室谷さん、うちの会社もそろそろ賃上げしないといけないんですけど、兵庫県って何か使える補助金ありましたっけ?
ありますよ!むしろ今、兵庫の事業者さんが一番気にすべきタイミングだと思ってます。2025年10月から兵庫県の最低賃金が時給1,116円(前年比+64円)になりましたから。
そうなんです。従業員10人で週40時間勤務だと、年間で130万円超の人件費増になる計算です。「賃上げしたいけど原資がない」という相談が今すごく増えてます。
補助金で賃上げの原資を作る、みたいなことはできるんですか?
できます!正確には「賃上げと同時に設備投資をすることで、その設備投資費に補助が出る」という仕組みが多いです。賃上げそのものに補助が出るわけじゃないけど、省力化投資で人件費余力を生み出すのが現実解なんです。
あとは賃上げ額に応じて法人税を減らせる「賃上げ促進税制」もあって、補助金とコンボで使うのが今の王道ですね。今日はそのあたりを整理していきましょう。
お願いします!どれから使えばいいか整理したいです。
兵庫県賃上げ補助金比較インフォグラフィック
優先度順に3つ挙げます。業務改善助成金、ものづくり補助金、そして賃上げ促進税制です。それぞれ特性が違うので、自社の状況に合わせて選ぶのがポイントです。
業務改善助成金(上限600万円・補助率3/4〜9/10)
まず業務改善助成金から話しましょうか。正式名称は「中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金」で、「事業場の最低賃金を30円以上引き上げ+省力化設備を入れたら、設備費の3/4〜9/10を補助します」という制度です。上限は600万円。
そうなんです。100万円の設備を入れて賃金も30円上げれば、90万円が戻ってくる計算です。POSレジ、食洗機、梱包機、PC、タブレットなど比較的小額の設備でも対象になるから、飲食・小売・介護事業者さんにはかなり使いやすいです。
補助率の幅(3/4〜9/10)って何で決まるんですか?
引き上げ額と事業場規模で変わります。引き上げ額が大きいほど、また規模が小さいほど補助率が上がる仕組みです。詳しくは
業務改善助成金の詳細ページで確認してください。
兵庫労働局 雇用環境・均等部 企画課(電話 078-367-0700)です。2026年度の申請受付は令和8年9月1日開始予定です。
令和7年度分は令和8年3月31日に締め切り済みです。次の令和8年度は9月1日から受付開始。だから今やるべきことは「準備」です。①賃上げ額の試算 ②導入予定設備の見積もり取得 ③見積書の保管、これを9月前に済ませておくのが鉄則です。
申請は「事業者単位」ではなく「事業場単位」です。工場と事務所など複数の拠点がある場合は、それぞれ別々に申請が必要です。また賃上げの実績が確認できない場合は助成金が不支給になりますので、まず賃上げを実施してから申請書類を整えることが重要です。
ものづくり補助金(上限最大2,500万円・補助率1/2〜2/3)
直接的な賃上げ補助ではないんですが、申請時に賃金引上げ計画を書くと採点が加算される仕組みがあって。「省力化・デジタル化で生産性を上げ→余裕ができた分を賃上げに回す」という計画を事業計画書に落とし込むんです。
そうです。現在は
第23次公募(2026年2月6日〜5月8日締切)が受付中です。補助上限額は従業員数によって異なり、51人以上の場合は最大2,500万円、1〜5人の小規模事業者は750万円が上限です。補助率は中小企業で1/2〜2/3です。詳細は
ものづくり補助金(21次締切)のページもご覧ください。
大幅な賃上げをすると補助上限が上がるって聞いたんですけど。
そうなんです!「大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例」があって、従業員21〜50人の場合は最大1,000万円、51人以上も最大1,000万円の上乗せが受けられます。ただし各枠の通常の補助上限額に達していることが前提条件ですから、まず通常の上限に到達していないと適用できません。
経済産業省が運営するビジネス向けのIDで、ものづくり補助金・IT導入補助金など多くの補助金申請に必要です。取得に2〜3週間かかるので、「補助金申請しよう!」と思った瞬間から取得手続きを始めないと締切に間に合わないことがあります。
GビズIDプライムアカウントの取得には2〜3週間かかります。締切直前ではなく、少なくとも1ヶ月前には取得しておきましょう。兵庫県内の商工会議所・商工会でも申請支援を受けられます。事業計画書は「技術的・事業的な革新性」が問われます。既存設備の単純な更新は採択されません。
大規模成長投資補助金(上限50億円)
大規模成長投資補助金、上限50億円ってすごいですね(笑)
これは文字通り「大型投資」向けで、新工場建設や大規模な省力化ラインの新設が対象です。地域の雇用を支える中堅・中小企業向けで、「省力化投資で生産性を上げ→賃上げ原資を作る」が直接の目的です。
大規模成長投資補助金の詳細も確認できます。
一般的な中小企業が使うには規模が大きすぎる感じですか?
そうですね。投資額が数億円以上のケースに向いています。一般的な中小企業には業務改善助成金やものづくり補助金の方が現実的です。
兵庫県賃上げ補助金申請フローチャート
全部まとめて把握したいんですけど、使える制度を一覧で見せてもらえますか?
整理しましょうか。賃上げ・処遇改善に絡む補助金・助成金を大きく分けると「設備投資系」「税制系」「雇用系」の3軸があります。
| 補助金・助成金名 | 上限額 | 補助率 | 対象 | 賃上げとの関係 |
|---|
| 業務改善助成金 | 600万円 | 3/4〜9/10 | 中小・小規模 | 最低賃金引上げが直接条件 |
| ものづくり補助金 | 最大2,500万円 | 1/2〜2/3 | 中小 | 賃上げ計画で加点 |
| 大規模成長投資補助金 | 50億円 | 1/3以下 | 中堅・中小 | 賃上げに向けた省力化が目的 |
| 小規模事業者持続化補助金 | 最大200万円 | 2/3 | 小規模事業者 | 賃上げ特例で補助上限が200万円に |
| IT導入補助金 | 最大450万円 | 1/2〜3/4 | 中小 | 生産性向上 → 賃上げ原資創出 |
| キャリアアップ助成金 | 80万円/人 | 定額 | 全事業者 | 有期→正社員転換+3%賃上げ |
| 賃上げ促進税制 | — | — | 法人(黒字) | 賃上げ額の15〜45%を税額控除 |
これだけ種類があるんですね。どれを選べばいいか迷いますね。
選び方のポイントは「自社が何をしたいか」から逆算することです。設備を入れて省力化したいなら業務改善助成金・ものづくり補助金、パートを正社員にしたいならキャリアアップ助成金、利益が出ているなら賃上げ促進税制、という感じです。
小規模事業者持続化補助金(賃上げ加算あり・上限200万円)
小規模事業者持続化補助金って賃上げ加算があるんですか?
はい!賃金引上げ特例として補助事業実施期間中に事業場内最低賃金を50円以上引き上げる計画を立てると、補助上限が通常の50万円から200万円まで上がります。販路開拓・業務効率化に使える費用の2/3が補助される制度なので、5人以下の小さな会社には特に有効です。
じゃあ設備投資しながら賃上げも、というのが実現しやすいですね。
そうです。注意点は「商工会議所地区」か「商工会地区」かで申請窓口が変わること。神戸市内なら商工会議所、郡部なら商工会経由になります。
IT導入補助金(生産性向上で賃上げ原資を作る)
直接的な賃上げ補助ではないんですが、勤怠管理システムや給与計算ソフトを入れることで「誰がいくらもらうべきか」の管理が楽になります。業務効率化で生産性が上がれば賃上げ原資が生まれますし、インボイス対応ソフトの導入もIT導入補助金で対応できます。補助上限は最大450万円で、補助率は1/2〜3/4です。
賃上げ環境を整備するためのツール導入、という感じですね。
まさに。登録済みのITツールの中から選ぶのが基本ルールです。「自社専用に開発するシステム」は対象外のケースが多いので注意が必要です。
キャリアアップ助成金(正社員転換で中小企業は最大80万円/人)
有期雇用のパート・アルバイトを正規雇用に転換した場合に助成される制度です。中小企業では有期雇用から正社員化した場合、1人あたり80万円(2期分合計)が助成されます。転換後に3%以上の賃上げが要件です。
正社員化と賃上げがセットで要件になってるんですね。
そうです。就業規則の整備が必須で、雇入れから転換までの期間など細かいタイムスケジュールの管理も求められます。「社会保険加入と正社員化を進めたい」という会社には非常に使いやすい制度です。
業種によって使える制度が違うって聞いたんですが、どういう違いがあるんですか?
特に注意が必要なのは介護・医療・障害福祉の事業者さんです。この業種は処遇改善加算という別の仕組みがあって、補助金とは別ルートで賃上げ支援が受けられます。
介護・障害福祉事業者向け 処遇改善支援補助金
兵庫県では「介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業」として、介護・障害福祉サービス事業所に対する補助があります。申請窓口は兵庫県介護・障害福祉賃上げ等支援補助金コールセンター(050-2030-2644)です。
令和8年4月24日が提出期限でしたので、令和8年度分の申請は締め切り済みです。ただ令和9年度も同様の事業が続く可能性が高いので、毎年2〜3月に兵庫県のサイトをチェックしておくといいですよ。
そうです。介護・障害福祉の事業者さんは①処遇改善加算(毎月の報酬に上乗せ) ②国の「介護職員等処遇改善支援補助金」 ③兵庫県の上記事業、という3層で賃上げ支援を受けられる仕組みになっています。
一般事業者と介護事業者では全然ルートが違うんですね。
そうなんです。まず自社の業種がどのカテゴリに当てはまるかを確認してから、適切な窓口に相談するのが最短ルートです。
自事業が「介護・障害福祉」か「一般事業者」かを確認する
介護・障害福祉の場合 → 兵庫県コールセンター(050-2030-2644)に相談
一般事業者の場合(令和8年9月受付開始)とものづくり補助金を軸に計画を立てる
GビズIDプライムを取得する(2〜3週間かかるため早めに)
神戸商工会議所または地元の商工会・商工会議所に事業計画書の相談をする
結局、今から何をすればいいんですか?スケジュール感がよくわからなくて。
2026年の主要な締切を並べてみますね。今は4月なので、「今すぐ動けるもの」と「9月に向けて準備するもの」に分けて考えると整理しやすいです。
| 時期 | 補助金・助成金 | アクション |
|---|
| 今すぐ | ものづくり補助金23次(5月8日締切) | GビズID取得・事業計画書作成を開始 |
| 今すぐ | 小規模事業者持続化補助金 | 商工会議所・商工会に相談 |
| 今すぐ | 賃上げ促進税制 | 顧問税理士に確認(決算時に効果が出る) |
| 今すぐ | キャリアアップ助成金 | 都道府県労働局またはハローワークに相談 |
| 4〜5月 | ものづくり補助金23次 | 事業計画書を仕上げる(5月8日締切) |
| 9月以降 | 業務改善助成金(令和8年度) | 申請受付開始(兵庫労働局 078-367-0700) |
わかりやすい!ものづくり補助金は今すぐ動くべきなんですね。
事業計画書を書くのに最低でも1〜2ヶ月かかりますから。5月8日の締切に向けて今から準備しないと間に合いません。
補助金は設備投資費の一部が戻ってくるお金ですが、賃上げ促進税制は「賃上げ額の一部を法人税から差し引ける」仕組みです。黒字企業で利益が出ていることが前提で、赤字だと使えません。でも使える会社にとっては即効性が高い。中小企業の場合、雇用者給与等支給額を前年比1.5%以上引き上げると増加額の15%が、2.5%以上引き上げると30%が法人税から控除されます。教育訓練費の増加など上乗せ要件を満たせば最大45%まで控除率が上がります。
確定申告書に別表の添付が必要です。税理士さんに「賃上げ促進税制を使いたい」と伝えておくのがベストです。
補助金って自分で申請するのって難しそうで。誰かに相談できる窓口はありますか?
兵庫には相談できる機関がいくつかあります。まず神戸商工会議所のよろず支援拠点。ここは無料で経営相談と補助金申請のサポートをしてくれます。事業計画書の添削も受けられるので、初めてものづくり補助金を申請する会社はまずここに相談するのが一番早いです。
各地の商工会議所・商工会でも対応しています。姫路商工会議所、尼崎商工会議所、西宮商工会議所などでも補助金相談を受けています。郡部は商工会経由です。
兵庫県中小企業活性化協議会ってどういう機関ですか?
財務面の経営改善が目的の機関なので、補助金申請の直接サポートよりは「賃上げするには収益力の改善が必要で、資金繰りが心配」という時に相談する感じです。2026年1月のセミナーでも、賃上げに悩む中小企業の相談が増えているという話が出ていました。
ものづくり補助金も業務改善助成金も、基本的に「後払い(精算払い)」です。設備を購入して支払いを済ませてから申請・検査・入金というステップになります。購入前から資金調達の手当てをしておかないと、キャッシュフローが厳しくなります。日本政策金融公庫の「経営改善貸付(マル経融資)」を組み合わせるのが現実的な対処法です。
結局、賃上げって無理してやらないといけないものなんですかね。
正直に言うと、賃上げできない会社は人が採れなくなって事業継続が難しくなる時代に入っています。兵庫県の最低賃金は毎年上がり続けていて、2025年10月は64円のジャンプアップでした。
だから「いかに賃上げ原資を作るか」を経営課題として組み込む必要があるんです。省力化投資で生産性を上げる、IT導入で付加価値を高める、価格転嫁を進める。これらと補助金をセットで考えると、賃上げを「持続可能な仕組み」にできます。
一回だけ賃上げしても、翌年また上げられないと意味がないですもんね。
そうなんです。補助金は「変革のきっかけ」として使う。その投資が自社の生産性を上げて、毎年の賃上げ原資を生み出す体制を作れれば理想です。
ありがとうございます!まずGビズIDを取って、神戸商工会議所に相談してみます!
それが正解(笑)。まず相談だけでもしてみると、自社に合った制度が見えてきますよ。
- GビズIDプライムを申請する(ものづくり補助金・IT導入補助金の申請に必須。取得に2〜3週間かかる)
- 神戸商工会議所または地元の商工会・商工会議所に無料相談を予約する
- 令和8年度の業務改善助成金に向けて、導入予定設備の見積もりを取得しておく(9月受付開始)