室谷さん、「賃上げ環境整備補助金2026」って聞いたんですけど、これ北海道限定の補助金なんですか?
そうです(笑)。北海道の中小・小規模企業を対象にした補助金で、エネルギー価格の高止まりが続く中で「賃上げをしたいけど原資がない」という事業者を支援するために北海道が設けた制度です。正式名称は「中小・小規模企業賃上げ環境整備等支援事業費補助金」で、補助金額は最大300万円まで出ます。
えっ、300万円!それは結構大きいですね。どういう目的で使えるんですか?
生産性を上げるための設備投資とか、新商品・新サービスの開発、販路拡大といった取り組みが対象です。要するに「稼ぐ力を高めることで、その結果として従業員の賃金を上げられる環境を作る」ための経費を支援するというコンセプトです。
なるほど、直接賃金を補助するんじゃなくて、賃上げできる体力をつけるための投資を支援するわけですね。
まさにそこです。設備を入れて生産性が上がり、コストが下がり、売上が増えて、その分を従業員に還元する、というストーリーを描いてほしいんです。ちなみに2026年5月15日に公募が始まったばかりで、締め切りは2026年9月30日まで。受付期間が約4ヶ月半と長めなので、焦らず準備できます。
申請期間が長いのはありがたいですね。では、どんな会社が対象になるのか、もう少し詳しく教えてもらえますか?
中小企業っていっても幅がありますよね。具体的に何人以下、資本金いくら以下、という条件はどうなってますか?
業種によって違うんですよ。大きく4つに分かれています。
| 業種 | 資本金 | 従業員数 |
|---|
| 製造業・建設業・運輸業・その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
なお、資本金か従業員数、どちらか一方を満たせば対象になります。
じゃあ製造業で資本金が4億円あっても、従業員が200人なら対象になるってことですか?
そうです(笑)。「または」の関係なので。ただし「みなし大企業」は対象外です。大企業に株式の2分の1以上を持たれている会社や、役員の半数以上が大企業の役員・社員を兼ねているケースですね。
NPO法人は従業員300人以下であれば対象です。事業協同組合や商工組合も対象に入っています。ただし社会福祉法人、医療法人、学校法人、農業協同組合などは対象外になります。
個人事業主も対象です!北海道内に住所を有していることが条件ですが、規模の条件を満たせば申請できます。
これは割と幅広い事業者が使えそうですね。対象外になるポイントで気をつけることはありますか?
一番見落としがちなのが「従業員がいない」ことです。原則として従業員がいない事業者は対象外なんですが、「2026年1月以降に新たに採用する予定がある」場合は例外的に申請できます。ただしその場合、事業完了までに雇用が実現していないと補助対象外になるので要注意です。
なるほど、これから採用する予定でも申請できるんですね。あと、暴力団関係はダメというのは当然として、他に何かありましたっけ?
大事な要件がもう一つあります。それが「パートナーシップ構築宣言」への登録です。次のセクションで詳しく話しますね。
賃上げ環境整備補助金2026の通常枠と促進枠の比較図
パートナーシップ構築宣言って何ですか? 聞いたことはあるんですけど。
国が推進している取り組みで、発注側企業と受注側企業が「共存共栄の関係を作りましょう」という宣言をポータルサイトに登録するものです。要するに「取引先に不当にコストを押し付けない、適正な価格で取引する」という姿勢を対外的に示す制度です。
そうです。この補助金を使うには、事前にポータルサイトへの登録・公表が完了していることが必要です。登録してから公表されるまでに時間がかかるので、今すぐ登録しておくことを強くおすすめします。
申請期限の直前に登録しても間に合わない可能性があるんですね。
ありますね。公表には数週間かかることもあるので、申請を考えている方は今すぐ手続きを始めてください。これが揃っていないと書類審査でアウトになります。申請要件の話が出たので、次は肝心の補助額について見ていきましょう。
この補助金には「通常枠」と「促進枠」の2つがあるって聞いたんですが、どう違うんですか?
大きく違うのは「賃上げ率の要件」と「補助率・上限額」です。比べてみましょう。
| 項目 | 通常枠 | 促進枠 |
|---|
| 補助上限額 | 200万円 | 300万円 |
| 補助率 | 1/2(50%) | 3/4(75%) |
| 賃上げ要件 | 賃上げ率0%超(少しでも上げればOK) | 賃上げ率4.0%以上 |
| 比較基準月 | 2025年12月時点 | 2025年12月時点 |
ほんとに全然違いますね(笑)。促進枠は補助率が3/4って、ざっくり400万円の経費なら300万円もらえるってことですよね?
正確にはそうです!経費400万円に対して補助率3/4なら300万円の補助になります。通常枠だと同じ400万円の経費で200万円ですから、促進枠は実質的に倍近く有利です。
じゃあ全員が促進枠を狙えばいいってことにはならないんですか?
「4%以上の賃上げ」ができる見込みがあるかどうかです。ハードルが高い反面、実現できる企業にとっては断然促進枠が得です。2025年12月の平均賃金から4%以上引き上げる事業計画を組めるかどうか、まず社内で試算してみてください。
従業員の平均時給換算で計算します。基準月(2025年12月)の賃金台帳が必要で、各従業員の時給換算額を出して、それが事業完了時にどれだけ上がったかを計算します。月給制の方も時給換算に直して比較するので、申請前に一度シミュレーションしてみるといいです。
なるほど。どちらの枠で申請するかは、自分で決めていいんですか?
自分で選択します。ただし審査の結果、補助金額が減額されることもありますので、計画は余裕を持って立ててください。次は、実際どんな経費に使えるのかを見ていきましょう。
補助金を何に使っていいか、使っちゃいけないかって、意外と細かいですよね。
ほんとに(笑)。まず対象経費の全体像を見てみましょう。
| 経費区分 | 内容 | 具体例 |
|---|
| 機械装置・システム等費 | 設備・機械の導入費用 | 冷凍自動販売機、組立ロボット、生産管理システム |
| クラウド使用料 | クラウドサービス利用料(事業期間内) | 在庫管理SaaS、CRMツール |
| 広報費 | パンフレット・チラシ・デジタル広告 | 会社案内制作、SNS広告費 |
| 展示会等出展費 | 展示会・商談会への出展費 | 出展料、旅費 |
| 開発費 | 新商品・包装パッケージの試作開発 | 設計費、デザイン費 |
| 雑役務費 | 補助的作業の人件費 | 軽微な補助作業 |
| 借料 | 機器・設備のリース・レンタル料 | システムのリース料(家賃は除く) |
| 専門家謝金 | 専門家への指導・助言費用 | コンサルタント、ITアドバイザー |
| 委託費 | 業務の一部を外部に委託する費用 | 業務委託費 |
| 外注費 | 建築工事・機械改良工事等の外注 | 設備改良工事 |
| 運搬費 | 運搬・宅配・郵送料 | 機器の搬入費用 |
| 研修費 | 教育訓練・講座受講費用 | 従業員スキルアップ研修 |
結構いろんな経費が使えるんですね。機械だけじゃなくて、展示会に出展する費用も使えるのか。
そうです。飲食店が冷凍食品自動販売機を導入して無人販売を始めるとか、製造業が業務用3Dプリンターを入れて内製化するとか、VRシステムを使った新しいサービスを始めるとか、幅広い取り組みが対象になります。
要注意なものを挙げます。まず事務所の家賃、光熱水費、電話代・通信費は完全にアウトです。あとフランチャイズ加盟料、商品券などの金券類も使えません。消耗品も対象外なので、ペン一本単位のものは申請できません。
パソコンは「本事業専用」と言えるかどうかがポイントです。補助事業以外でも普通に使えるような汎用パソコンは対象外ですが、導入するシステムの一部として専用端末として位置づけられる場合はOKです。
迷ったら事務局(TEL: 011-351-0047)に確認するのが一番安全です。事前相談を嫌がる担当者はほとんどいないので、積極的に使ってください。もう一点大事なのが、10万円以上の物品を購入する場合は2社以上から見積もりを取る必要があります。忘れると申請書類の不備になります。
補助金申請の流れ(フローチャート図)
実際の申請はどうやってするんですか? このご時世、電子申請ですよね?
電子申請と郵送申請の両方が使えます。Jグランツは使えませんので注意してください。
2パートナーシップ構築宣言の登録確認
biz-partnership.jpへの登録・公表が完了しているか確認。まだの場合は先に登録(公表まで数週間かかる)。
4審査・交付決定
書類審査の後、交付・不交付の決定通知が届く。補助額が減額されることもある。書類不備は電話・メールで連絡あり。
5事業の実施
交付決定通知を受け取った後に事業を開始。交付決定前に発注・購入した経費は対象外(※ただし2026年2月20日以降に発生した経費は例外的に対象可)。
6実績報告
事業完了後14日以内、または2027年1月8日のいずれか早い日までに「事業実績報告兼補助金交付請求書」を提出。
7補助金の入金
事務局が内容審査後、確定通知書を郵送して指定口座に補助金を振り込み。
申請後に事業内容を変更したい場合はどうすればいいですか?
必ず事前に事務局に連絡してください。実績報告時に変更が発覚すると補助金が支払われないケースがあります。変更があったらすぐ連絡、これが鉄則です。
〒063-8691 札幌西郵便局 郵便私書箱第39号、賃上げ環境整備補助金2026事務局、です。料金不足だと返却になるので、追跡できる方法で送ってください。
審査があるということですが、どんな観点で審査されるんですか? どうすれば採択されやすいですか?
公式には審査基準の詳細は開示されていませんが、いくつかのポイントを押さえると有利です。
- 賃上げとの因果関係を明確に: 「この設備を入れると生産性がX%上がり、売上がY万円増え、従業員に還元できる」というストーリーを数字で説明する
- 促進枠を狙う: 4%以上の賃上げ計画が現実的なら積極的に促進枠を選択。補助率が高く、審査側にも本気度が伝わる
- 取り組みの新規性を強調: 単純な機器の入れ替えより、新事業展開・新分野参入・販路拡大といった成長ストーリーがある方が評価されやすい
- 2社以上の見積もり: 10万円以上の購入には必ず2社見積もりを取得。1社しか取れない場合は理由書を添付
- 書類の不備をなくす: 採択後でも取り消されるケースがある。2025年12月の賃金台帳・パートナーシップ構築宣言の宣言文・振込先口座の写しなど、必要書類を漏れなく揃える
できません(笑)。「採択結果についての理由開示及び異議申し立ては一切受け付けない」と明記されています。だからこそ一発で通れるよう、申請書の完成度を上げることが大事です。
あります。申請額より補助金額が下がる可能性があるので、事業計画には多少の余裕を持たせておくことをおすすめします。いきなり「全額補助が前提」で計画を立てると、減額されたときに事業が回らなくなります。
ところで「Jグランツは使えない」ってさっき言ってましたよね。これ珍しくないですか?
珍しいですね(笑)。この補助金は北海道の事業なので、国のシステムであるJグランツには対応していないんです。専用ホームページからの電子申請か郵送申請のどちらかです。
そうです。一法人(または個人)につき一申請のみ。同じ会社の別の営業所がそれぞれ申請するのも不受理になります。グループ会社があっても法人ごとに一申請ですね。
原則として、同一の補助対象経費に対して国・道・市町村の他の補助金を重複して使うことはできません。ただし、異なる経費に対して別々の補助金を使うのは問題ありません。どの補助金が何の経費をカバーしているかを明確に整理して申請してください。
採択発表ってどのくらいのタイミングでわかるんですか?
審査結果の通知時期については公式サイトに記載がなく、事務局に問い合わせるのが確実です。電話番号は011-351-0047です。平日9時〜18時に対応しています。
| 項目 | 内容 |
|---|
| 補助金名称 | 賃上げ環境整備補助金2026(中小・小規模企業賃上げ環境整備等支援事業費補助金) |
| 対象地域 | 北海道内 |
| 公募期間 | 2026年5月15日(金)〜2026年9月30日(水) |
| 補助上限額 | 通常枠: 200万円 / 促進枠: 300万円 |
| 補助率 | 通常枠: 1/2 / 促進枠: 3/4 |
| 賃上げ要件 | 通常枠: 2025年12月比で引き上げ / 促進枠: 4.0%以上引き上げ |
| 申請方法 | 電子申請(専用ホームページ)または郵送申請 |
| Jグランツ | 非対応 |
| 実施機関 | 賃上げ環境整備補助金2026事務局(北海道補助事業) |
| 問い合わせ電話 | 011-351-0047(平日9時〜18時) |
| 公式ホームページ | https://chinage-support2026-hokkaido.jp/ |
- Jグランツは使えない: 国のシステムには非対応。専用サイトか郵送のみ
- パートナーシップ構築宣言の事前登録必須: 公表まで数週間かかるため、今すぐ登録を
- 予算上限到達で早期終了あり: 9月30日前に締め切られる可能性がある
- 現金払い不可: 銀行振込かクレジットカードのみ
- 消費税は補助対象外: 経費は税抜き金額で計算
北海道で使える補助金って、この賃上げ系以外にもありますか?
あります。特に中小企業の競争力強化や人材育成に特化した補助金がいくつか同時期に公募されています。
この賃上げ環境整備補助金と組み合わせて使うことはできますか?
同一の経費に対して重複申請はできませんが、使途を分けることで複数の補助金を活用する戦略は有効です。例えば「賃上げ環境整備補助金で設備投資」「人材育成支援事業で研修費」のように分けて活用することを検討してみてください。
ありがとうございます。最後にまとめると、今すぐやるべきことって何ですか?
3つです。まずパートナーシップ構築宣言の登録。これが揃わないと申請できません。次に2025年12月の賃金台帳の確認。賃上げ率の計算に必要です。そして事業計画の立案。設備投資や販路拡大でどう生産性を上げ、その結果どれくらい賃上げできるかのストーリーを数字で書いてみてください。公募期間は2026年9月30日まであるので、焦らずしっかり準備して、一発で採択を目指しましょう!