室谷さん、エコとかSDGsって言葉、最近よく聞くんですけど、茨城で補助金を使うとしたらどこから手をつければいいですか?
茨城は特殊な県なんですよね。鹿島臨海工業地帯があるから製造業・重工業向けの大型国の補助金と、農業大県ならではのスマート農業・有機農業支援、それから中小企業向けの省エネ補助金が全部並走してるんです。
ざっくり3系統に分けると整理しやすいですよ。①大型製造業・産業転換向け、②中小企業の省エネ・脱炭素向け、③農業・食品分野のSDGs向け、この3つです。あと④個人・住宅オーナー向けも一部あります。
それは分かりやすい分け方ですね。じゃあまず、どの系統が一番お金が大きいですか?
圧倒的に①ですね。鹿島臨海工業地帯を抱える茨城だと、「排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業」が上限1,179億円で、鉄鋼・石油化学・セメント業向けの国の大型補助金の対象になり得ます。
規模感は別として、茨城の企業にとってはリアルな選択肢なんですよ。鹿島製鉄所とか住友化学とか、高炉から電炉への転換、水素還元製鉄、バイオプロセス転換など、こういう大規模プロセス転換が補助対象です。
なるほど、でもそれは大企業の話ですよね?中小企業は?
茨城県エコSDGs補助金 カテゴリ別早見表
中小企業で「うちの工場を省エネ化したい」というパターンが一番多いと思うんですけど、それ向けの補助金を教えてもらえますか?
SHIFT事業って茨城の企業もよく使ってるんですか?
使ってますね。茨城産業技術イノベーションセンターがCO2削減計画の策定支援をやってるんですが、ここで事前に省エネ診断を受けてからSHIFT事業に申請するのが王道です。計画策定の段階から補助してもらえる加点もあります。
それは知らなかった!計画策定から補助金使えるんですね。
設備更新に使えるってことは、老朽設備の買い替えに合わせて申請できると。
そうです。定額補助(10/10)の事業があるので、使いこなせば実質無償で省エネ設備を導入できるケースもあります。ただし公募期間が短いので、事前のGビズID取得と認定支援機関の確保は必須ですね。
SHIFT事業・省エネ補助金の申請前チェックリスト
- GビズIDプライムを事前に取得(申請に必須、取得に2週間程度かかる)
- 認定支援機関(税理士・中小企業診断士等)と連携する
- 茨城産業技術イノベーションセンターの省エネ診断を受けてから申請(採点が上がる)
- 過去3年の電力使用量・CO2排出量データを準備する
室谷さん、さっきSERPで「プラスチックリサイクル設備」とか「太陽光パネルリサイクル」の補助金を見かけたんですが、これって茨城でも使えますか?
使えます!全国制度なので茨城もOKです。環境省の「省CO2型プラスチック高度リサイクル設備導入事業(バリューチェーン)」は上限30億円で、中小企業なら補助率1/2です。
上限30億円ってすごいな(笑)。どういう企業が対象ですか?
プラスチックのケミカルリサイクルや高度マテリアルリサイクルの設備を導入する企業です。茨城だと鹿島港周辺の化学・廃棄物処理業者に響く補助金ですね。
こちらで詳細を確認できます。
太陽光パネルのリサイクルも補助金があるんですね。これは2030年代に廃棄ラッシュが来るから今から準備する企業向けですか?
ご明察!
太陽光パネルリサイクル設備導入事業は上限72.97億円で、2030〜2040年代の太陽光パネル大量廃棄時代を見据えた設備投資を今から補助するものです。中小企業の補助率は1/2です。
そうです、これも上限72.97億円。EVの普及で今後リチウム電池の廃棄が急増するので、リサイクル設備を整備する企業を国が先行支援している形です。
| 補助金名 | 上限額 | 補助率(中小企業) |
|---|
| 省CO2型プラスチック高度リサイクル設備 | 30億円 | 1/2 |
| 太陽光パネルリサイクル設備導入事業 | 72.97億円 | 1/2 |
| リチウム蓄電池リサイクル設備導入事業 | 72.97億円 | 1/2 |
| ZEB新築建築物支援事業 | 5億円 | 1/3〜2/3 |
| SHIFT事業(省CO2設備更新) | 5億円 | 2/3 |
これ全部使えるとしたら、茨城の廃棄物・リサイクル業者はかなりうれしいですよね。
そうです。ただし申請は複雑で、コンソーシアム(企業連合)を組む必要があるケースもあります。茨城県中小企業振興公社に相談すると、共同申請のマッチングをしてもらえる場合がありますよ。
ちょっと話が変わるんですけど、ZEBって最近よく聞くんです。どういうことですか?
Zero Energy Buildingの略で、建物全体のエネルギー消費量をゼロ以下にする建物です。省エネ設備と再エネ設備を組み合わせて、使う以上のエネルギーを作り出すイメージです。
ZEBのランク(ZEB Ready、Nearly ZEB、ZEB)によって補助率が変わるんですよ。ランクが高いほど補助率も上がります。設計段階から省エネ要件をクリアできるように建築士と連携して設計するのが重要です。
なるほど、後から「ZEBにしたかった」と思ってもダメなわけですね。
建築計画の初期段階から省エネ目標を組み込んでおかないと、補助率の高いZEBランクには届かないんです。新築・大規模改修の計画段階で相談するのがベスト。
既存建築物のZEB化補助金(上限3億円)もあるので、既築でもチャンスはあります。
3省エネルギーセンターのZEB補助金申請サポートを活用
事業所に蓄電池を導入したい、という場合はどうですか?
1,500万円か、中小企業の蓄電池投資としては現実的な金額ですね。
水素エネルギーとか、再エネ関連だとほかに何かありますか?
そうです。地域マイクログリッドって言って、特定地域のエネルギーを地産地消するシステムの補助金もあります。農村・過疎地域のある茨城ではポテンシャルが高いですよ。
農業大県・茨城らしいテーマに移りましょう!農業分野でSDGs補助金って何がありますか?
農業分野は「みどりの食料システム戦略」が大きな軸です。有機農業への転換・化学肥料の削減・農業のスマート化を総合的に支援する政策です。
有機農業の面積拡大には「有機農業推進計画策定支援・有機JAS認証取得支援」があります。スマート農業ではドローン・センサー・自動灌漑設備の導入に使える「スマート農業技術の開発・実証・普及事業」です。茨城の野菜・米農家さんが実際に使っています。
農業系廃棄物のリサイクルも補助金あるって聞きましたけど?
バイオガス発電と堆肥化ですね。農業・食品加工から出る廃棄物をバイオガス発電に変える設備には補助金が出ます。茨城の畜産農家や食品工場が連携して施設を整備するケースに特に有効です。
農業の話ってSDGsと結びつけると「食料安全保障」とか「持続可能な農業」ってイメージですよね。
そうです!SDGsゴール2「飢餓をゼロに」ゴール13「気候変動に具体的な対策を」に直結するんですよね。化学農薬・化学肥料の使用量を削減すると、CO2削減にもなるし土壌の炭素貯留にもなる、というダブル効果があります。
農業分野の補助金は農林水産省・農業振興地域の市町村・JA経由の案件が混在します。茨城県農業改良普及センター(各地域に設置)に相談すると、自分の経営規模と作物に合った補助金を絞り込んでもらえます。独力で全部調べるより格段に早いです。
茨城の企業って物流・輸送も多いと思うんですが、トラックや船舶向けの補助金はどうですか?
トラック買い替えに補助金!これは物流会社さん嬉しいですね。
茨城は農産物の全国出荷が多いので、物流会社さんはこれを活用して車両を更新してるケースがあります。電動トラックへの完全移行はまだコストが高いので、まずは低炭素ディーゼルで、という段階的な転換ですね。
はい、
ゼロエミッション船等の建造促進事業があります。中小企業は補助率1/2で、LNG船・水素船・アンモニア船の建造を補助します。茨城県の鹿島港・大洗港を利用する内航海運業者に関係する補助金ですね。
そういう補助金があるのに使えてない事業者さんが多そうですよね。
情報格差がすごいんですよ(笑)。大企業はコンサルや専門部署がいるから把握してるけど、中小の運送会社や造船所は「こんな補助金あったの?」って知らないことが多い。だからこそ茨城産業技術イノベーションセンターや茨城県中小企業振興公社に相談するのが近道です。
具体的にどこに相談すればいいか教えてもらえますか?
補助金の種類によって窓口が違うんですよね。省エネ・設備導入なら茨城産業技術イノベーションセンター、製造業の新事業なら茨城県中小企業振興公社、農業なら茨城県農業改良普及センター、ZEB・建築なら省エネルギーセンターです。
最初は茨城県中小企業振興公社の「よろず支援拠点」に行くのが一番楽です。ここで事業の方向性を整理してから、専門窓口に振ってもらえます。無料で相談できますしね。
SDGs・脱炭素分野は補助金の種類が多すぎて、どれが自社に向いてるか迷いやすいんですよ。だから「自社の課題」を整理してから相談するのが重要です。「省エネしたい」「廃棄物を活用したい」「農業を有機転換したい」と具体的に言えるほど相談がスムーズになります。
- 茨城産業技術イノベーションセンター: 省エネ診断・製造業技術相談(無料)
- 茨城県中小企業振興公社・よろず支援拠点: 総合相談・補助金選定支援(無料)
- 茨城県農業改良普及センター: 農業のSDGs・有機転換・スマート農業
- 省エネルギーセンター: ZEB・建築物省エネ・BEMS導入
- 茨城県環境政策課: 県独自の脱炭素補助金(いばらきエネルギーシフト促進事業等)
茨城県エコSDGs補助金 申請の流れ
補助金の申請って、何か特別に準備しておくことはありますか?
まずGビズIDの取得は絶対です。今はほぼ全ての補助金がオンライン申請になっていて、GビズIDがないと申請フォームに入れません。
一般的に2週間程度かかるんですよ。だから「補助金の公募が始まってから取ろう」と思ってると間に合わない。補助金活用を考え始めたら、最初にGビズIDを取るのが鉄則です。
認定支援機関との連携ですね。事業再構築補助金やGX進出類型など、認定支援機関の確認書が必要な補助金が多い。会計士・税理士・中小企業診断士の中から「補助金申請の実績がある人」を事前に探しておくと良いです。
補助金によりますが、省エネ補助金(SHIFT事業・省エネ投資促進)は50〜70%と比較的高め。事業再構築補助金GX進出類型は30〜40%程度です。採択率の高い補助金から始めるのが、初めての企業には賢い選択です。
なるほど、リスクを下げながらチャレンジするわけですね。それじゃ最後に一言!
茨城はGX・脱炭素のポテンシャルがすごく高い県なんですよ。鹿島の重工業から農業・食品まで、あらゆる産業で補助金の出番がある。でも「難しそう」と思って動かない事業者さんも多い。まず相談窓口に行ってみることが第一歩です!