富山県の研究開発補助金 選び方フローチャート
室谷さん、うちのお客さんで富山県の製造業者がいて「研究開発に補助金が使えないか」って聞いてくるんですけど、正直どこから手を付けたらいいか分からなくて。
あー、それ迷うやつですよね(笑)。研究開発って一口に言っても、大学と組んでガチで技術開発するのか、自社の新商品開発なのか、知財まわりなのかで全然違う補助金になってくるんですよ。
確かに!「研究開発」ってくくりが大きすぎますよね。
そうなんです。富山県って実はものづくり補助金だけじゃなくて、県独自の産学官連携補助金や、中小企業庁のGo-Tech事業の管理機関として富山県新世紀産業機構(TONIO)が動いてる、けっこう厚い支援体制があるんです。国制度と県制度をうまく組み合わせると、相当な額が引けるんですよ。
TONIOって聞いたことあります。公益財団法人ですよね?
そうです。富山市高田にある支援機関で、補助金の窓口や事業管理機関として機能してます。Go-Tech事業なんかは、TONIOが事業管理機関にならないと富山の企業は申請できない仕組みなので、最初に相談するなら絶対ここです。
Go-Tech事業って何ですか?名前がカッコいいですけど(笑)
元々「サポイン事業」って呼ばれてたやつで、令和4年度からGo-Techに名称変更されました。中小企業が大学や公設試験研究機関と組んで、ものづくり基盤技術の高度化を目指す研究開発を国が最大3年間支援する制度です。
必須ですね。単独申請はできなくて、事業管理機関(TONIOが担当)+主たる中小企業者+大学や公設試という共同体で申請します。富山大学や富山県立大学、富山産業技術研究開発センターなんかと連携するケースが多いですよ。
これが大きいんですよ。通常枠だと単年度あたり4,500万円以下、2年間合計で7,500万円、3年間合計で9,750万円。大型研究開発枠になると、単年度1億円、3年間で3億円まで出ます。補助率は中小企業2/3以内です。
9,750万円!それはすごい金額ですね。採択される確率はどのくらいですか?
令和8年度は通常枠で全国120件程度の採択予定です。全国規模なので競争はあるんですけど、TONIOが事前相談から提案書作成まで伴走してくれるので、富山の企業は他県よりサポートが手厚い。実際、令和7年度も富山県から複数件が採択されてます。
TONIOに早めに相談するのが大事ってことですね。
公募開始から締切まで2ヶ月くらいしかないので、日頃から関係を作っておくのが肝心です。公募期間が短いのがGo-Techの最大の注意点で、令和8年度は2026年2月16日公募開始、4月17日17時締切でした。来年度もほぼ同時期になるはずです。
Go-Techは大型ですけど、もっと小規模な研究開発向けの補助金もありますか?
ありますよ。富山県が独自にやってる「産学官オープンイノベーション推進事業費補助金」がそれです。県内に事業所を持つ企業と大学・公設試の研究者で構成される産学官連携グループが、共同研究開発する場合に補助を受けられます。
規模感と対象が違います。産学官オープンイノベーション補助金は上限1,000万円、補助率は2/3(県内大学の共同研究費は10/10)。全国制度じゃなくて富山県内の企業グループが対象なので、地域密着感があります。富山大学、富山県立大学、富山高等専門学校、富山県産業技術研究開発センターといった県内機関との連携が主な活用パターンです。
補助率10/10っていうのは全額補助ってことですか?
県内の大学・公設試が受け取る共同研究費の部分については全額補助です。企業側の費用は2/3補助ですけど、大学側の研究費が全額でるのはかなり使いやすい設計ですよ。富山大学の先生と組みやすくなってます。
令和7年度は申請期間が2025年4月21日〜5月22日でした。毎年4〜5月に公募が出る流れなので、年度初めにアンテナを張っておくのが重要です。詳細はTONIOのウェブサイトで確認できますよ。
もっと大きな産学連携、たとえば大学とがっつり組んで拠点を作るような話だとどうなりますか?
それだと経産省の「産業技術・環境・産業標準政策推進研究開発等事業費補助金(産学融合拠点創出事業)」が使えます。大学と産業界が一体型・融合的に研究開発と人材育成を行う先導的モデルを作る場合で、上限1億1,000万円の定額補助です。
そうなんです(笑)。これは結構珍しいパターンで、コンソーシアム形式での申請も可能です。富山大学と組んで医薬品や新素材の研究拠点を作りたい、というような大きな話のときに検討する制度ですね。詳細は
産学融合拠点創出事業のページで確認できます。
富山って薬の産地ですもんね。製薬関係の研究開発ニーズが高そう。
そうですよ!富山は薬業が300年以上の歴史を持つ産業で、製薬・医薬品関係の中小企業が多い。だからヘルスケア分野の研究開発補助金は特に相性がいいんです。
富山県の研究開発補助金 金額・補助率比較
富山って薬の産地だから、ヘルスケア系の補助金も充実してそうですね。
国レベルで言うと「ヘルスケア産業国際展開推進事業費補助金」があります。補助上限2億円、大企業1/3・中小企業2/3で、医療機器や介護サービス、フェムテックなんかの海外展開を支援する制度です。富山の医薬品・健康食品メーカーが海外で実証調査をしたい場合などに活用できます。
フェムテックって最近よく聞きますけど、それも研究開発補助金の対象になるんですか?
なります。「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」は経産省が令和3年度から続けてる制度で、上限1,000万円(大企業含む場合は800万円)、補助率2/3です。女性の健康課題解決に関連するサービスの実証事業が対象で、富山県内の企業と医療機関が連携するケースも増えてます。
フェムテック補助金の詳細はこちら。
食品系の研究開発はどうですか?富山は海産物が豊富で、食品加工の企業も多いんですよね。
フードテック分野なら農水省の「フードテックビジネス実証事業」ですね。上限2,000万円、補助率1/2以内です。代替タンパク質、スマートキッチン、食品ロス削減技術なんかが対象で、食品事業者や流通事業者が単独かコンソーシアムで申請できます。富山の魚介類を使った機能性食品の研究開発なんかはど真ん中ですよ。
フードテック事業の詳細はこちら。
いけますよ。さらに「資源循環分野の脱炭素化促進事業」は廃棄物処理・リサイクル技術の海外FS調査を支援する補助金で、上限4,400万円、中小企業は補助率2/3。富山の製造業がASEANに技術展開するようなケースで使いやすい制度です。
詳細はこちら。
研究開発の成果を特許で守りたいっていうニーズもありますよね。
それ大事ですよね。せっかく開発してもノウハウが守れなかったら意味ない。知財まわりだと富山県の独自制度として「中小企業等海外展開支援事業費補助金(海外出願支援事業)」があります。富山県内の中小企業が外国で特許・実用新案・意匠・商標を出願する際に費用の1/2を補助する制度で、1企業あたり年間上限300万円です。
海外特許って費用が高いですよね。1件で数十万〜百万かかることもあると聞きますが。
そうなんです。PCT出願(国際出願)だと翻訳費も含めると1案件150万〜250万円くらいかかることもある。それが半額になるのは大きいです。富山県の場合は
特許1案件あたり上限150万円、実用新案・意匠・商標は各60万円の補助が受けられます。窓口はTONIOです。詳細は
富山県海外出願支援補助金のページで確認できます。
あります。INPITが運営する「INPIT外国出願補助金」が全国の中小企業向けで、補助率1/2、上限300万円です。富山県の制度と重複して使えない場合もあるので、どちらが有利か事前に比較したほうがいいですね。
INPITの補助金詳細はこちら。
経産省の「国際ルール形成・市場創造型標準化推進事業費補助金」ですね。ISO・IEC等の国際標準化活動を支援する制度で、補助率2/3以内、上限3,000万円。富山の化学メーカーや素材メーカーが国際標準の主導権を取りにいく場合などに使えます。
標準化補助金の詳細はこちら。
| 補助金名 | 実施主体 | 補助上限 | 補助率 | 特徴 |
|---|
| Go-Tech事業(通常枠) | 中小企業庁 | 9,750万円(3年間) | 2/3以内 | 大学・公設試との連携が必須 |
| Go-Tech事業(大型枠) | 中小企業庁 | 3億円(3年間) | 2/3以内 | 高度技術開発向け |
| 産学官オープンイノベーション補助金 | 富山県(TONIO) | 1,000万円 | 2/3(大学側10/10) | 富山県内限定・毎年4〜5月公募 |
| 産学融合拠点創出事業 | 経産省 | 1億1,000万円 | 定額 | 産学連携拠点構築向け |
| ヘルスケア産業国際展開推進補助金 | 経産省 | 2億円 | 中小2/3、大企業1/3 | 医療・介護・健康の海外展開 |
| フェムテック等実証事業費補助金 | 経産省 | 1,000万円 | 2/3 | 女性健康課題解決サービス |
| フードテックビジネス実証事業 | 農水省 | 2,000万円 | 1/2以内 | 食品×テクノロジーの実証 |
| 資源循環脱炭素化促進事業 | 環境省ほか | 4,400万円 | 中小2/3、大企業1/2 | リサイクル・廃棄物技術の海外展開 |
| 富山県外国出願支援補助金 | 富山県(TONIO) | 300万円 | 1/2 | 海外特許・商標出願支援 |
| INPIT外国出願補助金 | INPIT | 300万円 | 1/2 | 全国の中小企業向け国際特許支援 |
| 国際標準化推進事業費補助金 | 経産省 | 3,000万円 | 2/3以内 | ISO・IEC等の国際標準化活動 |
Go-Techって競争が全国規模って言ってましたけど、採択されやすくするコツとかあります?
いくつかあります。まず「特定ものづくり基盤技術」の26技術分野のどれかに該当するか確認すること。これが審査の大前提なんです。鋳造、鍛造、切削、めっき、熱処理、樹脂成形、プレス、溶接、繊維加工、情報処理、精密加工…富山の製造業だとたいていどれかに当てはまります。
広いですよ。次に大事なのが「大学側の研究者の熱量」です(笑)。共同申請なので、大学の先生が本気で研究したいテーマと、企業のニーズがマッチしてるかどうかが採択の分かれ目になります。TONIOのマッチングを活用して、相性のいい研究者を探すのが近道です。
法人向けの認証IDで、国の補助金申請システム(jGrants)を使うときに必要です。プレミアム登録だと2〜3週間かかるので、公募前から取得しておくこと。これを怠って「締切に間に合わない!」って話はよくあります(笑)
- GビズIDプレミアムの取得には2〜3週間かかる。公募後に気づいても間に合わない
- Jグランツへの法人登録も済ませておく
- 決算書・研究開発計画書は公募前から準備を始める
- Go-Tech事業は「共同申請」のため、連携相手との合意形成に時間がかかる
後払いって聞いたことあるんですけど、資金繰りはどうなるんですか?
これは盲点なんですけど、補助金は基本的に後払いです。研究開発費を先に立て替えてから、精算して補助金が振り込まれる流れ。数千万円規模だと、その間の資金繰りが厳しくなる企業もある。日本政策金融公庫の補助金つなぎ融資や、地方銀行との事前相談を並行して進めておくことをおすすめします。
- TONIO(富山県新世紀産業機構): Go-Tech事業の事業管理機関、産学官補助金の窓口。Tel 076-444-5607
- 富山大学: 医薬品・素材・情報系の研究シーズ豊富。産学連携コーディネーターが常駐
- 富山県産業技術研究開発センター: 素材・機械・電子・食品分野の試験研究機関。設備利用や技術支援も
- 富山県立大学: 工学系・ソフトウェア工学に強み。スタートアップとの連携実績あり
- よろず支援拠点(TONIO内): 無料経営相談。補助金の前段階の相談にも対応
富山って大学も複数あって、産業支援機関も充実してるんですね。
規模の割にインフラが整ってる県なんですよ。特にアルミ産業が強くて、TONIOが「アルミ産業成長力強化戦略推進事業」という独自の研究開発支援もやってます。アルミのグリーン化や循環型産業へのシフトで、素材メーカーや機械メーカーへの支援が手厚い。
富山はアルミも有名なんですね。他にどんな産業が盛んですか?
医薬品、アルミ、機械・金属、化学品が4大産業です。研究開発補助金的には、この4分野どれも「ものづくり基盤技術」に該当する領域なので、Go-Techを申請しやすい環境にあります。
補助金の申請って時期がバラバラですよね。どう整理したらいいですか?
年間で言うと、大きくは前半(4〜6月)と後半(10〜12月)に集中してます。富山県の産学官オープンイノベーション補助金は4〜5月に公募が出て、Go-Techは2〜4月が多い。INPIT外国出願補助金は年に2〜3回公募があります。
| 時期 | 主な補助金 | 窓口 |
|---|
| 2〜4月 | Go-Tech事業(通常枠・大型枠) | TONIO経由で申請 |
| 4〜5月 | 産学官オープンイノベーション補助金 | TONIO |
| 通年 | INPIT外国出願補助金(複数回公募) | INPIT発明推進協会 |
| 通年 | フードテックビジネス実証事業 | jGrants |
| 通年 | 富山県外国出願支援補助金 | TONIO |
なるほど。年間で見ると結構タイトな感じがしますね。
そうなんですよ。特にGo-Techは公募期間が2ヶ月しかないので、前年から準備してないと間に合わない。12月〜1月頃から「来年度の申請に向けてTONIOに相談する」という流れを作るのが王道です。逆に言うと、早く動いた企業がそれだけ有利になります。
今の時期(2026年5月)だと、何か申請できるものはありますか?
INPIT外国出願補助金は複数回公募があるので、海外特許を考えてる企業は確認の価値あり。あとは富山県の外国出願支援補助金も通年受付が多い。来年度のGo-Tech・産学官オープンイノベーションに向けては、今から大学とのマッチングを始めておくのが最善ですね。
一番使いやすいのはどれですか?「とりあえずこれ」というのがあれば教えてください。
研究開発の規模によりますけど、初めて補助金申請する富山の中小企業なら「富山県外国出願支援補助金」か「産学官オープンイノベーション補助金」から入るのがスムーズだと思います。富山県の制度はTONIOという窓口が一本化されていて、書類作成サポートが手厚い。全国制度のGo-Techは金額が大きい分、書類も複雑なので、県の制度で一回経験してからステップアップするのが現実的ですよ。
ありがとうございます!富山の研究開発補助金、思ったより充実してますね。TONIOに早めに相談するのが全てのスタートって感じがしました。
そうですね。TONIOって補助金紹介だけじゃなくて、研究開発の戦略相談から大学マッチング、採択後の事業管理まで全部サポートしてくれるので、「補助金を使いたいけどどうすればいいか分からない」という会社が最初に行くべき場所です。富山で研究開発を考えてるなら、まずTONIOのドアを叩いてみてください。