・販路拡大する」という事業計画をしっかり書けば、ものづくり補助金の対象になりますよ。実際に採択されている事例があります。海外向けECサイト構築費用やシステム導入費用を計上できます。
なるほど。あとはいつ申請するかもタイミングが大事ですよね?
超大事です! ものづくり補助金は年に数回公募があって、徳島県の海外出願支援事業は年1回が多いです。見逃すと1年待ちになるので、とくしま産業振興機構のメルマガ登録とか、J-グランツのサイトをチェックする習慣を作るのが最重要だと思います。
- GビズIDの事前取得: 申請に必須。取得まで2〜3週間かかる
- 公募期間の確認: 締切後の申請は一切受け付けない
- 補助金の併用制限: 同一事業・同一経費への複数補助金適用は原則NG
- 事前相談を活用: とくしま産業振興機構(TEL: 088-654-0101)に必ず事前確認
徳島は地理的に不利に見えるかもしれないけれど、上海事務所という外国への直接接点があって、とくしま産業振興機構という頼りになる支援機関があります。補助金の種類も159件と多い。使える環境はちゃんと整っていますよ。
3つです。まずGビズIDを今すぐ取得する。次にとくしま産業振興機構に電話して現状を相談する。最後にものづくり補助金の次の公募時期をJ-グランツでチェックする。この3つだけで動き始めると全然違います。