佐藤

佐藤

編集長

室谷さん、今日は大阪府の情報通信業で使える補助金について教えてください。うちの読者には、IT企業や通信事業者、放送関連の方も多いんです。どんな補助金があるんでしょうか?
室谷

室谷

代表取締役

そうですね。大阪府の情報通信業には、国の大型通信インフラ補助から府独自のDX支援まで、用途や規模で使い分けられる補助金が揃っています。特に、万博後のDX推進を追い風に、大阪産業局を起点とした申請ルートが整備されているのが特徴です。今日は、いくつかの代表的な制度を詳しく見ていきましょう。

海外インフラ展開FS補助金:IT企業のグローバル展開を支援

佐藤

佐藤

編集長

まず気になるのが、海外展開の補助金です。情報通信業の会社でも応募できるんでしょうか?
室谷

室谷

代表取締役

はい、できます。特に経済産業省が実施する一連のFS(フィージビリティスタディ)補助金は、情報通信技術を含むインフラシステムの海外展開を対象としています。たとえば、現地社会課題対応型インフラ・システム海外展開支援事業費補助金(FS実施事業者の募集)は、上下水道・道路・鉄道などの社会課題に対して日本のデジタルプラットフォームを活用した解決策を後押しします。補助率は1/2、中小企業は2/3と優遇されています。締切は2023年6月2日でしたが、類似の制度が毎年度出ています。
佐藤

佐藤

編集長

エネルギーインフラ向けのものもあるんですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうですね。質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業費補助金(FS実施事業者の募集)は、再生可能エネルギーや省エネルギー、電力系統などが対象。こちらも補助率1/2、中小企業2/3で、個別FS調査は上限5,000万円です。また、質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業費補助金(FS実施事業者の募集)は、情報通信や交通、都市基盤など従来分野に加え、デジタル化や脱炭素化に対応した新たなインフラ分野もカバーしています。補助上限は個別FS調査で5,000万円。
佐藤

佐藤

編集長

過去の年度のものも含めて、複数の制度がありますね。
室谷

室谷

代表取締役

そうなんです。たとえば令和4年度の質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業費補助金(FS実施事業者の募集)は上限5,000万円、大企業1/2、中小企業2/3で、締切は2022年6月13日。さらに執行団体向けの大型補助金もあります。現地社会課題対応型インフラ・システム海外展開支援事業費補助金(我が国企業によるインフラの海外展開促進調査事業)は上限約3億円(30,336万円)、定額補助。質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業費補助金(我が国企業によるインフラの海外展開促進調査事業)は上限4億円、定額補助。質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業費補助金(我が国企業によるインフラの海外展開促進調査事業)は上限3.5億円の定額補助です。これらは執行団体向けですが、情報通信業の企業が執行団体として名乗りを上げることも可能です。
佐藤

佐藤

編集長

海外展開を考えているIT企業には、FS調査の補助金が特に有用そうですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうですね。スマートシティ関連のシステムや遠隔監視技術など、日本の強みを新興国に売り込みたい企業にはぴったりです。補助率が中小企業で2/3ですから、自己負担を抑えながら調査ができます。

堺市ものづくり新事業チャレンジ支援補助金:地元密着型の開発支援

佐藤

佐藤

編集長

大阪府内でも、市区町村独自の補助金があるんでしょうか?
室谷

室谷

代表取締役

あります。たとえば、堺市には堺市ものづくり新事業チャレンジ支援補助金があります。これは堺市内に主たる事業所または研究開発拠点を持つ中小企業が対象で、新製品・新技術の開発経費を支援します。補助率は1/2以内、上限300万円。特に「ICT関連産業分野」が対象分野の一つに明記されていますから、情報通信業の企業にも使いやすいですね。加えて、低炭素・環境エネルギー分野や医療・介護・健康関連産業分野、あるいは大学等との技術融合事業も優先対象です。
佐藤

佐藤

編集長

堺市に拠点があれば、手軽に挑戦できる補助金ですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうですね。300万円という上限は大きくありませんが、新製品のプロトタイプ開発や市場調査には十分な額です。大阪府内の他市町村でも独自の補助金を出している場合がありますので、自社の所在地の役所に確認してみるといいでしょう。

放送・通信インフラ関連補助金:災害に強い情報基盤づくり

佐藤

佐藤

編集長

放送や通信のインフラに関わる補助金も多いですね。
室谷

室谷

代表取締役

ええ。情報通信業の中でも放送事業者や通信事業者、さらにはシステムベンダーとして関わるIT企業にも関係する制度がいくつもあります。まず、無線システム普及支援事業費等補助金は、新4K8K衛星放送の受信設備から生じる電波漏洩問題を解消するための工事費用を補助します。最大2,500万円。同じく無線システム普及支援事業費等補助金(衛星放送用受信環境整備事業)は、不適切な受信設備の改修を支援するものです。
佐藤

佐藤

編集長

辺地や山間部の放送受信環境を整える補助金もありますね。
室谷

室谷

代表取締役

そうです。総務省所管の辺地共聴施設の高度化支援事業は、電波の届きにくい地域の共聴施設をブロードバンド等で代替・改修するものです。実施主体は市町村や電気通信事業者などで、情報通信業の企業は工事やシステム提供で協力できます。同様の事業が令和7年度当初予算で別途公募もされています。
佐藤

佐藤

編集長

ケーブルテレビの耐災害性強化も重要ですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうですね。近年の災害を受け、ケーブルテレビネットワークの耐災害性強化事業ケーブルテレビネットワーク光化等による耐災害性強化事業など、光ファイバー化や複線化を支援する制度が複数あります。実施主体は市町村や第三セクターですが、IT企業は機器供給やシステム構築で参画できます。また、地上基幹放送ネットワーク整備等事業地上基幹放送等に関する耐災害性強化支援事業では、予備送信所や停電対策設備の整備を補助。補助率は1/2や1/3、条件不利地域では2/3まで上がります。上限は約5,372万円です。
佐藤

佐藤

編集長

放送コンテンツの海外発信を支援する補助金もあるそうですね。
室谷

室谷

代表取締役

放送コンテンツによる地域情報発信力強化事業は、日本の地域の魅力を海外に発信するための国際共同制作を支援します。上限4,000万円、補助率1/2以下。情報通信業の中でも映像制作会社や放送事業者に最適です。さらに、執行団体向けの同事業の補助事業者公募は上限約2.5億円(24,750万円)の定額補助があります。
佐藤

佐藤

編集長

ラジオ難聴解消支援もありますね。
室谷

室谷

代表取締役

民放ラジオ難聴解消支援事業は、山間部や都市部のビル陰などでラジオが聞こえにくい地域を解消するための中継局整備を補助します。上限約2.5億円(24,700万円)、補助率は地理的・地形的難聴が2/3、都市型難聴が1/2です。地方公共団体や放送事業者が対象ですが、IT企業がシステム面で協力できます。

データセンターの脱炭素化補助金:大型投資のチャンス

佐藤

佐藤

編集長

最後に、データセンター関連の大型補助金について教えてください。
室谷

室谷

代表取締役

情報通信業ではデータセンター事業者にとって非常に大きなチャンスがあります。環境省が実施する地域共生を目指したデータセンター脱炭素化設備導入支援事業は、再生可能エネルギー設備や省エネ設備の導入を支援する大型補助金で、補助上限額に実質的な制限がなく、大規模投資にも対応します。ただし、申請期間は約3週間と短く、迅速な準備が必要です。
佐藤

佐藤

編集長

もう一つ、ゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業もありますね。
室谷

室谷

代表取締役

はい。データセンターのゼロエミッション化・レジリエンス強化促進事業は、2050年カーボンニュートラルを目指し、再生可能エネルギーの活用や省CO2設備の導入を支援します。新設(最大3か年度)、既存改修(最大2か年度)、コンサルティングの3類型があります。二次公募(令和6年度補正予算及び令和7年度)も行われており、締切は2025年7月29日です。補助率や上限は公募要領を参照する必要がありますが、金額規模の大きい制度です。
佐藤

佐藤

編集長

これらの補助金を活用するには、どのような準備が必要ですか?
室谷

室谷

代表取締役

まずは自社の事業計画に合った制度を選び、要件を満たすか確認することです。海外展開FS補助金なら、申請書類として調査計画書や収支見積もりが必要です。放送インフラ関連は実施主体が限られる場合がありますが、IT企業は協力企業として関われます。データセンターの脱炭素化は環境省の事業なので、補助事業者(一般社団法人地域循環共生社会連携協会)のサイトをチェックしましょう。
佐藤

佐藤

編集長

相談窓口はどこが適切でしょうか?
室谷

室谷

代表取締役

大阪府の情報通信業者であれば、まずは公益財団法人大阪産業局https://www.obda.or.jp/)が第一の窓口です。補助金の紹介から申請支援まで行っています。また大阪商工会議所 中小企業支援センターhttps://www.osaka.cci.or.jp/)や大阪府よろず支援拠点https://osaka-yorozu.jp/)でも無料相談が可能です。これらの窓口では、補助金の選定や申請書類の書き方についてアドバイスが受けられますので、ぜひ活用してください。
佐藤

佐藤

編集長

ありがとうございます。最後に、読者へのアドバイスをお願いします。
室谷

室谷

代表取締役

そうですね。情報通信業は非常に幅広い分野をカバーしているため、自分たちの事業がどの補助金に該当するのか見極めることが大切です。海外展開を目指すならFS補助金、地域密着型の開発なら堺市のような自治体補助金、インフラ強靭化なら放送・通信関連、大規模投資ならデータセンター脱炭素化といった具合に、目的に応じて選びましょう。また、多くの補助金は締切が設定されていますので、計画的に準備を進めてください。わからないことがあれば、遠慮なく窓口に相談してみてください。
佐藤

佐藤

編集長

室谷さん、本日は詳しい解説をありがとうございました。