
佐藤
編集長
東京都で創業を考えているのですが、どのような補助金が使えるのか知りたいです。

室谷
代表取締役
東京都では創業のフェーズや事業内容に応じて様々な補助金が用意されています。創業直後、成長段階、特定分野向けと分けて考えるとわかりやすいです。まずは一番身近なところから見ていきましょう。
創業初期に使える補助金

佐藤
編集長
創業したばかりでも使いやすい補助金はありますか?

室谷
代表取締役
はい。まず注目したいのが小規模事業者持続化補助金<創業型>です。これは創業から5年以内の小規模事業者が対象で、販路開拓や業務効率化に取り組む経費の一部を補助します。補助上限は200万円、補助率は3分の2と手厚く、創業期の資金負担を大きく軽減できます。また、特許や技術を活用したスタートアップには、一般社団法人発明推進協会が実施する「日本出願を基礎としたスタートアップ設立に向けた国際的な権利化支援事業」もおすすめです。これは国内で出願済みの特許を基礎に海外で権利化する際の費用を助成するもので、上限150万円、補助率2分の1です。大学や研究機関の研究者が自身の技術をもとに起業するケースに特に有効です。

佐藤
編集長
創業前の段階でも申請できるものはありますか?

室谷
代表取締役
小規模事業者持続化補助金<創業型>は創業後の事業者が対象ですが、発明推進協会の制度は創業予定者でも応募できる場合があります。詳細は各公募要領で確認してください。
成長期のスタートアップ向け補助金

佐藤
編集長
事業が軌道に乗った後、さらにステップアップするにはどの補助金が適していますか?

室谷
代表取締役
成長段階では、海外展開を狙うスタートアップにスタートアップ海外進出支援事業が有効です。東京都中小企業振興公社が実施するこの制度は、海外向けマーケティングや多言語ホームページ作成、展示会出展などの経費を助成します。補助上限200万円、補助率3分の2で、海外進出の初期費用を抑えられます。また、東京都独自の大型補助金としてTOKYO地域資源等活用推進事業があります。これは東京の地域資源を活かした新製品・新サービスの開発を支援するもので、上限1,500万円、補助率2分の1です。対象経費は試作品開発や市場調査など幅広く、申請下限額が200万円と設定されているため、ある程度規模の大きいプロジェクト向けです。さらに、脱炭素関連の事業を手掛けるならゼロエミッション推進に向けた事業転換支援事業がおすすめです。こちらも上限1,500万円ですが、補助率が3分の2とさらに手厚く、温室効果ガス排出実質ゼロに資する製品開発に活用できます。

佐藤
編集長
これらの補助金を併用することは可能ですか?

室谷
代表取締役
同じ経費に対して複数の補助金を重複して受けることはできませんが、異なる経費をそれぞれ別の補助金で賄うことは可能です。例えば、新製品開発の試作費用をTOKYO地域資源等活用推進事業で補助し、海外販路開拓の費用をスタートアップ海外進出支援事業で賄うといった組み合わせが考えられます。ただし、各制度の要件を満たす必要があるため、事前に公募要領をよく確認してください。
特定分野に特化した補助金

佐藤
編集長
フィンテックやデジタル証券など、特定分野に特化した補助金もあると聞きました。

室谷
代表取締役
その通りです。東京都は金融分野のイノベーションに力を入れており、いくつかの専門的な補助金があります。フィンテック企業等に対するイノベーション支援事業は、フィンテック企業と金融事業者の協働による実証実験を支援します。補助上限300万円、補助率3分の2で、クラウドサービス利用費や委託・外注費、専門家相談費などが対象です。海外のフィンテック企業との協働も対象となる点が特徴です。また、ブロックチェーン技術を活用した証券発行を目指す事業者にはデジタル証券(セキュリティトークン)発行支援事業補助金があります。こちらは上限500万円、補助率2分の1で、プラットフォーム利用料やシステム開発費などを補助します。より大規模なプロジェクトには令和6年度デジタル証券市場拡大促進事業補助金もあり、上限750万円、補助率2分の1または3分の2とさらに手厚くなっています。食分野ではフードテックビジネス実証事業が最大2,000万円の補助で、代替タンパク質やスマート調理など、フードテック技術の事業化実証を支援します。これらの制度は、いずれも応募要件が厳しい場合があるので、事前に関連団体への会員登録などが必要なものもあります。

佐藤
編集長
分野が特化していると、自分の事業に合っているかどうか判断が難しそうです。

室谷
代表取締役
そうですね。まずは各制度の概要を把握し、自社の事業計画と照らし合わせてみてください。東京都中小企業振興公社や東京商工会議所では無料の相談窓口を開設しており、補助金の選定や申請書作成のアドバイスを受けられます。積極的に活用することをおすすめします。
補助金申請のコツとよくある質問

佐藤
編集長
最後に、補助金申請で成功するためのポイントを教えてください。

室谷
代表取締役
採択率を上げるには、事業計画の具体性が最も重要です。補助金の目的に沿った内容であることはもちろん、数値目標や実施スケジュールを明確にし、なぜその経費が必要なのかを説得力を持って説明する必要があります。また、専門家のレビューを受けることで、見落としがちなポイントを補強できます。よくある質問として、「持続化補助金<創業型>の創業5年以内はいつ時点で判断するのか」というものがありますが、これは申請時点での創業からの期間を指します。また、東京都の補助金と国の補助金は基本的に併用可能ですが、同じ経費に対する重複はできないため、経費の区分を明確にしておくことが大切です。

佐藤
編集長
最初に取り組むべき補助金はどれですか?

室谷
代表取締役
まずは小規模事業者持続化補助金<創業型>から始めるのが無難です。比較的応募しやすく、創業期の基盤作りに直結します。その後、事業の成長に合わせて東京都の大型補助金や専門分野の補助金を活用することで、効率的に資金調達できます。東京で創業するなら、国と都の補助金を組み合わせるのが賢い戦略といえるでしょう。