長野県の中小企業が使える補助金・助成金の全体像(2026年版)
室谷さん、長野県の中小企業経営者って、今どんな補助金が使えるんですか?なんか多すぎて何から調べればいいか分からなくて。
ですよね(笑)。正直、全国の制度だけでも数十件あって、さらに長野県独自の制度、市町村ごとの制度まで合わせると、うちのデータベースでも89件以上あるんですよ。
でも3つの層に分けて考えると分かりやすいんですよ。「全国の国の制度」「長野県独自の制度」「市町村ごとの制度」の3層構造です。
基本的には、国の制度から攻めていくのが鉄則です。予算規模が大きいし、補助上限も高い。その上に長野県独自の制度を重ねると、ダブルで使えるケースもあります。
ダブルで使えるんですか!それ全部説明してもらっていいですか?
もちろんです。順番に見ていきましょう。まず全国の主要制度から、長野県特有の支援まで、できる限り細かく解説しますね。
| 補助金の種類 | 主な制度名 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|
| 設備投資系(全国) | ものづくり補助金 | 1,000万円 | 1/2〜2/3 |
| 賃上げ支援系(全国) | 業務改善助成金 | 600万円 | 3/4〜9/10 |
| 大規模成長投資(全国) | 大規模成長投資補助金 | 50億円 | 1/3以内 |
| 海外展開支援(長野県) | 外国出願支援補助金 | 300万円 | 1/2 |
| 設備導入支援(長野市) | 先端設備等導入支援補助金 | 300万円 | 1/2 |
| 研究開発支援(茅野市) | 新技術・新製品研究開発補助金 | 100万円 | 1/2 |
まず全国の制度から教えてもらえますか?どれが一番使われてる感じですか?
知名度ナンバーワンは「ものづくり補助金」ですね。正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」で、中小企業庁が所管する看板制度です。
そこ、よく誤解されるんですよ(笑)。製造業だけじゃなくて、商業もサービス業も使えます。要は「革新的な設備投資・試作品開発・生産プロセス改善」に取り組む事業者ならOKです。
えっ、そうなんですね!補助上限はどれくらいですか?
基本的な枠で上限
1,000万円、補助率1/2〜2/3です。賃上げ表明をした事業者向けに加点があったりするので、事前に賃上げ計画を組むことが採択率を上げるポイントですよ。詳細は
ものづくり補助金(18次締切)で確認できます。
直近だとざっくり40〜50%程度ですね。2件に1件は通る計算なので、しっかり準備すれば十分狙えます。ただし認定経営革新等支援機関(認定支援機関)との連携が必須なので、早めに動くのが大事。
商工会議所、商工会、地銀、中小企業診断士事務所などがあります。長野県内だと長野県よろず支援拠点も無料で相談に乗ってくれますよ。
賃上げしたいけど、設備投資も必要っていう事業者はどうすればいいですか?
それなら「業務改善助成金」がぴったりです。事業場内の最低賃金を30円以上引き上げて、生産性向上の設備投資をした場合に、最大600万円、補助率3/4〜9/10が助成されます。
そうです。特に事業場内の最低賃金が950円未満の事業者は9/10まで上がります。長野県の最低賃金は2025年10月から998円になっていますが、事業場内で一番低い賃金をさらに上げれば対象になります。詳細は
業務改善助成金を確認してください。
機械設備の導入、POSシステム、業務効率化ソフトウェア、店舗改装など幅広いです。「賃上げのために何か効率化しなきゃ」という状況にある事業者はほぼ対象になると思ってOKですよ。
もっと大きな設備投資をしたい場合はどうなりますか?
それなら「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」ですね。補助上限が50億円という、ものすごい規模の制度です。
使えます。工場の拠点新設や大規模な生産設備の導入が対象で、補助率は1/3以内。長野県の製造業で本格的な設備投資をしたい事業者には最優先で検討してほしい制度です。
大規模成長投資補助金で最新公募状況を確認してください。
ただ、そういう大型制度って採択のハードルが高そうですよね。
たしかに。事業計画の精度が問われるので、認定支援機関との入念な準備が必要です。でも長野県内でも採択実績は出ていますよ。
設備じゃなくて、ITツールやソフトウェアを導入したい場合はどうですか?
IT導入補助金があります。会計ソフト、受発注システム、ECサイト構築など、業務効率化につながるITツールの導入費用の一部を国が補助する制度です。
省エネとか脱炭素系の支援もありますか?長野県って環境意識が高いイメージがあって。
ありますよ!国が運営する「中小企業等エネルギー利用最適化推進事業」では、無料で省エネ診断を受けられます。工場・店舗・オフィスに診断機関が訪問して、電気代やガス代をどう削減できるか具体的に提案してくれるんです。
中小企業側の費用負担はゼロです。診断結果をもとに設備投資の補助金申請につなげることもできるので、まず診断から始めるのが長野県の中小企業にはおすすめです。
長野県の中小企業 補助金・助成金 申請の流れ
次に長野県独自の制度を教えてください。長野県って何か特徴的な支援がありますか?
長野県はね、精密機械・電子部品メーカーが多いという産業特性があって、海外展開支援が充実しているんですよ。
確かに長野県って精密部品産業のイメージありますね。
そう。だから「中小企業等海外展開支援事業費補助金(外国出願支援事業)」という制度があって、外国への特許・実用新案・意匠・商標の出願費用を1/2、最大300万円まで補助してくれます。
1件の外国特許出願で150〜300万円かかることも珍しくないですから。それを半額補助してもらえるのは大きい。詳細は
長野県外国出願支援補助金を参照してください。
令和7年度(2026年度)の公募は既に開始しています。日本国内に特許や商標を出願済みか出願予定で、海外展開を考えている長野県内の中小企業が対象です。
日経新聞に「長野県が売上高10億円突破支援プロジェクトを始めた」って記事がありましたね。
ありましたね。2026年4月に始まった新しい取り組みで、売上拡大を目指す中小企業を集中支援するやつです。100社の支援を目指していて、個別相談もできます。
それとは別に「長野県中小企業賃上げ・生産性向上サポート補助金」というのもありますね。これどういう制度ですか?
これは国の業務改善助成金の上乗せ補助です。国の制度で受けられる助成に加えて、長野県独自の上乗せ補助が受けられます。賃上げを検討している長野県の中小企業はこちらも必ずチェックしてほしいですね。
そうです。それが一番賢いやり方で、申請の手間は増えるけど、実質的にもらえる金額が大きく変わります。
長野市は「先端設備等導入支援事業補助金」があります。先端設備等導入計画の認定を受けた上で、1,500万円を超える設備を導入する場合、超過分の1/2を補助してくれます(上限300万円)。
事前に「先端設備等導入計画」の認定が必要なんですね。
そうです。申請の順番が重要で、まず長野市に計画認定を受けてから設備を導入して、最後に補助金申請という流れです。令和8年1月31日までに完了する事業が対象なので、今から動いても間に合います。
令和7年11月28日(金曜日)が申請締切です。計画認定から申請まで時間がかかるので、早めに長野市商工労働課に相談することをおすすめします。
茅野市にはIT企業向けの支援があるって聞きましたが。
そうなんですよ。茅野市は八ヶ岳山麓の立地を活かして、IT関連企業の誘致奨励金があります。県外に本社を置くIT企業が茅野市内に新事業所を開設すると最大50万円が交付されます。
ありますよ。「新技術・新製品研究開発事業補助金」(工業・デジタル技術関連産業)があって、一般型で最大100万円、補助率1/2の研究開発支援を受けられます。
茅野市新技術・新製品研究開発補助金を参照してください。
「製造業等労務環境改善・競争力強化促進補助金」もあります。DX・GX対応の設備投資に対して補助が受けられる制度で、市内購入の場合は最大55万円。詳細は
茅野市製造業等労務環境改善補助金を確認してください。
茅野市の「中小企業振興補助金(工業・観光)」があります。工場・事業所の施設設置や機械・設備の取得に対して補助が受けられ、公害防止施設なら最大800万円、工場の建物なら最大800万円の補助枠があります。
そうです。補助率は課税標準額の1.4%相当(税率相当額)が2〜3年間補助されるという仕組みで、設備投資規模が大きいほど恩恵を受けやすい設計です。
長野市は脱炭素系も手厚くて、「温室効果ガス排出量見える化・削減支援事業補助金」という制度があります。脱炭素クラウドサービスの導入費用を新規なら年額利用料の1/2(上限7万5千円)補助してくれます。
長野市温室効果ガス見える化補助金も選択肢に入れてほしいですね。
長野県って海外展開支援に力を入れていますね。外国出願以外にも制度はありますか?
はい。「外国出願支援補助金」は特許・商標の出願費用補助ですが、そもそも海外の展示会に出展したいとか、海外向けの新製品を開発したいという段階でも使える制度があります。
国の制度になりますが、「技術協力活用型・新興国市場開拓事業費補助金」というのがあって、新興国市場への展開を考える中堅・中小企業向けに、製品・サービス開発費の補助があります。また「スタートアップ海外進出支援事業」では海外向けマーケティング費用の2/3を助成してくれます(東京都の事業ですが、全国の事業者も参考にして)。
知財(知的財産)系の支援は長野県以外にもありますか?
国の「発明推進協会」を通じた外国出願支援もあります。特許1件あたり上限150万円、1社あたり上限300万円まで1/2補助。長野県の制度と合わせて使えるかどうかは個別に確認が必要ですが、まず長野県の補助を使って、年度をまたいでから国の制度を使うという手もあります。
- 補助金のほとんどは先に事業者が全額支払い、後から補助金が入金される後払い方式です
- 採択から入金まで半年〜1年かかることもあります
- 設備投資額が大きい場合は、つなぎ融資(信金・地銀・商工中金など)の活用も検討してください
そっか、補助金って先に自分でお金を払わないといけないんですね。それは知らなかった。
意外と見落とされがちなポイントです(笑)。「補助金が出るから買える」ではなくて、「先に払えるかどうか」が問題なんですよ。
商工中金や地銀、信用金庫の「つなぎ融資」を使うのが定石です。「補助金採択通知書」を担保にして、一時的に融資を受けて、補助金が入金されたら返済するという流れです。
GビズIDって何ですか?よく出てくる単語なんですけど。
jGrantsという電子申請システムにログインするのに必要なIDです。GビズIDのプレミアム取得には数週間かかるので、補助金申請を考えている事業者は今すぐ取得の手続きを始めてください。後回しにすると締切に間に合わなくなります。
1GビズIDのプレミアムアカウントを取得する(2〜3週間かかる)
2認定支援機関(商工会議所・地銀・診断士など)に相談する
5採択決定後、事業を開始する(採択前の発注・着工は補助対象外)
6事業完了後、実績報告書を提出して補助金が入金される
ステップ5の「採択前の発注・着工は補助対象外」というのは重要ですね。
超重要です。これは多くの方がやらかすミスで、採択決定通知書を受け取る前に機械を注文したり工事を始めてしまうと、その費用は補助対象から外れます。必ず採択後に着工してください。
- ものづくり補助金: 設備投資の定番。上限1,000万円・補助率1/2〜2/3。認定支援機関との連携が必須
- 業務改善助成金: 賃上げ+生産性向上の両立に最適。上限600万円・補助率最大9/10
- 長野県外国出願支援: 精密機械・電子部品メーカーに最適。上限300万円・補助率1/2
- 先端設備等導入計画: 長野市なら上乗せ補助あり。計画認定が先決
- 省エネ無料診断: 費用ゼロで電気代・ガス代削減策の提案を受けられる
| 制度名 | 管轄 | 補助上限 | 補助率 | 対象 |
|---|
| ものづくり補助金 | 国 | 1,000万円 | 1/2〜2/3 | 中小企業・小規模事業者 |
| 業務改善助成金 | 国 | 600万円 | 3/4〜9/10 | 中小企業・小規模事業者 |
| 大規模成長投資補助金 | 国 | 50億円 | 1/3以内 | 中堅・中小企業 |
| 外国出願支援補助金 | 長野県 | 300万円 | 1/2 | 長野県内中小企業 |
| 先端設備等導入支援 | 長野市 | 300万円 | 1/2 | 長野市内中小企業 |
| 新技術・新製品研究開発補助金 | 茅野市 | 100万円 | 1/2 | 茅野市内製造業等 |
| 中小企業振興補助金 | 茅野市 | 800万円 | 課税標準の1.4% | 茅野市内工業・観光業 |
| IT企業誘致奨励金 | 茅野市 | 50万円 | 定額 | 県外IT企業(新設) |
| 温室効果ガス削減補助金 | 長野市 | 7.5万円 | 1/2 | 長野市内事業者 |
こうやって並べてみると、国の制度が断然スケールが大きいですね。
そうなんです。ただ国の制度は競争率も高い。長野県内だと競合が少ない地域独自制度の方が採択率が高いケースもあります。
両方取れるんだったら、両方取りにいけばいいですよね(笑)。
まさにそれが正解です(笑)。重複して使えない組み合わせもあるので、申請前に必ず確認が必要ですが、異なる費用区分でダブル申請できることは多いですよ。
- 長野県よろず支援拠点: 補助金申請の相談・認定支援機関の紹介(無料)
- 長野県産業支援機構 (NICE): 経営改善・販路開拓・技術開発支援の総合窓口
- 長野市商工労働課: 先端設備等導入支援補助金の申請受付・計画認定相談
- 各地の商工会議所・商工会: ものづくり補助金の認定支援機関として申請サポート
長野県の中小企業は、国の主要制度(ものづくり補助金・業務改善助成金・大規模成長投資補助金)を軸に、長野県独自の海外展開支援と各市町村の制度を組み合わせると非常に手厚い支援を受けられます。まず国の制度の公募スケジュールを把握して、並行して長野県・市町村の制度も申請する。これが鉄則です。
今すぐGビズIDを取得することと、地元の商工会議所か商工会に相談に行くことの2つです。それだけで一歩大きく進みますよ。