室谷さん、今日は「休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金」について聞きたいんですけど、名前が長くてちょっと難しそうですよね(笑)
えっ、そうですよね!でもこれ、実は地方公共団体にとってはとても大事な補助金なんです。一言で言うと、「もうすでに閉山した鉱山が引き起こす環境問題を防ぐための工事費」を国が補助してくれる制度です。
それがなんと、今も全国各地で起きているんです!昔の鉱山から出る「坑廃水」が河川に流れ込んで水質汚染を引き起こしたり、地盤が沈下して住宅地が危険になったりしている事例は、東北地方でも現在進行形の問題なんですよ。
ほんとに?昔の鉱山の問題が今もつづいてるなんて、知らなかったです!
昭和の高度経済成長期に活発だった鉱業が衰退して、鉱山が次々と閉山しました。でも坑廃水は止まらないし、地盤はどんどん弱くなっていく。しかも鉱業権者が倒産したり消滅してしまっていて、対処できる主体がいない鉱山が全国に点在しているんです。
それは確かに深刻な問題ですね。じゃあ誰が対処するんですか?
そこで地方公共団体が登場します。鉱業権者に代わって、県や市町村が鉱害防止工事や危害防止工事を実施するんです。で、その工事費の4分の3(75%) を国が補助してくれるのが、この補助金というわけです!
実は環境系や防災系の補助金の中でもかなりの高率補助なんです。公益性が極めて高い事業だから、国も積極的に支援している。令和7年度補正予算での実施で、補助上限額は約11億2,381万円 と大規模な事業ですね。
休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金 補助スキーム
まず全体像を整理したいんですが、基本情報を教えてもらえますか?
項目 内容 制度名 休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金(令和7年度補正)【東北支部】 所管機関 経済産業省 関東東北産業保安監督部東北支部 補助率 補助対象経費の3/4(75%) 補助上限額 約11億2,381万1千円 補助下限額 原則100万円(特に必要な場合を除く) 申請期間 2026年3月25日〜2027年3月31日 対象地域 関東東北産業保安監督部東北支部管轄地域 対象業種 鉱業、採石業、砂利採取業
補助下限額が100万円っていうのは、意外と小規模な工事でも申請できるってことですか?
原則そうですね。ただし、大規模な坑廃水処理施設の建設や地盤安定化工事となると、億単位のコストがかかることも珍しくない。上限が11億円以上と大きいのは、それだけの大型工事も想定されているからなんです。
主に東北6県、つまり青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島が対象です。ただ、同じ補助金が他の地域の産業保安監督部でも公募されています。関東や中部・近畿など、各地域の監督部がそれぞれ管轄地域向けに公募しているので、東北以外の地方公共団体も対象の場合は担当監督部に確認してみてください!
この補助金を申請できるのは、どんな主体なんですか?個人事業主や民間企業でもいいんですか?
ここが重要なポイントで、基本的には3つの補助対象者 に限定されています。順番に解説しますね。
①地方公共団体 : 鉱業権者が無資力または現存しない休廃止鉱山について、鉱害防止工事・危害防止工事を実施する都道府県・市町村等
②坑廃水処理事業者 : 鉱業権が消滅した、または採掘活動終了後長期間経過し再開見込みのない鉱山で、坑廃水処理事業を実施する者(関係地方公共団体が必要と認めたものに限る)
③指定鉱害防止事業機関 : 法令に基づき国が指定した鉱害防止事業機関
じゃあ、鉱業権者本人が申請することはできないんですか?
基本的には不可です(笑)。この補助金のポイントは「鉱業権者が対処できない(無資力・不存在)」ことが前提なんです。鉱業権者に資力がある場合は、自ら鉱害防止義務を果たすべきという考え方で設計されています。
なるほど、だから地方公共団体が代わりにやるってことですね。
そうです。しかも坑廃水処理事業者が申請する場合、補助対象になるのは「自己の採掘活動に係るもの以外の部分」に限られます。自分の事業から生じた坑廃水の処理費は自前で払ってね、という意味ですね。
細かいルールがあるんですね。対象となる鉱山の要件も厳しそうですが?
対象鉱山の要件は主に2つです。まず「石炭鉱業および亜炭鉱業に係る鉱山は除外」されます。これらは別途専用の制度があるので。次に「鉱業権者が無資力または現存しない」こと。この2つを満たす休廃止鉱山が対象ですね。
石炭・亜炭の鉱山は対象外 : 別の専用補助制度が存在する
鉱業権者の状況を証明 : 無資力または不存在を客観的に確認・証明する必要がある
地方公共団体の認定が必要(坑廃水処理事業者の場合) : 関係地方公共団体が事業実施の必要性を認めた旨の確認書等が必要
管轄地域の確認 : 対象鉱山が東北支部の管轄区域内にあるか事前確認を
具体的にどんな工事に使えるのか気になります!坑廃水処理とか地盤安定化とか聞きますけど、どんな内容があるんですか?
交付要綱では4種類の補助事業が定められています。それぞれ見ていきましょう。
工事種類 主な内容 A 鉱害防止工事 坑廃水処理施設の設置・改修、坑道密閉工事、捨石・鉱さいの切取り・運搬、かん止堤・擁壁の築造、法面保護工事 B 坑廃水処理 坑道・たい積場等から発生する坑廃水の中和・処理 C 施設の保全工事 鉱害防止工事完成後の施設維持管理・保全 D 危害防止工事 坑口の閉塞、残壁の整形・崩壊防止施設の設置
かん止堤とか、初めて聞く言葉が出てきましたね(笑)
マジですか(笑)これは廃棄物(鉱さいや捨石)が流出しないよう堤防を築く工事のことです。雨水で鉱さいが流出すると河川の汚染に直結するので、非常に重要な工事なんです。
主に中和処理という方法を使います。鉱山から出る廃水はpHが極めて低い(酸性が強い)ことが多い。これに石灰などのアルカリ剤を加えて中和し、重金属を沈殿させて除去してから排水するんです。施設の運転・維持管理費や水質モニタリング費も補助対象に含まれます。
補助対象経費の例 補助対象外経費の例 坑廃水処理施設の建設・改修費 現在稼働中の鉱山に係る費用 中和処理設備の整備費 鉱業権者に資力がある場合の工事費 地盤沈下防止のための充填工事費 自己の採掘活動に起因する坑廃水処理費 危害防止のための補強工事費 事業に直接関係のない一般管理費 鉱害調査費・工事設計費 土地の取得費用 水質モニタリング費用
経費の区分もしっかり決まっているんですね。次は実際の申請の流れを教えてもらえますか?
鉱害防止補助金 申請フロー図
この補助金、地方公共団体が申請するとはいえ、手続きは複雑そうですね。どんな流れになるんですか?
大きく分けて5ステップです。一つずつ確認しましょう。
交付決定前に着工してはいけないというのは、絶対に守らないといけませんね!
そこは本当に重要なポイントです!どんなに緊急性が高くても、補助金で賄う工事については必ず交付決定後に開始する必要があります。自費で緊急対応した費用は別途請求できない場合もあるので、早めに相談しておくことが大切です。
この補助金は公益性が高い事業なので、採択率は一般の補助金より高い傾向にあります。ただし予算には限りがあるので、複数の案件に対して優先順位が付けられます。重視されるポイントを3つ挙げると——
①鉱害の緊急性・深刻度を客観データで示す : 水質検査値(pH・重金属濃度)、地盤調査結果、周辺住民への影響範囲など、数値データで裏付けることが重要。「危ない気がする」ではなく「測定値がこれだけ基準超過している」を示す
②工事計画の技術的妥当性 : 施工方法・使用技術・工期設定が合理的であること。過去の類似工事実績や専門家の意見を踏まえた計画が評価される
③費用対効果の明示 : 工事により期待される環境改善効果(水質改善・地盤安定化)を定量的に示す。住民の安全確保・環境保全への具体的な貢献度を明記すること
水質は定期的なモニタリングデータがあれば一番です。環境省や自治体が実施している水質調査データを活用するか、独自にサンプリング調査を実施するケースもあります。地盤は地質調査会社に依頼して地盤沈下の状況を計測してもらうのが一般的ですね。
申請書類を作るのに、何日くらい見ておけばいいですか?
事業計画の策定から申請書類の整備まで、目安として60日程度 を見ておくといいでしょう。特に水質・地盤データの収集や工事設計の依頼に時間がかかります。事前相談は早めに始めて、担当者のアドバイスをもらいながら進めるのが得策です。
予算の範囲内での交付 : 申請額が満額承認される保証はない。優先度の高い案件が採択されるため、緊急性を丁寧に説明することが重要
重複補助の禁止 : 同一工事に対して他の国庫補助金との重複受給は不可。対象経費を明確に区分すること
他省庁補助金との調整 : 防災や環境保全に関連する国土交通省・環境省の補助金と対象経費が重複しないよう整理が必要
様式の厳守 : 交付要綱に定められた申請様式(様式1〜3)を必ず使用すること
この補助金、東北支部以外でも同じ制度がありますよね?他の地域はどこで申請すればいいんですか?
「休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金(令和7年度補正)」は同じ制度が各地域の産業保安監督部で公募されています。管轄地域ごとの窓口をまとめました!
この補助金だけじゃなくて、他の補助金と組み合わせることはできますか?
同一の工事費用への重複補助は基本的に不可なんですが、対象経費を明確に区分することで、他の補助制度と連携できる場合があります。
関連施策 内容 注意点 国土交通省 防災関連補助金 崖崩れ・土石流防止工事等 鉱害防止工事と対象経費を明確に区分すること 環境省 土壌汚染対策 土壌汚染の調査・浄化 鉱山由来の汚染は経済産業省管轄が原則 地方公共団体独自の環境保全事業 地域独自の補助・支援 各自治体の要綱を確認
地方公共団体が申請する場合、独自の環境施策と組み合わせることもあるんですね。
そうです。ただし、組み合わせの妥当性については事前に担当部署に確認することを強くおすすめします。「この費用はこちら、あの費用はそちら」と明確に区分できれば、複数の支援を組み合わせて工事全体のコストを賄うことも不可能じゃないですね。
なるほど。全体像がだいぶわかってきました。申請後はどんな流れになりますか?
交付決定後に工事を実施して、完了後に完了報告書を提出します。補助金は実績に基づいて支払われるので、工事の記録(写真・工事日誌・工事費の領収書等)は必ず保存しておいてください。
最後に、よくある疑問をまとめて聞いてもいいですか?
もちろんです!実際に問い合わせが多い質問に答えますね。
まず「坑廃水処理事業者とは具体的にどんな会社ですか?」
鉱山から発生する汚染水(坑廃水)を専門に処理する事業者のことです。中和処理施設を保有・運営する専門会社や、地方公共団体が設立した公的な処理機関などがあります。申請の際は関係地方公共団体が事業実施の必要性を認めた書類が必要です。
「指定鉱害防止事業機関というのは具体的に何ですか?」
鉱業法に基づいて国(経済産業省)が指定した、鉱害防止に専門的に取り組む機関です。現在の代表的な機関としては「金属鉱業事業団(JOGMEC)」の機能を継承した組織などが挙げられます。自分が該当するかどうかは、東北支部に直接確認してみてください。
交付要綱と申請様式は、Jグランツのページからダウンロードできます。また、
公式の交付要綱PDF と
様式集PDF からもダウンロードできます。不明点は東北支部の担当者に電話で確認するのが一番確実です!
「今回は東北支部向けですが、他の地域でも同様の補助金がありますか?」
はい!同じ「休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金(令和7年度補正)」が、関東監督部・中部近畿産業保安監督部(中部・近畿)など、各地域の産業保安監督部で公募されています。対象鉱山の所在地を管轄する監督部に問い合わせてみてください。
最後に、これから申請を考えている地方公共団体の担当者さんへ、一言アドバイスをお願いします!
鉱害防止は「住民の安全と環境保全」という非常に公益性の高い事業です。申請期間は2027年3月31日まであるので時間はありますが、工事の計画策定・技術的根拠の整備に時間がかかるため、早めに動くことが大事です。まず東北支部鉱害防止課(TEL 022-221-4968)に相談して、担当者のアドバイスをもらいながら準備を進めてください!
項目 内容 制度名 休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金(令和7年度補正)【東北支部】 所管 経済産業省 関東東北産業保安監督部東北支部 補助率 対象経費の3/4 補助上限額 約11億2,381万1千円 申請開始 2026年3月25日 申請締切 2027年3月31日 問合せ先 関東東北産業保安監督部東北支部 鉱害防止課 電話 TEL 022-221-4968 メール bzl-shinsashitsu@meti.go.jp 所在地 〒980-0014 仙台市青葉区本町3-2-23 仙台第2合同庁舎9階 申請先 Jグランツ 詳細ページ