室谷さん、今日は福井県の補助金ですよね。タイトルに「V2H」ってあって、正直、何のことか分からなかったんですよ。
佐藤さん、そこから始めましょう。V2Hは、電気自動車、つまりEVやプラグインハイブリッド車、燃料電池車から、建物のほうへ電気を送り出せる装置のことです。車に貯めた電気を、事務所や施設で使えるようにする。ざっくり言えば「車を大きな蓄電池として使う」仕組みですね。
車から建物へ、逆向きに電気が流れるんですか。ほんとに?
そうなんです。普段は建物から車へ充電しますが、V2Hなら放電もできる。停電したときにも車から電気を取れるので、災害時の備えにもなる。そこが評価されているポイントです。
福井県がわざわざお金を出すということは、県にもメリットがあるんですよね。
はい。目的は、福井県内の二酸化炭素と温室効果ガスの排出量を削減すること。とくに運輸部門、つまり車まわりの排出を減らしたいというのが出発点です。県内の事務所や施設にV2Hを入れるときの購入費用の一部を、県が補助してくれます。
なるほど! 車の電気を建物で使うから、電力の使い方そのものが変わるわけですね。
そういうことです。再生可能エネルギーの活用を進める意味合いもあります。根拠になっているのは福井県補助金等交付規則と、エネルギー環境部エネルギー課所管補助金等交付要綱です。
さっき「災害時の備え」とおっしゃいましたけど、そこも県は重視しているんですか?
国のV2H向け補助金では、災害時に電気自動車の外部給電機能を活かして、レジリエンス、つまり復元力を高めることが目的として掲げられています。福井県の制度も、その流れの中にある設備を対象にしています。
レジリエンス。かっこいい言葉ですね。事業所で使うなら、停電で仕事が止まりにくくなるということですか?
そういう見方もできます。経営的な安心材料になる。だから単に光熱費を下げるだけの話ではないんですよ。
なるほど! では、いよいよ金額の話にいきましょうか。
福井県V2H補助金の3つの特徴定額10万円、嶺南地域は20万円
補助率の計算が不要で、受け取る額が先に決まる
国の補助金と併用できる
国の交付決定通知を受けた後に県へ申請する順番
業種の縛りが緩く、個人事業主も対象
従業員数の制約もなく、リース事業者も申請できる
ここが一番気になるところです。いくらもらえるんですか?
まず基本の数字を押さえましょう。補助上限は10万円、補助率は定額、つまり対象設備の購入費用に対して一律10万円です。そして福井県のページには、嶺南地域の方は定額20万円と書かれています。
そうなんです。嶺南地域にお住まい、あるいはそこに事業所を構えている方は20万円。それ以外の地域は10万円。ここは見落としやすいポイントです。
「定額」というのは、購入費用がいくらでも10万円ということですか?
はい、一律10万円です。設備の購入費用に対して、定額で10万円。嶺南地域なら定額で20万円。購入費用の何割、という計算ではありません。
ということは、100万円の設備でも10万円、30万円の設備でも10万円?
そういうことになります。だからこそ、受け取れる額を先に把握しやすい。「いくら補助が出るか分からないと稟議が通らない」という会社でも、計画を立てやすい設計だと言えます。
なるほど! これはありがたい。じゃあ補助率って考え方はないんですね。
補助率による計算が要らないぶん、申請前に「いくらもらえるか」が確定している。これは事業者にとって大きなメリットです。補助金は後から振り込まれるお金ですから、入ってくる額が読めるかどうかは、資金繰りの安心感に直結します。
たしかに。融資と違って返さなくていいお金ですし、金額が読めるのは大きいですね。
そのとおりです。条件を満たす設備を選べば、10万円、嶺南地域なら20万円。シンプルです。ここまでの数字を表にしておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 補助上限額 | 10万円 |
| 補助率 | 定額(対象設備の購入費用に対し一律10万円) |
| 嶺南地域の場合 | 定額20万円 |
| 補助対象経費 | 補助事業における補助対象設備の購入費用 |
| 工事費 | 対象外 |
| 中古品 | 対象外(未使用品に限る) |
よくわかりました。では次に、誰が申請できるのかを教えてください!
うちみたいな小さな会社でも申請できるんでしょうか。
従業員数の制約はありません。そして、福井県内に住所または事業所を有する法人、あるいは個人事業主が対象です。ただし国、地方公共団体、独立行政法人等は除かれます。それと県税の滞納がないことが条件です。
はい、個人事業主も対象です。法人と同じように扱われます。ポイントは福井県内に住所か事業所があること。設置先も県内の事務所や施設等である必要があります。
福井県外に本社がある会社でも、福井に事業所があれば対象になるんですか?
要件としては「県内に住所または事業所を有する」ですから、そこが判断の基準になります。ただ、細かい解釈は公募要領や交付要領で要確認です。迷ったら窓口に電話するのが一番早いですよ。
なるほど! 聞いてから動けば、無駄な手間が減りますね。
そうなんです。この制度は問い合わせ先がはっきりしていますから、その点は動きやすいです。
設備を買うお金がないときにリースって選択肢がありますよね。それでも使えるんですか?
使えます。対象者にはリース事業者も入っています。正確には、県内に住所または事業所を有する法人や個人事業主とリース契約を結んだリース事業者が申請できる、という立て付けです。
なるほど。リースで入れる場合、申請者はリース会社になるんですね。
契約の形によります。リースが関係する場合は、貸与料金の算定根拠明細書という様式も用意されています。実務の進め方は窓口で確認しておくと安心です。
業種の縛りはきついですか? うちは飲食業なんですが。
心配いりません。対象業種として、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの)、分類不能の産業、金融業・保険業、不動産業・物品賃貸業、学術研究・専門・技術サービス業、宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業、教育・学習支援業、医療・福祉が挙げられています。
そこは公募要領で要確認です。いずれにしても、業種ごとに細かい条件がずらりと並ぶタイプではないので、要件確認の手間は比較的少ない制度だと言えます。
県税の滞納がないこと。これは「県税の納税状況の確認に関する同意書」という様式でチェックされます。あとは暴力団関係者は対象外です。この2つは要件として明記されています。
納税の同意書を出すんですね。そこは正直に、ですよね(笑)。
そうですね(笑)。きちんと手続きを踏んでいれば問題ない部分です。では次に、対象になる設備と経費を見ていきましょう。
ここは重要です。補助対象になるのは、経済産業省補助金の補助対象設備のうち、V2Hシステムとして登録されている設備であること。この「登録されている」という条件を満たす必要があります。
経済産業省補助金というのは、具体的に何なんですか?
「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金」のV2H充放電設備を指します。この補助対象設備として登録されているものかどうかが基準です。
つまり、国が対象と認めているリストに載っている機種を選ぶ必要がある、と。
そのとおりです。だから設備を決める前に、対象設備の一覧を確認してください。ここを間違えると、あとから対象外になってしまいます。順番としては「機種を決める前に一覧を見る」です。
中古で安く買うのはどうですか? 実はそれ、考えてたんですよ。
中古品は対象外です。**新品(未使用品)**に限られます。それと、1申請につき1台まで。複数台を設置しても、補助は1台分に限られます。
そうなんです。2台目以降の設備購入費は対象外とされています。「1申請につき1台」というルールを先に知っておくと、計画が狂いません。なお複数申請の扱いも含めて、詳しくは公募要領で要確認です。
なるほど! 先に知れてよかったです。危うく2台分もらえる気でいました(笑)。
いえ、そこが要注意です。充電設備設置に要する工事費用は補助対象外です。設備本体と別に発生する配線や架台などの工事、工事監理費、設計費も対象外とされています。
工事費は出ないのか。設備によっては工事費のほうが大きいこともありますよね。
ありますね。だからこそ、見積書の段階で設備費と工事費を分けておくことが大事です。対象は設備の購入費用だけですから、そこを明確にしてください。また交付決定前に発注・購入した設備の費用も対象外です。順番を守ることが本当に重要です。
事務所じゃなくて住宅に付ける場合はどうなんですか?
福井県のページでは、県内住宅や事務所、施設等へ導入する事業が対象とされています。一方で、事業者向けの情報では事務所・施設等への設置が想定された書き方になっています。事業として住宅に設置する場合の扱いは、公募要領や窓口で確認するのが確実です。ここは1か所だけ押さえておけば大丈夫です。
なるほど! では、対象になるお金とならないお金をまとめて見せてもらえますか?
対象になる経費/ならない経費- V2H充放電設備本体の購入費
- 設備に付属する充放電コネクター・ケーブル等の購入費
- 設備購入に係る消費税(課税事業者の場合は要確認)
×デメリット
- V2H設備の設置工事費・電気工事費
- 配線・架台等の工事費、工事監理費・設計費
- 中古品の購入費
- 交付決定前に発注・購入した設備の費用
- 2台目以降の設備購入費
国の補助金と一緒に使えるって聞いたんですが、本当ですか?
本当です。経済産業省の補助金との併用が可能と明記されています。ただし順番が決まっていて、国の交付決定通知を受領した後に、県の補助金へ申請する必要があります。ここは絶対に逆にしないでください。
その順番だと要件を満たしません。国が先、県が後。国の交付決定通知を受け取ってから、県の申請に進む。この流れを崩さないことが併用の条件です。
なるほど! 国と県で窓口も違いますし、スケジュール管理が大事ですね。
そうなんです。国側の補助は、実際の購入価格に補助率を乗じて算定する形で、設備本体と工事費で扱いが分かれています。金額の規模としては数十万円単位が期待できる制度ですから、併用できれば導入負担はかなり軽くなります。具体的な申請方法は、それぞれの窓口に確認してください。
県の補助対象は設備本体の購入費だけです。だから見積書は「設備費」と「設置工事費」を明確に分けた形で取っておく。これが申請も実績報告もスムーズにします。
分けておけば、国と県でどの経費を見せるかも整理しやすいですね。
まさにそのとおりです。では次に、実際の申請の流れを見ていきましょう。
ここからは実務ですね。何をいつ出せばいいんですか?
まず全体像を押さえましょう。交付申請の受付は令和8年4月17日から令和8年12月25日まで。実績報告は令和9年2月26日までです。この2つの期限を頭に入れておいてください。
福井県のページには、交付要領、交付事務マニュアル、そして様式がまとめて公開されています。交付申請書は様式第1号、実績報告書は様式第2号、交付請求書は様式第3号。ほかにも県税の納税状況の確認に関する同意書、債権債務者登録申請書、設置承諾書、貸与料金の算定根拠明細書、設置完了証明書などが用意されています。
いいえ、ここは大事なポイントです。この制度は必要書類一式を郵送または持ち込みで提出します。電子申請ではないので、GビズIDの取得は不要です。郵送の場合は、特定記録郵便など、追跡できる方法での送付が推奨されています。
えっ、紙なんですね! それは意外でした。パソコンで完結するのかと思ってました。
そこがこの制度の性格です。紙のやり取りになるぶん、期限からの逆算が重要になります。では提出先を確認しましょう。
提出先は、福井県庁エネルギー環境部エネルギー課新エネルギーグループ。〒910-8580 福井県福井市大手3丁目17番1号です。電話は0776-20-0302、直通です。
郵送でも持ち込みでもいいんですね。期限が12月25日なら、年末ギリギリは危ないですか?
追跡できる方法を使う。そして早めに出す。これに尽きます。受付時間は月曜日から金曜日の8時30分から17時15分までで、土曜・日曜・祝日と年末年始は除きますから、持ち込みならその時間内に動いてください。
交付決定を受けたら設備を設置して、そのあと実績報告を出します。期限は令和9年2月26日まで。設置完了証明書や領収書などの経費を証明する書類が必要になります。確認と審査を経て、補助金が支払われます。
申請して終わりじゃなくて、そのあと報告まであるんですね。
そこまでがワンセットです。だからこそ、交付決定の前に発注や購入をしないこと。これは強くお伝えしておきます。交付決定前の設備は対象外になる可能性があります。
わかりました! 次は、審査や採択のポイントを教えてください。
福井県V2H補助金の申請フロー- 1
1. 対象設備を確認
経済産業省補助金の登録設備か、新品かをチェック
- 2
2. 見積書を取得
設備費と工事費を分けた見積もりを用意
- 3
3. 交付申請書を提出
様式第1号ほか必要書類を郵送または持ち込み
- 4
4. 交付決定を受ける
発注・設置は交付決定の後に行う
- 5
5. 設備を設置
設置完了後、設置完了証明書などを準備
- 6
- 7
7. 補助金の交付
確認・審査を経て補助金が支払われる
令和8年度のスケジュール令和8年4月17日
交付申請の受付開始
交付要領・様式が公開
令和8年12月25日
交付申請の期限
予算上限に達した時点で受付終了
令和9年2月26日
実績報告の期限
設置完了の報告と経費証明
まず大前提として、予算の範囲内での交付です。予算上限に達した時点で受付終了になります。だから早く出すことが最大の対策になります。
期限が12月25日まででも、それより早く締まる可能性があると。
あります。締切日を信じてギリギリまで待つのが一番危ない。書類が整い次第、早めに出す。これが採択への近道です。
なるほど! そこの感覚は大事ですね。定額だからこそ、申請が集中しやすいんでしょうか。
考えられますね。あわせて、国の補助金のスケジュールも見ておいてください。国が先、県が後という順番があるので、国側の公募タイミングに合わせて準備を始めるのが有効です。
まず、設備が登録設備かどうかの確認を忘れる。次に、中古品を買ってしまう。そして、工事費まで対象だと思い込んでしまう。この3つは本当に多いです。
たしかに、どれも知らないと普通にやりそうです(笑)。
それから、交付決定の前に発注してしまうパターン。これは取り返しがつきません。あとは見積書で設備費と工事費が混ざっていると、実績報告のときに苦労します。
なるほど! 先に知れてよかったです。ほかに選択肢になる制度はありますか?
いいですね。押さえるべき数字と要件を並べておきます。制度名は「令和8年度 V2H充放電設備設置支援事業補助金」、実施機関は福井県のV2H充放電設備設置支援事業補助金です。
募集期間は令和8年4月17日から12月25日でしたよね。問い合わせ先もここに載せておきましょうか。
そうしましょう。福井県庁エネルギー環境部エネルギー課 新エネルギーグループ、〒910-8580 福井県福井市大手3丁目17番1号。電話は0776-20-0302、直通、または0776-20-0229。メールは
energy@pref.fukui.lg.jpです。
ありがとうございます! では最後に、よくある質問を確認させてください。
これは聞かれることが多いと思うんですけど、工事費はどうですか?
設置工事費と電気工事費は補助対象外です。対象はV2H充放電設備の購入費用のみ。設備費と工事費を分けた見積書を先に取っておくと、申請も実績報告もスムーズになります。
中古品は対象外です。対象になるのは未使用品、つまり新品に限られます。中古で買って設置しても補助金は受け取れません。
ありません。1申請につき1台までで、補助は1台分に限られます。2台目以降の設備購入費は対象外です。ここは期待しないほうがいいです(笑)。
併用できます。ただし順番があります。国の交付決定通知を受領した後に、県の補助金へ申請してください。国の補助金と県の10万円を組み合わせれば、導入コストを大きく抑えられます。
大丈夫です。県内に住所または事業所があり、県税の滞納がなく、暴力団関係者でなければ対象になります。ただし国、地方公共団体、独立行政法人等は除かれます。
福井県のページには、嶺南地域の方は定額20万円と記載されています。それ以外の地域は定額10万円です。どの地域が該当するかの細かい確認は、申し込み前に窓口へ問い合わせるのが確実です。具体的な判断は公募要領で要確認です。