室谷さん、最近また補助金の問い合わせが増えてますよね。特に北海道の建設業者さんからが多いって聞いて。
そうなんですよ。2024年問題の影響がここにきて本格的に出てきてるんですよね。時間外労働の上限規制が建設業にも適用されたじゃないですか。北海道の建設業者さんって、積雪期の工期短縮で元々タイトなスケジュールで動いてるんで、そこに規制が重なってかなり苦しい状況で。
そうです。冬場は現場が止まるから実質稼働は8〜9ヶ月しかない。それで工期を守ろうとすると、どうしても繁忙期に残業が集中する構造なんですよね。だから補助金を活用して省力化・効率化に投資しようって機運が高まってて。
大きく4つに分かれてて。ICT施工の導入、建設機械のEV化、断熱・ZEB工事の受注強化、それから担い手確保。それぞれに使える補助金が全然違うんで、まずどの課題を優先するかを決めるのが重要なんです。
北海道の建設業 主要補助金 早わかり比較
まずICT化・設備投資系から聞きたいんですけど、やっぱり「ものづくり補助金」ですか?
そうですね、建設業者さんで設備投資・生産性向上を考えてるなら、まず
ものづくり補助金(22次締切)を外せないです。中小企業が取り組む革新的な生産プロセス改善に使えて、補助率は中小企業で
2/3、一般的な上限は1,250万円というのが目安です。
1,250万円はでかいですね!建設業でどんな使い方をするんですか?
一番多いのはICT施工機器の導入ですね。ドローン測量システム、3Dスキャナー、施工管理アプリのライセンス料やサーバー費用。北海道みたいに広大な現場で測量するとなると、従来の人手測量より圧倒的に効率が上がるんで、採択審査でも「生産性向上の根拠が出しやすい」っていう特徴があります。
ものづくり補助金の採択率ってざっくり40〜50%くらいなんですけど、建設業で採択されやすいのは「数値計画が具体的なもの」です。例えば「測量時間を現状の30時間から8時間に短縮し、年間2,000万円のコスト削減を見込む」みたいに、投資対効果を定量化できる案件が強い。「なんとなくDXしたい」だと通らないんですよね(笑)。
なるほど、ちゃんと事業計画書で数字を出せって話ですね。
そうです。あと申請の3ヶ月前にはGビズIDを取っておいてください。jGrantsで電子申請するときに必須なんですよ。これを知らずに公募期間ギリギリに動くと間に合わなくて泣きを見る人が毎回いて(笑)。
建設業に特化した補助金もあるって聞いたんですけど?
建築BIM加速化事業がそれですね。
建築BIM加速化事業は、設計・施工・MEP(設備)の複数の事業者が連携してBIMデータを作成・活用する場合に、設計費や建設工事費の一部を補助してくれる国土交通省の制度です。
BIMって最近よく聞くんですけど、建設業者さんにとってどういうメリットがあるんですか?
簡単に言うと「建物の3D設計データを共有して、設計・施工・維持管理を一気通貫でデジタル化する」仕組みです。北海道の建設業者さんで言うと、雪の多い屋根形状の最適化シミュレーションとか、凍結深度に対応した基礎設計の確認とか、地域特有の課題にBIMが効果を発揮しやすい。
まさにです。官庁工事でもBIM活用を求める案件が増えてきていて、導入した事務所は入札で有利になってきてます。補助金を使って先行導入しておくのが得策ですね。
あと、省力化投資補助金っていうのも聞いたんですけど?
ああ、
高度安全機械等導入支援補助金ですね。
高度安全機械等導入支援補助金は、建設現場の労働災害防止に役立つ高度な安全機能を持つ機械の導入を支援する補助金です。1台当たり50〜100万円の支援が受けられます。建設業は他産業と比べて労働災害の発生率が高い業種なので、これを活用して安全管理コストを下げながら現場安全水準を上げることができます。
ほぼ建設業向けです。転落防止機能付きの高所作業車、過積載防止装置付きのダンプ、こういった高機能な安全設備を入れるときに使えます。審査も通りやすくて採択実績も多い。中小の建設業者さんには積極的に活用してほしい制度ですね。
建機のEV化って、北海道の建設業者さんには特に重要な話ですか?
かなり重要です。まず環境面での規制が強まってるというのが一点。あとは電気代の問題があって、ガソリン・軽油の価格高騰の影響をまともに受けている業種なんで、電動化でランニングコストを下げたいというニーズが強いんです。
電動建機補助金(令和7年度補正)が本命です。正式名称は「商用車等の電動化促進事業(建設機械)」で、GX建設機械認定を受けた電動建機の導入コストを補助してくれます。
補助率は電動建機と従来機の差額の2/3または本体価格の1/2のどちらか低い方が適用されます。
上限額が14億円超えてますよね?さすがにそこまで使えることはあまりない?
(笑)そうですね、14億円はあくまで制度上の上限で、一般的な中小建設業者さんが1台2台導入するケースでは数百万〜数千万円レベルになります。でも電動ミニショベル1台入れるとして数百万円の差額の2/3って相当でかいですよ。しかも申請期間が2027年1月29日まであるので余裕を持って動けます。
北海道の寒冷地でバッテリーの性能が落ちる問題はないんですか?(笑)
鋭い質問で(笑)。現状の電動建機はマイナス20度前後まで動作保証しているモデルが増えていて、北海道でも使える製品は出てきています。ただし屋外充電設備の凍結対策は必要なので、充電インフラの整備もセットで考えることをお勧めします。充電設備の費用も補助対象になります。
そうなんです。「本体だけ買って充電できない」なんてことにならないように制度設計されてるので、ぜひ一緒に申請してください。
最近、北海道って断熱改修の需要がすごく高いって聞いてるんですが、建設業者さんが「施工業者」として受注するときに使える補助金はあるんですか?
これは大事な視点で、建設業者さんが「施工する側」として活かす方法と、「建設業者自身の拠点建物を改修する側」として使う方法と、2種類あります。
発注者側が使う補助金を建設業者さんが「活用提案」して受注につなげる戦術です。特に
建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業(環境省R8年度)は、業務用建築物をZEB化・省CO2化改修する際に事業者・地方公共団体等に対して補助が出ます。施主がこれを使うと改修費の補助が受けられるので、「補助金活用込みのプロポーザル」で受注競争力を持てます。
なるほど!「うちに頼むと補助金使えますよ」っていう提案ができるわけですね。
まさにそれです。競合他社が同じ見積もりを出してきたとき、「補助金活用で実質コストはこうなります」って提案できる業者が強いんですよ。北海道って全国でも特にZEBニーズが高い地域で、寒冷地だから暖房コストの削減効果が大きいし、脱炭素への意識も経済合理性と一致しやすい。
既存住宅の断熱リフォーム支援事業(環境省R7補正)があります。一般住宅の断熱改修工事に補助が出て、北海道では需要が非常に高い制度です。住宅リフォームを手掛ける建設業者さんが施主への提案ツールとして活用できます。ただしこの制度は指定製品・指定施工業者登録が必要なので、事前に事務局に確認してください。
| 補助制度 | 対象 | 特徴 |
|---|
| ZEB化・省CO2化普及加速事業 | 業務用建築物 | 発注者への提案ツールとして活用 |
| 既存住宅断熱リフォーム支援 | 一般住宅 | 指定施工業者登録が必要 |
| 建築GX・DX推進事業 | 建築物全般 | BIM活用と断熱のセット申請も可能 |
業務用建築物の脱炭素改修として同じ環境省の補助制度が使えます。北海道の建設業者さんって年間半分近くは現場詰め所や事務所で過ごすことも多いので、暖房費の削減効果がかなり大きいんですよね。初期投資を補助で抑えて、ランニングコストで回収するモデルが作りやすい。
建設業の人手不足って本当に深刻ですよね。北海道は特に?
深刻なんですよ。建設業って全国的に人手不足なんですけど、北海道の場合は人口流出が続いていて若い担い手が来ない。しかも外国人労働者の受け入れ体制も都市部と比べると整備が遅れていて、三重苦みたいな状態で。
はい、まず
業務改善助成金(厚生労働省、令和7年度)ですね。
最低賃金を30円以上引き上げて、同時に設備投資を行うと最大600万円が助成されます。補助率は3/4〜4/5と高い。
賃上げと設備投資がセットになってる制度なんですね。
そうなんです。建設業って重労働なのに賃金が低い、っていうイメージを変えていかないと若者が来てくれない。賃上げのための体力を設備投資で補うっていうモデルが業務改善助成金の狙いで、建設業者さんにとっては結構使いやすい制度です。
単独では小さいですが、ものづくり補助金や業務改善助成金と組み合わせて使えます。補助金って複数の制度を掛け合わせることで初めて大きな投資が可能になるんですよね。「まず働き方改革助成金で勤怠管理システムを入れて、次のものづくり補助金でICT施工に進む」みたいなロードマップを立てることが重要です。
高齢の職人さんが多い建設現場向けに特化した助成金もあるって聞いたんですが?
エイジフレンドリー補助金ですね。高齢労働者が多い職場での安全対策・健康管理投資に最大100万円(補助率1/2〜4/5)が支給されます。建設業って60代以上のベテランが現場を支えているケースも多いので、これを使って転落防止設備の充実や健診体制の整備をする業者さんが増えています。
- 外国人技能実習生の受け入れを検討するなら、北海道建設業協会に相談窓口がある
- 「建設産業ミライ振興支援事業補助金」(北海道独自)は女性・外国人・移住者の入職促進に使える補助金(上限100万円・補助率1/2)
- 人材育成と設備投資はセットで計画する。「採用できたが現場道具が古くて辞められた」という事例が多い
北海道独自の補助金もあるって冒頭に少し出てきましたが、詳しく教えてください。
2種類あって、まず1つ目が先ほど触れた建設産業ミライ振興支援事業補助金です。北海道建設部が担い手確保・育成に取り組む建設業団体等を支援する補助金で、上限100万円・補助率1/2です。女性の入職促進、外国人材の受入、デジタル人材の育成などが対象になります。令和8年度は2026年5月15日に募集終了してしまいましたが、来年度も継続が見込まれます。
2026年5月15日で令和8年度募集は終わっています。ただ毎年度実施されているので、来年度に向けて今から準備しておくといいですよ。
賃上げ環境整備補助金2026です。これ、建設業者さんにとってかなり使いやすい制度で。北海道内の中小・小規模企業向けに設備投資・新事業展開・デジタル化に最大300万円(補助率1/2〜3/4)が出ます。2026年9月30日まで受け付けているので、今から動けば十分間に合います。
通常枠(上限200万円・補助率1/2)と促進枠(上限300万円・補助率3/4)があって、促進枠は平均賃金を4%以上引き上げることが条件です。建設業って賃上げ意欲は高いんだけど資金力が伴わないというケースが多いので、設備投資で生産性を上げながら賃上げ原資を作るという王道パターンで使える制度ですね。
北海道中小企業新応援ファンドってのも見かけたんですが、建設業者も使えますか?
使えます。製品開発チャレンジ支援事業(上限50万円)、地域資源活用型事業化実現事業(上限150万円)、創業促進支援事業(上限100万円)の3つがあって、建設業者さんでも対象になります。ただこれは「新事業・新製品開発」の色が強いので、既存事業の効率化投資というより、建設業者が新サービスに展開するときに使う感じですね。
- 多くの補助金は後払い(先に投資して後から補助金が入金される)→資金繰り計画が必須
- 補助事業期間中の設備変更・転用は認められない場合がある
- 電子申請のためのGビズIDは取得に2〜3週間かかるため、公募前に準備すること
- ものづくり補助金は申請後の採択発表まで数ヶ月かかる→採択後に設備投資を開始すること(採択前発注はNG)
建設業者のための補助金申請 5ステップ
実際に申請するとき、どういうステップで動けばいいんですか?
北海道内だとメガバンク・地方銀行・信金・商工会議所・税理士・中小企業診断士が認定を受けています。北海道中小企業支援センター(hsc.or.jp)が無料相談窓口を持っているので、まずここに問い合わせるのが一番楽ですよ。
ものづくり補助金の採択率って実際どのくらいですか?
直近の採択率はざっくり40〜50%程度です。2人に1人は通らない計算なので、事業計画書の質で勝負が決まります。建設業で採択率を上げるコツとして、①地域特性(北海道の冬期・広域性)を投資の必然性に結びつける、②導入前後の数値比較を具体的に示す、③賃上げ計画を明記する(加点される)、という3点が特に効きます。
そうです。ものづくり補助金は賃上げ率に応じて補助率が上がる加点制度があって、3%以上の賃上げを宣言すると補助上限額が1,250万円から1,500万円に引き上げられるケースもあります。業務改善助成金と組み合わせて「補助金で設備投資→生産性向上→賃上げ→また補助金」というサイクルを作れると理想的ですね。
- 積雪・冬期休工で繁忙期の課題が明確→事業計画書に説得力が出やすい
- ICT施工は広大な現場での効果が大きく、投資対効果を数値化しやすい
- 洋上風力・再エネ関連の工事需要が急増中→新分野展開の文脈で使える補助金が多い
- 北海道独自補助金が充実(賃上げ環境整備補助金・建設産業ミライ補助金等)
結局どれを優先して申請すればいいのか迷いますよね。課題別に分けて教えてもらえますか?
課題別でまとめると、こんな感じで考えてもらえればと思います。
| 課題 | おすすめ補助金 | 補助上限 | 申請難易度 |
|---|
| ICT施工・BIM導入 | ものづくり補助金 | 最大1,250万円 | ★★★(中〜高) |
| 建機EV化 | 電動建機補助金 | 最大14.3億円 | ★★(中) |
| 断熱・ZEB工事受注強化 | ZEB化事業(発注者向け提案) | 工事費の1/3〜2/3 | ★★(中) |
| 最低賃金引上げ | 業務改善助成金 | 最大600万円 | ★(低) |
| 担い手確保・人材育成 | 働き方改革助成金 | 最大137万円 | ★(低) |
| 安全設備導入 | 高度安全機械等導入支援補助金 | 50〜100万円/台 | ★(低) |
| 北海道独自賃上げ支援 | 賃上げ環境整備補助金2026 | 最大300万円 | ★(低) |
| 高齢者雇用継続 | エイジフレンドリー補助金 | 最大100万円 | ★(低) |
初めて補助金申請する事業者さんには、難易度低めの業務改善助成金か働き方改革助成金から始めることをお勧めします。申請書類の準備に慣れて「補助金申請のノウハウ」を社内に蓄積してから、ものづくり補助金という王道パターンで。
制度によりますが、多くは同時申請・併用可能です。ただし「同じ経費に対して2つの補助金を申請する」のはNGです。例えばICT機器の購入費をものづくり補助金と別の補助金で二重取りすることはできない。経費を分けて使い分けることが大切です。
今日のまとめとして、北海道の建設業者さんへのメッセージをお願いします。
北海道の建設業って、冬期制約・広域現場・担い手不足という課題がある反面、それがそのまま補助金を使う「強い根拠」になるんです。「なぜ投資が必要か」を語りやすい業種だから、事業計画書の説得力が出やすい。この優位性をぜひ活かしてほしいですね。
「課題があるから補助金を使いやすい」という逆転の発想ですね(笑)。
そうです(笑)。まずGビズIDを取って、ものづくり補助金の公募スケジュールを確認する。そこから始めれば大丈夫です。迷ったら北海道建設業協会か北海道中小企業支援センターに相談してみてください。補助金活用の実績がある支援機関が多いので、頼れるところがたくさんあります。
ありがとうございました!他の都道府県の建設業向け補助金情報は
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