室谷さん、「エイジフレンドリー補助金」って最近よく聞くようになったんですが、これって何をする補助金なんですか?
厚生労働省が出してる補助金で、簡単に言うと「60歳以上の高年齢労働者が安全に働ける職場をつくるための費用を国が半額以上出しますよ」っていう制度ですね。中小企業限定なんですけど、最大100万円まで出るコースもあって、かなり使い勝手がいいんです。
ほんとに?!100万円はすごいですね。でもなんで今こういう補助金が出てるんですか?
背景には高齢化社会の問題があって。日本の60歳以上の就業者数って2025年以降どんどん増えてるんですけど、それと比例するように高年齢労働者の労働災害も増えてるんですよ。転倒・腰痛・熱中症とかが特に多くて、国としては「企業がちゃんと対策してくれるなら費用を出す」という姿勢をとったわけです。
なるほど、社会的な背景があってのことなんですね。じゃあどういう会社が対象になるんですか?
基本的には「中小企業事業者」が対象ですね。業種によって範囲が変わるんですが、製造業だと資本金3億円以下または従業員300人以下、サービス業だと資本金5000万円以下または従業員100人以下、卸売業は資本金1億円以下または従業員100人以下、小売業は資本金5000万円以下または従業員50人以下、というのが目安です。
幅広い業種が対象なんですね。農業とか漁業、建設業なんかも入るんですか?
全部入りますよ!(笑)農業・漁業・建設業・製造業・情報通信業・運輸業・卸小売・金融保険・医療福祉・飲食サービス・教育と、ほぼ全業種が対象になってます。つまり「中小企業であれば」という条件さえ満たせばOKなんです。
それは幅広いですね。では次に、どんなコースがあるのか詳しく教えてもらえますか?
エイジフレンドリー補助金 コース比較
令和8年度は4つのコースがあると聞きました。それぞれどう違うんですか?
令和8年度は実質3カテゴリに整理されてまして、「専門家総合対策コース第1段階・第2段階」「熱中症対策コース」「コラボヘルスコース」という構成です。まず補助率と上限額を見てもらうのが早いので、テーブルにまとめますね。
| コース | 内容 | 補助率 | 補助上限額 | 申請期間 |
|---|
| 専門家総合対策コース 第1段階 | 専門家によるリスクアセスメント実施 | 4/5(80%) | 50万円 | 2026年5月20日~8月31日 |
| 専門家総合対策コース 第2段階 | リスクアセスメント結果を踏まえた設備導入等 | 1/2(50%) | 100万円 | 2026年6月上旬~10月31日 |
| 熱中症対策コース | 熱中症予防装置・装備の導入 | 1/2(50%) | 100万円 | 2026年5月20日~10月31日 |
| コラボヘルスコース | 健康保持増進のための取組 | 3/4(75%) | 30万円 | 2026年5月20日~10月31日 |
えっ、第1段階は補助率80%もあるんですか!それはすごい。
そうなんですよ!第1段階は「専門家を呼んで職場の危険箇所を洗い出す(リスクアセスメント)」という取組で、その経費の5分の4を国が出してくれる。費用の8割補助ってなかなかないですよ。
第2段階というのは第1段階の後にやるものなんですか?
そうです。第1段階でリスクアセスメントをして「ここが危ない」というポイントが明確になったら、その結果を踏まえて実際に設備を導入したり工事をしたりするのが第2段階です。「専門家が自社でリスクアセスメントを実施した場合」は第2段階から申請することもできます。
なるほど。熱中症対策コースはどういう会社が使うんですか?
特に屋外作業や工場のような暑熱環境で働く方が多い会社ですね。スポットクーラー、ミストファン、冷却ベスト(クーリングウェア)、暑さ指数計(WBGT計)なんかの導入費用が対象になります。ただし「高年齢労働者の身体機能の低下を補う」という目的であることが必要で、全従業員のためであってもOKという判断になっています。
コラボヘルスコースは補助率75%で高いですけど、上限が30万円なんですね。
そうですね。コラボヘルスは「事業主と健康保険組合が連携して従業員の健康づくりをする」という趣旨で、運動指導・健康教育の専門家を招いてのプログラムや、健康管理システムの導入が対象です。上限30万円ですが補助率が高いので、少ない自己負担で取り組めます。
それができないんです。年度内に申請できるのは1コースのみ、かつ1回限りという制約があります。なのでどのコースを使うか最初にちゃんと考える必要があります。
大事な情報ですね。じゃあどのコースを選べばいいか、選び方のポイントも聞いていいですか?
いくつかポイントがあります。まず大前提として「60歳以上の労働者が在籍していること」が必要ですね。ただし、転倒防止・腰痛予防のための運動指導やコラボヘルスコースは、60歳以上の労働者がいない職場でも申請できます。全従業員向けの健康対策という性格があるからですね。
あ、60歳以上がいなくてもできるケースもあるんですね。
意外と知られてないポイントですよ(笑)。あとは「労働保険(労災保険・雇用保険)に加入していること」が必要です。労働保険未加入の会社は申請できませんのでご注意を。
そうですね。1人でも労働者を雇ってればほぼ全業種で義務です。あと「過去に補助を受けた対策と同一のものには申請できない」という制約もあります。昨年度エイジフレンドリーで手すりを設置した会社が今年度また同じ場所に手すりを追加しようとしても、それは対象外になります。
- 交付決定前に発注・契約・購入した経費は補助対象外(いかなる理由でも不可)
- ローン・手形・小切手・電子マネー・プリペイドによる支払いは対象外
- 消費税・振込手数料は補助対象外
- 物品等のリース代金は補助対象外
- 申請は年度内1回のみ(複数コースの同時申請不可)
交付決定前に動いたらダメというのは、うっかりやってしまいそうですね。
これが一番多い失敗パターンです!「もう業者に見積もり取って発注しちゃいました」という状態で申請しても、全額もらえなくなります。必ず「交付決定通知書が届いてから発注」という順番を守ることが絶対条件です。
徹底しないといけないですね。対象経費の話も聞かせてもらえますか?
具体的にどんな費用が補助対象になるんですか?コースごとに違いますか?
コースによって対象が違いますね。整理してみましょう。
| コース | 主な対象経費 |
|---|
| 専門家総合対策コース 第1段階 | 労働安全衛生コンサルタント等の専門家への報酬・交通費 |
| 専門家総合対策コース 第2段階 | 転倒防止設備・手すり工事・照明改善・床面改修・昇降設備・アシストスーツ・運動指導費用など |
| 熱中症対策コース | スポットクーラー・ミストファン・冷却ウェア・WBGT計・日よけ設備など |
| コラボヘルスコース | 外部専門家による健康プログラム・健康管理システム導入費用 |
なるほど。設備導入だけじゃなくて工事費用もOKなんですね。
そうです。工事費まで対象になるのがこの補助金の良いところで。たとえば「床が滑りやすいから滑り止め加工をする」「段差があるのでスロープを設置する」「暗くて危ないから照明を明るくする」なんていう工事代金も入ります。
よく相談を受けるのが「監視カメラはどうか」「警告灯・安全標識はどうか」なんですが、令和8年度はこれらが対象外になりました。過去はOKだったものが制度変更で外れることもあるので、申請前に必ずリーフレットかQ&Aで確認してください。
- 消費税・振込手数料
- リース代金(購入のみ)
- 監視カメラ・安全標識・警告灯(令和8年度より対象外)
- トレーニングジムの回数券・割引券(外部施設利用分)
- 電子マネー・クレジットカード決済分
- 交付決定日前に発注・購入したもの全て
過去は対象だったものが外れることもあるんですね。毎年確認が必要ですね。申請の流れも教えてもらえますか?
エイジフレンドリー補助金 申請の流れ
実際の申請手続きはどのように進めればいいんですか?
コースによって少し流れが異なりますが、基本的な手順を説明しますね。まず共通して大事なのは「申請書類をしっかり準備して、郵送かJグランツで提出する」ことです。
1申請コースを決める 4コースの中から自社の状況に合ったものを選択。Q&AとリーフレットをDLして内容を確認。
2申請書類をダウンロードして作成 エイジフレンドリー補助金事務センターから書類をDL。担当部署・担当者名・連絡が取れる電話番号を必ず記載。
3申請書類を提出する 郵送(消印有効)またはJグランツでの電子申請。メール送付は不可。
4審査を待つ 第1段階は随時審査・随時交付決定。熱中症対策・コラボヘルスコースは毎月末に取りまとめ、翌月審査。
5交付決定通知書が届いたら確認する 郵送で届く(3〜5日かかる場合あり)。この書類を受け取ってから発注開始。
6設備購入・工事・指導を実施する 交付決定後に発注・契約・購入。必ず「交付決定後」であることを確認。
7完了後に支払請求書類を提出 取組が全て完了したら、支払請求書類を作成して提出。2027年1月31日まで。
8補助金が振り込まれる 書類確認後、補助金が交付される。
そうなんです。第1段階(リスクアセスメント)と第2段階(設備導入等)それぞれで交付申請が必要で、それぞれ審査と交付決定があります。でも支払請求は最後にまとめて1回でOKです。
申請期間の締切について、もう少し詳しく教えてもらえますか?
第1段階の申請期間は2026年8月31日までと早めに締め切りがあります。第2段階・熱中症対策・コラボヘルスは2026年10月31日までで、全体の支払請求期限は2027年1月31日です。注意点として「予算額に達した場合は受付期間中でも締め切る」とあるので、早めに動くのがベストです。
予算切れになる可能性があるんですね。それは焦りますね。採択率とかはわかりますか?
公式には過去の採択率の数字は公表されていないんです。ただ、高年齢労働者の実態(在籍数・労働災害リスク)に基づいた審査が行われるので、書類をきちんと整えて「効果が期待できる取組」であることを説明できれば通りやすい補助金だと思います。
なるほど。書類の質が大事なんですね。次に審査を通過するための攻略法を教えてもらえますか?
一番大事なのは「なぜこの取組が高年齢労働者の労働災害防止に効果があるか」を具体的に書くことです。審査は「高年齢労働者の雇用状況や対策・取組の計画を審査の上、効果が期待できるものについて補助金を交付する」とされているので。
- 具体性が命: 「何人の60歳以上の労働者が」「どの作業場所で」「どんなリスクがあるか」を数字で示す
- 因果関係を明確に: 「この設備を導入すると転倒リスクが下がる理由」まで説明する
- 過去の事故・ヒヤリハット実績: 実際にインシデントがあった場合は記録して添付できるとなお良い
そうです。例えば「60歳以上の従業員が工場内で過去3年間に転倒事故が2件あった。床面の滑り止め加工を施すことで転倒リスクを大幅に低減できる」という説明が具体的でいいですね。ざっくりした内容より断然説得力が上がります。
「担当部署・担当者名・必ず連絡が取れる電話番号の記載」が必須です。書いてないと審査の連絡が来てもつながらなくて、そのまま不採択ということにもなりかねません。また、書類に不備がある場合は補正を求められますが、申請期限ギリギリだと補正の余裕がないので、期限の2〜3週間前には申請を済ませるのがコツです。
余裕を持って動くのが大事ということですね。次はよくある疑問をまとめて聞いてもいいですか?
申請を検討している人からよく来る質問って何ですか?
一番多いのは「60歳以上の従業員が作業現場にはいないけど事務室にはいる、申請できますか」という質問ですね。答えはYesで、どの部署であっても60歳以上の労働者が在籍していれば申請対象になります。
あと「昨年度も申請したけど今年度も申請できますか」という質問もよく来ます。これは「以前補助を受けた対策と同一のものは対象外」なので、違う対策や別のコースなら申請できます。例えば昨年は手すりを設置してコース1で受けたなら、今年は熱中症対策コースで冷却ウェアを購入するのはOKです。
社会保険と労働保険の違いで混乱する人もいそうですね。
その質問も定番です(笑)。申請要件は「労働保険(労災保険・雇用保険)加入」が必要で、社会保険(健康保険・厚生年金)ではないです。労働保険は1人でも従業員がいれば原則として加入義務があるので、ほとんどの中小企業はクリアしてます。
Jグランツは府省庁・自治体の補助金にオンライン申請できる政府のウェブサービスで、GビズIDという法人IDを取得すれば使えます。郵送と電子申請どちらでもOKなので、Jグランツが難しければ郵送でも問題ありません。ただ電子申請のほうが書類の到達確認ができるので安心感はありますね。
これはQ&Aにも書いてあって「機器の販売業者・工事施工業者・運動指導を実施する業者が代わりに申請書類を作成して提出することはできない」となっています。ただ社会保険労務士等が申請書類の提出を代行することはできるので、書類作成に不安がある場合は社労士に相談するのが良いですね。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 補助金名 | エイジフレンドリー補助金(令和8年度) |
| 実施機関 | 厚生労働省 |
| 申請窓口 | エイジフレンドリー補助金事務センター(一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会) |
| 対象 | 中小企業事業者(全業種) |
| 補助上限額 | 最大100万円(コースにより異なる) |
| 申請受付期間 | 2026年5月20日〜2026年10月31日(第1段階は8月31日まで) |
| 支払請求期限 | 2027年1月31日 |
| 申請方法 | 郵送またはJグランツによる電子申請 |
| 公式サイト | www.jashcon-age.or.jp |
エイジフレンドリー補助金事務センター
(一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会)
〒105-0014 東京都港区芝1-4-10 トイヤビル5階
申請担当 電話 03-6381-7507
支払担当 電話 03-6809-4085
FAX 03-6809-4086
受付時間 平日10時00分〜12時00分 / 13時00分〜15時00分
(土日祝休み・12時〜13時は電話不可)
夏季休暇 8月10日〜8月14日
年末年始 12月29日〜1月3日
公式ホームページ
エイジフレンドリー補助金と一緒に使える補助金や、似た制度ってありますか?
ありますよ!職場環境・人材定着・賃上げという3つの軸で、セットで活用できる補助金が厚生労働省系を中心にいくつかあります。まず全体像をテーブルで見てもらいましょう。
業務改善助成金は最低賃金引き上げを前提に設備投資の費用を補助してくれる制度で、厚生労働省の別の補助金です。エイジフレンドリーは
労働災害防止が目的、業務改善は
賃金引き上げが目的と棲み分けができているので、同時期に活用できる可能性があります。
若手人材確保・定着事業助成金は令和8年度に新設されたES(社員満足度)向上系の助成金です。若手社員向けですが「人が定着する環境づくり」という観点は高年齢労働者対策と共通する部分が大きい。企業全体の働きやすさを向上させる視点でセットで考えると良いですよ。
賃上げ環境整備補助金2026は、賃上げに向けた職場環境の整備にかかる費用を最大300万円・補助率1/2〜3/4で支援する制度で、設備導入や業務改善の取組と組み合わせやすいです。
まさに!高年齢労働者が安全に働ける職場って、全年代の従業員にとっても良い職場のはずなんですよ。バリアフリーの設備や照明改善は若い人にも恩恵があるし、転倒防止の運動指導は全世代の健康増進につながる。エイジフレンドリー補助金を入口に、職場全体を良くしていくというアプローチが理想的です。
なるほど。この補助金は受付が2026年5月20日から始まっていますよね。今から動くとすると何をすればいいですか?
まずやってほしいのが3つあって、1つ目は公式のリーフレットとQ&Aを読むこと。
厚生労働省のページからダウンロードできます。2つ目は、自社の60歳以上の従業員数と職場のリスク状況を把握すること。3つ目は、どのコースが自社に合っているかを絞り込むことです。第1段階の申請期限が2026年8月31日と早いので、専門家にリスクアセスメントを依頼することを検討しているなら特に急いで動いたほうがいいです!
エイジフレンドリー補助金は全国対象ですよね?都道府県ごとに別の制度もあるんですか?
エイジフレンドリーは全国対象の国の補助金なので都道府県は関係ありません。ただし各都道府県・市区町村レベルで独自の雇用・職場環境改善補助金があったりするので、お住まいの地域の補助金ページもチェックするといいですね。お住まいの地域の補助金情報は以下からご確認ください。