室谷さん、うちの会社も脱炭素とかSDGsに取り組まないといけないんですけど、正直どこから手をつければいいか全然わからなくて(笑)。補助金って活用できるんですか?
ぜんぜん難しくないですよ!大阪は製造業が集積しているせいか、国と府の補助が両方そろっていて、実は全国でもかなり使いやすい環境が整っています。ざっくり言うと「大阪府の補助」と「国(経産省・環境省)の補助」の2層をうまく重ね合わせるのがコツです。
そうです。たとえば設備を入れ替えるとき、大阪府の補助で費用の1/3をカバーして、さらに国の省エネ補助でもう1層乗せるイメージです。同じ設備に対して複数の補助を申請できる制度があるんですよ。
それは知りませんでした!具体的にどう探せばいいんですか?
まず「おおさかスマートエネルギーセンター」に電話するのが一番早いです。大阪府環境農林水産部が運営していて、無料でエネルギー診断してくれます。その診断結果をもとに「対策計画書」を届け出ると、府の補助金が申請できるようになるんです。電話番号は06-6210-9254です。
診断が先なんですね。いきなり補助金申請できないってことか。
大阪府の補助に関してはそうです。でも国の補助——たとえば環境省や経産省の制度は独立して申請できるものが多いので、並行して動けます。
大阪府エコ・SDGs補助金 比較チャート
まず大阪府独自の補助から教えてください。どんな制度がありますか?
2026年度の目玉は「中小事業者の脱炭素化に係る自主的取組支援補助金」です。省エネ設備の更新や太陽光パネルの導入に対して、設備費の1/3を補助してもらえます。上限は1法人あたり200万円です。
上限200万円か。規模によっては足りないケースもありますよね?
おっしゃる通りで、大規模な設備更新だと全然足りないですね。でもこれはあくまで大阪府の補助で、国の補助を上乗せできるんです。あと、申請期間が令和8年5月20日から7月21日までなので、今からでも十分間に合います。
2つの条件があって、1つ目が「大阪府内の工場・事業場の対策計画書を届け出ていること」、2つ目が「脱炭素経営宣言登録制度で宣言していること」です。さっき言ったおおさかスマートエネルギーセンターの診断を受ければ、この2つの書類作成をサポートしてもらえます。
省エネルギー設備全般ですが、注意点として「照明器具と空調機は対象外」なんです。太陽光パネルは入ります。削減効果として「年間エネルギー使用量を1%以上削減」か「CO2を年間1トン以上削減」のどちらかを満たす必要があります。
なるほど。高効率空調は別の補助があるんでしたっけ?
そうなんです!大阪府には「中小事業者高効率空調機導入支援補助金」という制度が別にあって、飲食店・小売業・事務所の方はこちらを使うといいです。省エネ型のエアコンへの更新に特化した制度ですね。
- 申請受付: 令和8年5月20日(水)14時〜7月21日(火)18時
- 選定結果通知: 8〜9月を予定
- 申請方法: 大阪府行政オンラインシステム(先着順ではなくCO2削減量で審査)
- 問合せ: おおさかスマートエネルギーセンター 06-6210-9254
選定方法が「先着順ではない」って、ちゃんと読まないと危ないですね。
そこ大事です!「補助金額あたりのCO2排出削減量が多い事業を優先」と明記されているので、申請書でCO2削減効果をしっかり試算して書くことが採択のカギです。補助金申請のプロに相談するのが一番確実だと思いますよ。
次に国の補助金を教えてください。環境省と経産省でけっこう種類があるんですよね?
多いですよ!大阪の事業者が特に注目すべき制度を整理しますね。まず経産省系で外せないのが事業再構築補助金のGX進出類型です。
事業再構築補助金 GX進出類型
GX(グリーントランスフォーメーション)分野への事業転換に取り組む中小企業向けで、補助額は最大1億5,000万円と非常に大きいです。補助率は1/2〜2/3です。詳細は
事業再構築補助金 GX進出類型のページをご覧ください。
再生可能エネルギー事業への参入、省エネ型の新製品・新サービス開発、脱炭素を軸にした業態転換など、ビジネスモデルごと変えるレベルの大型投資に対応しています。ただ、売上が減っている証明や詳細な事業計画書が必要で、申請難易度はかなり高いです。
そうですね。設備を更新して省エネしたい、という場合は次の制度が向いています。
業務産業用蓄電システム導入支援事業
工場や事業所の大型蓄電池の導入を支援する制度です。補助率1/3以内、上限1,500万円で、令和7年度補正予算で組まれた比較的新しい制度です。SIIが事務局で、2026年3月から10月まで申請受付しています。詳細は
業務産業用蓄電システム導入支援事業のページをご覧ください。
「ディマンドリスポンス(DR)リソースとして活用」が目的なので、ある程度の電力使用量がある事業者向けです。太陽光と組み合わせて自家消費する使い方が特に評価されます。
業務用建築物の脱炭素改修加速化事業
オフィスビル・商業施設・ホテルなどを所有・管理している方向けの環境省の補助です。断熱改修や高効率空調への更新など、建物全体のエネルギー性能を上げる工事が対象です。詳細は
業務用建築物の脱炭素改修加速化事業のページをご覧ください。
ビルオーナーさん向けですね。テナント側は申請できないんですか?
基本的にはビルオーナー(建物の所有者や管理者)が申請主体です。テナント企業は直接申請できないケースが多いので、建物オーナーと一緒に動くのがコツです。「テナントに使ってもらいたいから補助申請したい」と持ちかけると、ビルオーナーも喜ぶことが多いですよ(笑)
建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業
既存建物への改修も対象に含まれます!高効率空調・LED照明・高断熱外皮・BEMSなどの設備を組み合わせて、エネルギー消費量を大幅に下げることが目標です。大阪の古いビルや工場でも十分活用余地があります。
SDGsというと「廃棄物削減」とか「資源循環」もありますよね。そっち系の補助金はどうですか?
環境省がサーキュラーエコノミー(循環経済)の実現向けにいくつか用意しています。大阪の製造業にとくに使える制度を紹介しますね。
脱炭素型循環経済システム構築促進事業
リシェアリング・リユース・リサイクルなどの循環型ビジネスモデルを実装するための設備投資を支援します。シェアリングビジネスのシステム、製品のライフサイクル延長に貢献する修理・再製造設備などが対象です。詳細は
脱炭素型循環経済システム構築促進事業のページをご覧ください。
大阪にはプラスチック加工・金属部品・化学品などの製造拠点が多いですよね。廃材の再利用プロセスや、製品の修理・再製造ラインを整備することで、この補助の対象になるケースがあります。CO2削減と廃棄物削減を両立できる仕組みです。
プラスチック・金属バリューチェーン脱炭素化事業
うちは食品製造なんですが、冷蔵設備の更新に使える補助はありますか?
コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業
そうですよ。大阪は食品業者が多いので、この補助はかなり活用余地があると思います。
大阪府エコ・SDGs補助金 申請フローチャート
もっと規模の大きい、億単位の補助金ってありますか?
大企業や製造業の工場向けには、かなり大型の制度があります。
GXサプライチェーン構築支援事業
水電解装置・浮体式洋上風力・ペロブスカイト太陽電池など、GX分野の国内製造基盤を作るための超大型補助です。最大1,460億円規模の予算で、定額補助です。大阪・堺市周辺のコンビナート企業や、関西の化学・素材メーカーが対象になりうる制度です。詳細は
GXサプライチェーン構築支援事業のページをご覧ください。
さすがにこれは中小企業じゃ申請できないですよね(笑)
基本的には大企業・大規模製造業者向けですね。ただ、大企業とスタートアップが連携する案件だと別枠があることもあります。
GX戦略地域制度・コンビナート等再生事業
GX2040ビジョンに基づいて、既存のコンビナートを核として新たな産業クラスターを作る支援制度です。最大30億円の補助が出て、自治体と事業者が連携して申請します。大阪のコンビナート地域(堺・高石・泉北など)は地理的にも対象になりやすい地域です。詳細は
GX戦略地域制度コンビナート等再生事業のページをご覧ください。
自治体との連携が必要なんですね。それは難易度高そう。
そうですね。こういう案件は自治体の産業振興課や商工会議所と連携して動くのが現実的です。大阪商工会議所や大阪府の産業振興部門が窓口になることが多いです。
ちょっと視点を変えて、資金調達のコストを下げる補助金ってありますか?
はい、環境省がグリーンファイナンス関連の補助をいくつか出しています。
ESGリース促進事業
リース契約を使って脱炭素設備を導入する際、リース料の一部(総リース料の1〜4%程度)を補助する制度です。設備の購入初期費用をかけずに最新の脱炭素設備を使えるので、資金力が限られた中小企業に特に向いています。詳細は
ESGリース促進事業のページをご覧ください。
そうです。リース会社が申請主体になって、リース料を割り引く形で中小企業に還元します。なので中小企業側は「ESGリース対応のリース会社に相談する」ことが入口です。
グリーンファイナンス普及・拡大促進事業
はい、グリーンボンド発行を検討できる企業向けです。でも最近は数億円規模の中小企業でも活用するケースが出てきているので、金融機関に相談してみる価値はあります。
そうなんです。大阪府の補助と市の補助を重ねて使えるケースもあります。自社の所在地が大阪府内のどの市区町村かによって、使える制度が変わってくるので、市の産業振興課にも問い合わせてみてください。
- 大阪府全域: 府の脱炭素支援補助金
- 和泉市: 市独自の再エネ・省エネ機器補助(最大3,000万円)
- 各市の制度は年度によって変わるため、最新情報は各市の産業振興課・環境担当課に確認を
| 補助金名 | 補助率 | 上限額 | 対象者 | 申請先 |
|---|
| 大阪府脱炭素支援補助金 | 設備費の1/3 | 200万円 | 大阪府内中小事業者(計画書届出済み) | おおさかスマートエネルギーセンター |
| 事業再構築補助金GX進出類型 | 1/2〜2/3 | 1億5,000万円 | 全国中小企業 | jGrants |
| 業務産業用蓄電システム導入支援 | 1/3以内 | 1,500万円 | 工場・事業者 | SII(環境共創イニシアチブ) |
| 業務用建築物の脱炭素改修加速化 | 要確認 | 上限なし | 業務用建築物オーナー | 環境省 |
| ZEB化・省CO2化普及加速事業 | 要確認 | 上限なし | 建築物所有者 | 環境省 |
| ESGリース促進事業 | リース料の1〜4% | — | 中小企業(リース会社経由) | 環境省 |
| コールドチェーン冷凍冷蔵機器脱炭素化 | 要確認 | 要確認 | 食品・物流・小売事業者 | 環境省 |
| 脱炭素型循環経済システム構築 | 要確認 | 要確認 | リサイクル・循環型事業者 | 環境省 |
| プラスチック・金属バリューチェーン脱炭素化 | 要確認 | 要確認 | 素材・化学・金属系製造業 | 環境省 |
| GXサプライチェーン構築支援事業 | 定額 | 1,460億円規模 | 製造業(大企業含む) | NEDO・経産省 |
| GX戦略地域制度コンビナート再生 | — | 30億円 | コンビナート地域の事業者(自治体連携) | 経産省 |
| グリーンファイナンス普及・拡大 | 一部 | 要確認 | グリーンボンド発行企業 | 環境省 |
| 和泉市再エネ・省エネ機器補助 | 設備費の一部 | 3,000万円 | 和泉市内事業者 | 和泉市 |
こうして並べると、規模・用途・業種によって使うべき補助金がぜんぜん違うんですね。
そうですね。「とりあえず補助金もらいたい」ではなく、「自社の設備更新計画に合わせてどれが最適か」を考えることが大事です。複数を組み合わせると初期投資を大幅に圧縮できます。
大阪府って「SDGs未来都市」に選定されているって聞いたんですけど、それって何か関係ありますか?
いい着目点です!大阪府は内閣府のSDGs未来都市に選定されていて、SDGs推進を軸にした施策を積極的に打ち出しています。補助金の公募要領にもSDGsの達成に寄与するとして明記されているものが多く、環境省・経産省に提出する申請書にSDGsとの関連性を書くと加点要素になることがあります。
申請書にSDGsのゴール番号を書けばいいんですか?
単にゴール番号を書くだけだと意味がなくて、「この事業がSDGs7(エネルギー)の達成にどう貢献するか」を具体的に書く必要があります。たとえば「再エネ設備の導入により自社のCO2排出量をX%削減し、SDGs13(気候変動)への貢献を実現する」のような書き方です。
なるほど。申請書の書き方って専門家に頼んだほうがいいですか?
大型の補助金(ものづくり補助金・事業再構築補助金・GX進出類型など)は採択率が40〜50%程度なので、プロに頼む価値は十分あります。中小企業診断士や補助金申請の専門コンサルに依頼すると、採択率が上がります。費用は成功報酬型が多くて、採択額の10〜15%程度が相場です。
おおさかスマートエネルギーセンター(06-6210-9254)に相談して無料エネルギー診断を予約
診断結果をもとに「気候変動対策計画書」を作成・届出(大阪府の補助の前提条件)
設備更新計画を策定し、複数の補助金との相性を確認(専門家相談推奨)
大阪府の補助
令和8年5月20日〜7月21日に大阪府行政オンラインシステムで申請
国の補助
jGrants(https://jgrants.go.jp)でGビズIDを取得し電子申請
国が運営する事業者向けの認証アカウントです。経産省・環境省の補助金をjGrantsで申請するときに必須なので、事前に取得しておかないと申請できません。申請から発行まで2〜3週間かかることがあるので、今すぐ取得しておくことをおすすめします!
わかりました。今日のまとめとして、大阪の事業者がまず何をすればいいか教えてください。
3つです。1つ目は今すぐGビズIDを取得すること。2つ目はおおさかスマートエネルギーセンターに電話して無料診断を予約すること。3つ目は令和8年の申請締切(5月20日〜7月21日)に向けて設備更新計画を固め始めること。この3つを同時並行で動けば、補助金活用への道は開けます!