宮城県の研究開発補助金・助成金 主要制度比較
室谷さん、うちの会社でも新しい技術を開発したいんですけど、宮城県って研究開発に使える補助金とか助成金ってどのくらいあるんでしょう?
めちゃくちゃありますよ(笑)。国の制度だけで常時20〜30件、宮城県や東北経済産業局の独自制度を含めると100件を超えます。しかも宮城県は東北の中でも産業基盤が手厚くて、特にものづくり系・半導体系・食品系の企業への支援が充実してますね。
そんなにあるんですか!どこから手をつければいいのかわからないですよね。
そうなんです。まず「国の制度なのか宮城県独自なのか」を整理するのが大事で、それと「研究開発を始める段階なのか、ある程度進んだ実証段階なのか」でも使える制度が変わってきます。
そうです。これを整理せずに申請すると、採択されにくかったり、そもそも要件を満たしてなかったりするんで、まず自社の状況を確認するのが先決ですね。
| 制度カテゴリ | 代表的な制度 | 補助上限 | 補助率 |
|---|
| 国の基幹制度(全業種) | ものづくり補助金 | 1,000万円 | 1/2〜2/3 |
| 国のR&D専門制度 | SBIR推進プログラム | 要公募 | 要公募 |
| 国の大型実証支援 | 事業再構築補助金 | 5億円 | 1/2〜2/3 |
| 宮城県独自 | みやぎチャレンジ応援基金 | 300万円 | 1/2〜2/3 |
| 宮城県独自(環境R&D) | みやぎ環境関連研究開発等支援 | 800万円 | 1/2〜2/3 |
| 東北経済産業局 | 中小企業等知財支援地域連携 | 1,000万円 | 1/2〜定額 |
この表だけでも7件ありますね。ものづくり補助金って研究開発にも使えるんですか?
使えます!「試作品開発」とか「革新的な製品・サービス開発のための設備投資」が対象で、新技術の開発プロセスで必要な機械装置や工具なんかも補助対象になります。宮城の製造業の方には一番なじみのある制度ですね。
研究開発の「補助金」と「助成金」って、違いはあるんですか?
大きな違いは採否の仕組みです。補助金は審査を通過しないともらえない「競争制」で、助成金は要件を満たせば原則もらえる「申請制」が多い。研究開発系は競争制の補助金が圧倒的に多いですね。審査が厳しい分、採択されると金額も大きいです。
ものづくり補助金だとざっくり40〜50%程度ですね。SBIRや大型の実証支援は20〜30%台のものも多い。でも「どういう事業計画を書くか」で採択率が全然変わるんで、事前準備が本当に大事です。
はい。まず絶対に知っておいてほしいのが「ものづくり補助金」です。
中小企業が革新的な製品・サービスを開発するための設備投資や試作品開発に使える、国の代表的な補助金です。
補助上限は最大1,000万円、補助率は中小企業で1/2〜2/3と手厚い。詳細は
ものづくり補助金のページで確認できます。
正直、事業計画書の作成がけっこう大変です(笑)。「革新性があるか」「付加価値が生まれるか」「賃上げ計画があるか」の3点が審査の核心で、ここをしっかり書けるかどうかで採否が決まる感じですね。認定経営革新等支援機関(認定支援機関)と一緒に申請書を作ると採択率が上がりますよ。
中小企業庁が認定した税理士・中小企業診断士・金融機関などで、補助金申請のサポートをしてくれる専門家です。宮城県内にも多くいますし、仙台商工会議所や宮城県商工会連合会でも紹介してくれます。
Small Business Innovation Researchの略で、スタートアップや中小企業の革新的な研究開発を研究フェーズから事業化まで一貫してNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が支援する制度です。詳細は
SBIR推進プログラムのページをご覧ください。
全国対応なんですが、東北のモビリティ研究や再エネ実証でNEDO採択事例はけっこうあります。特に東北大学との産学連携プロジェクトで使われることが多いですね。
「新市場進出」や「業種転換」の文脈で使えます。
補助上限は最大5億円という圧倒的なスケールで、新製品開発のための製造ラインの大幅刷新や新技術を使った新事業立ち上げに活用できます。
事業再構築補助金の詳細も参考にしてください。
そうです(笑)。ただ「コロナで売上が下がった」という要件が基本なので、全ての企業が使えるわけじゃない。今は「成長分野進出枠」というGX・DX分野に特化した枠が中心で、研究開発型の事業転換なら狙い目ですね。
IoT・AI・ドローンを活用して産業保安業務を高度化する企業向けですね。
補助上限5,000万円、補助率最大2/3と非常に手厚い。
スマート保安補助金の詳細をご覧ください。宮城だと石油化学プラントや電力設備を持つ企業が対象になります。
なるほど、製造業じゃなくてインフラ系向けなんですね。
いくつかありますよ。特に注目してほしいのが「みやぎ中小企業チャレンジ応援基金事業」です。
宮城県と七十七銀行が連携して運営している制度で、県内の中小企業が新商品・新サービスの開発に取り組む際に助成します。一般型は上限200万円(補助率2/3)、技術志向型は上限300万円(補助率1/2)です。
国の制度より規模は小さいですけど、採択されやすそうですね。
そうなんです(笑)。1回の募集で一般型10件程度、技術志向型7件程度の採択がある制度なので、全国規模のものと比べると競争率が低いです。しかも東北大学や宮城県産業技術総合センターと連携した研究開発だと「技術志向型」に当てはまりやすいんですよ。
令和8年4月10日から5月15日まで一般型の募集が行われています。技術志向型は5月下旬頃から募集開始予定です。問い合わせは(公財)みやぎ産業振興機構の事業支援課(TEL: 022-225-6697)まで。
これが面白い制度で、CO2削減に資する研究開発に特化した宮城県の独自制度です。3つのステップに分かれていて、開発着手型(上限200万円)から地域未来投資促進法型(上限1,500万円/年)まで、研究開発の進捗に合わせて使えます。
再エネ、省エネ、廃棄物処理、下水処理など幅広い分野が対象なので、宮城でエネルギーや環境関連の技術開発をしてる企業は絶対チェックしてほしいです。令和8年度は5月29日まで電子申請を受け付けています。
研究開発と知財は切り離せないんですよ。宮城を含む東北6県を管轄する東北経産局が実施していて、
知財活用支援の補助上限は1,000万円で補助率は1/2〜定額。
東北経産局知財支援の詳細をご覧ください。
特許取得の支援はもちろんですが、商標・意匠・実用新案の出願費用補助もあります。海外展開を見据えた企業には別途「宮城県中小企業等海外出願支援」という制度もあって、
海外出願支援補助金の詳細も参考になります。特許の国際出願って1件300〜500万円かかることもあるんで、1/2補助は大きいですよ。
海外展開を考えてる宮城の企業にはすごく助かる制度ですね。
宮城県 研究開発補助金申請フロー
| 制度名 | 補助上限 | 補助率 | 対象 | 申請先 |
|---|
| ものづくり補助金 | 1,000万円 | 1/2〜2/3 | 全業種・中小企業 | 全国中小企業団体中央会 |
| SBIR推進プログラム | 要公募 | 要公募 | スタートアップ・中小企業 | NEDO |
| 事業再構築補助金 | 5億円 | 1/2〜2/3 | 売上減少等の中小企業 | 中小企業庁 |
| スマート保安実証支援 | 5,000万円 | 2/3〜1/2 | 産業保安関連企業 | 経済産業省 |
| みやぎチャレンジ応援基金 | 300万円 | 1/2〜2/3 | 宮城県内中小企業 | みやぎ産業振興機構 |
| みやぎ環境研究開発支援 | 1,500万円/年 | 1/2〜2/3 | 宮城県内中小企業等 | 宮城県環境政策課 |
| 東北経産局知財支援 | 1,000万円 | 1/2〜定額 | 東北6県の産業支援機関 | 東北経済産業局 |
| 宮城県海外出願支援 | 300万円 | 1/2 | 宮城県内中小企業 | 宮城県産業人材対策課 |
そうですね。スタートアップや創業初期なら「みやぎチャレンジ応援基金」や「SBIR」を狙って、ある程度実績ができたら「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」の大型制度にステップアップする、というルートが王道です。
原則として同じ内容・同じ設備に対して二重に補助金を受けることはできないですが、別々の目的で別々の補助金を使うことは可能です。例えば「設備導入はものづくり補助金」「知財出願は海外出願支援補助金」という組み合わせは問題なし。
宮城には半導体関連とか、特に強い産業ってありますよね。
ありますね!仙台・石巻・名取エリアに電子部品・半導体関連企業が集積してて、特に東北大学と連携した研究開発が活発です。
半導体専用というわけじゃないですけど、「先端的な産業分野」として半導体は「みやぎチャレンジ応援基金の技術志向型」の対象になりやすいです。あと「モビリティDX促進のための無人自動運転開発・実証支援補助金」は
上限10億円という超大型補助金で、東北の自動車関連製造業にも活用の余地があります。
モビリティDX補助金の詳細も確認してみてください。
大企業や大学と組んで申請するような事業向けですけどね。宮城は東北大学・東北工業大学・宮城大学などと産学連携しやすい環境なので、そういう枠組みで申請を考える企業も多いです。
農業や食品系の研究開発ってどうですか?宮城は水産業とかも盛んですよね。
農林水産業向けには「みやぎチャレンジ応援基金」の「地域資源活用」枠が使えます。宮城の水産物・農産品を活用した新商品開発はど真ん中の対象です。あと農水省系の補助金も別途あって、農業・水産加工業向けの研究開発支援は宮城農業協同組合中央会や仙台水産物卸売市場を経由したものもあります。
- GビズIDを事前に取得しておく(取得まで2週間かかる場合あり)
- 認定経営革新等支援機関(認定支援機関)への相談を先に行う
- 補助金は「後払い」のため、先行投資資金の確保が必要
- 申請先が複数ある場合は締切を一覧で管理する
国の補助金の電子申請に必要なアカウントで、法人の場合はe-Govや中小企業庁のシステムにログインするのに使います。発行まで2週間かかることがあるので、申請を思い立ってから取得しても間に合わないケースがある。これを知らなくて泣いた経営者を何人も見てます(笑)。
絶対そうです。で、もう一個大事なのが「後払い」という仕組みです。補助金って研究開発を実施した後に費用精算して補助金が振り込まれる流れなので、先に自己資金か融資で賄わないといけない。宮城の中小企業だと七十七銀行や仙台銀行が補助金採択を条件にした融資商品を持っていることが多いんで、事前に相談してみてください。
申請書の書き方で差がつくポイントって何でしょうか?
一番差がつくのは「なぜこの研究開発が革新的なのか」の説明の仕方です。自社視点だけじゃなくて「業界全体・社会にとってどんな意味があるか」を書けると採択率が上がります。あと宮城の補助金だと地域経済への貢献(雇用創出・地域資源活用)を書くと加点される傾向があります。
- 交付決定前に事業に着手する(採択されても補助金が出ない)
- 補助対象外の経費(役員報酬・消費税)を申請する
- 同一内容の補助金を複数機関から二重申請する
- 申請書を過去のテンプレートそのままで使い回す
交付決定前に着手したらダメなんですね、これは盲点かも。
本当によく聞く失敗です。「採択されるだろう」と思って先に機械を発注してしまって、採択後に「採択前の発注は補助対象外です」と言われるパターン。補助金の世界では「交付決定日が事業着手日より必ず前」でないといけません。
1情報収集・自社の状況把握
みやぎ産業振興機構の補助金情報や中小企業庁のJグランツで公募中の制度を確認する
3認定支援機関への相談
宮城県内の認定支援機関(商工会議所・税理士・中小企業診断士等)に相談して事業計画の方向性を確認
4事業計画書・申請書の作成
革新性・付加価値・賃上げ計画を数値根拠とともに記載。認定支援機関のレビューを受ける
5電子申請(公募期間中に必須)
Jグランツまたは各制度の申請システムから電子申請を提出
6採択・交付決定の通知を待つ
採択通知後に交付決定を待つ。交付決定前に事業着手は絶対NG
7事業実施・実績報告
交付決定後に事業開始。完了後、実績報告書を提出して補助金を受け取る
ここまで整理してもらうと申請のイメージが湧いてきました!
あと宮城県は「みやぎ産業振興機構」という強力なサポート機関があって、補助金申請のコーディネートや相談窓口として使えます。東北経済産業局の「中小企業相談センター」も無料で相談できるので、一人で抱え込まずに相談してほしいです。
相談が無料なのはありがたいですね。ちなみに採択率を上げるコツをもう一つ教えてもらえますか?
「加点項目」を積極的に取りにいくことです。ものづくり補助金だと「賃上げ目標の設定」「グリーン戦略への対応」「デジタル技術の活用」が加点対象になっているので、これらを事業計画に自然に盛り込む。宮城の独自制度だと「事業承継」「産学連携」「東北大学との共同研究」も評価されやすいポイントです。
宮城県の研究開発補助金、思ってたより種類も金額も豊富ですね。
そうなんです。国の基幹制度から宮城独自の小回りのきく制度まで、自社の規模と研究開発の段階に合わせて選べるのが最大のメリットです。まずGビズIDを取得して、みやぎ産業振興機構か仙台商工会議所に相談してみてください。意外と「うちでも使える制度があった!」という発見があるはずです。
今日は本当に勉強になりました。宮城で研究開発を考えてる事業者の方にはぜひ活用してほしいですね。
研究開発は「やりたいけどお金がかかる」でストップしてる企業が多いんですよ。補助金をうまく使えば自己負担を大幅に減らせるので、ぜひ積極的にチャレンジしてほしいです!
- 公益財団法人みやぎ産業振興機構(022-225-6697): 宮城県内中小企業の補助金申請全般
- 東北経済産業局 中小企業支援室: 国の補助金・助成金全般
- 仙台商工会議所: 認定支援機関の紹介・事業計画相談
- 宮城県環境政策課(022-211-2683): みやぎ環境関連研究開発等支援事業