兵庫県 災害対策・復旧支援の補助金全体像
室谷さん、兵庫県って阪神・淡路大震災を経験した地域ですよね。災害対策や復旧支援の補助金・助成金って、ほかの都道府県よりも手厚いんですか?
そうなんです。兵庫県は1995年1月17日の震災以来、防災・減災の文化を根付かせることを県の重要施策に位置づけていて。「ひょうご防災減災推進条例」という独自の条例まで持っているんですよ。
補助金の種類も「インフラ系(エネルギー・設備)」「地域防災活動系」「被災者個人支援系」と大きく3つに分けて考えると整理しやすいです。今日は事業者向け・個人向けをそれぞれ整理しながら話しますね。
まず事業者や自治体が使える補助金から教えてもらえますか?
はい。最大規模なのが「災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金」です。経済産業省(資源エネルギー庁)の制度で、避難所・病院・福祉施設などに燃料備蓄設備や自家発電設備を整備する費用を補助します。
令和8年度(2026年度)版で上限が
約25億5,000万円。令和7年度版でも上限17億5,000万円と大型です。補助率は定額補助(全額)で、対象は執行団体として採択された民間団体経由での申請になります。
詳しくはこちらの補助金ページをご覧ください。
25億円って相当ですね(笑)。それは市区町村とか自治体が主な対象ですよね?
そうですね、主に自治体の防災拠点施設が対象です。ただ病院や福祉施設も対象になるケースがあります。中小企業に近い事業者が使いやすいのは、
天然ガス利用設備の補助金のほうかな。
コージェネレーションシステム(コジェネ)やガスエンジンヒートポンプのことです。停電時でも自力でエネルギーを作れる設備ですね。避難所や防災拠点への導入費用の1/2または1/3(上限3.6億円)を補助します。兵庫県内でも神戸市や姫路市の事業所がこれを使って防災対応力を高めた事例があります。
設備を入れながら普段は省エネにもなるってことですか?
まさに! コジェネって平時も電気と熱を同時に作れるので、エネルギーコスト削減と災害対応強化が一石二鳥なんですよ。兵庫県は南海トラフ地震や山崎断層帯地震のリスクが高い地域なので、本当に検討する価値があります。
ちなみにLPガスとか都市ガスの事業者向けの支援もありますか?
兵庫県の目玉は「ひょうご安全の日推進事業助成金」です。「ひょうご防災減災推進条例」に基づき、NPO・ボランティア団体・自主防災組織などが行う防災活動を支援する制度です。
6つの区分があります。「教訓普及事業」(震災の経験継承・発信)、「実践活動事業」(防災訓練、マイ・タイムライン作成支援)、「自主防災組織強化支援事業」、「防災リーダー活動支援事業」、「若者支援事業」、「防災学習支援事業」です。
幅広いですね! 1月17日の「ひょうご安全の日」と関係あるんですか?
そうです。阪神・淡路大震災が起きた1月17日を「ひょうご安全の日」として、災害文化を根付かせようというコンセプトです。問い合わせ先はひょうご安全の日推進県民会議で、公式サイト(
19950117hyogo.jp)から詳細が確認できます。
兵庫県は震災を経験した県として、防災への意識が本当に高い。自主防災組織が充実していますし、地区防災計画の策定支援も手厚いです。
- 震災経験・教訓の継承・発信(NPO・ボランティア団体等)
- 防災訓練・マイ・タイムライン作成支援
- 自主防災組織による避難訓練・避難所運営訓練
- ひょうご防災リーダーの活動支援
- 若者世代が主体となる防災事業
- 防災学習ツアー・語り部ガイド育成
問い合わせ先: ひょうご安全の日推進県民会議
公式サイト: 19950117hyogo.jp
災害関連補助金の申請フロー(兵庫県)
次は被災した個人や世帯が使える支援を教えてください。
国の制度ですが、「被災者生活再建支援制度」が最も基本的な支援です。自然災害で住宅が全壊・大規模半壊・中規模半壊した世帯に支援金が支給されます。
住宅全壊の場合、「基礎支援金」(住宅被害への一律給付)と「加算支援金」(再建方法に応じた給付)の合計で最大300万円です。具体的には、全壊+住宅建設・購入なら基礎100万円+加算200万円で合計300万円ですね。
300万円ですか。住宅再建にはまだ足りない気もしますが、ないよりはずっと助かりますよね。
そうです。この制度は「使途自由」なのがポイントで、住宅再建の頭金にも、引っ越し費用にも使えます。申請は市町の担当窓口で行い、都道府県を経由して財団法人都道府県会館が受理する仕組みです。
変わります。単数世帯(1人)の場合は各金額の3/4になります。なので全壊+建設・購入の場合は225万円が上限です。
| 被害区分 | 再建方法 | 基礎支援金 | 加算支援金 | 合計 |
|---|
| 全壊 / 解体 / 長期避難 | 建設・購入 | 100万円 | 200万円 | 300万円 |
| 全壊 / 解体 / 長期避難 | 補修 | 100万円 | 100万円 | 200万円 |
| 全壊 / 解体 / 長期避難 | 賃借 | 100万円 | 50万円 | 150万円 |
| 大規模半壊 | 建設・購入 | 50万円 | 200万円 | 250万円 |
| 中規模半壊 | 建設・購入 | ― | 100万円 | 100万円 |
| ※単数世帯 | 建設・購入 | 各金額の3/4 | 例: 75万円 | 例: 225万円 |
中規模半壊(相当規模の補修が必要な半壊)も対象です。ただ、「半壊」判定と「中規模半壊」判定は被害認定の基準が異なるので、まずは市区町村に被害認定調査を依頼することが大事です。
兵庫県は南海トラフ地震のリスクが高い地域ですよね。それに関連した補助金ってありますか?
県が申請者で市町村が実施主体という形なので、個別企業が直接申請するものではありません。ただ関係する地域の自治体は活用できます。住宅事業者が使えるのは「
感震ブレーカー購入費補助金」ですね。新築木造住宅への感震ブレーカー導入費用の1/2(上限3万円/台)を補助します。
地震で強い揺れを感知したら自動的に電気を遮断する装置です。過去の大地震でも通電火災が被害を拡大させた事例が多くて、兵庫県でも震災時に火災が深刻な被害をもたらしました。新築時から設置しておくと、万が一の際の火災リスクを大幅に下げられます。
なるほど、震災の教訓から生まれた補助金なんですね。
まさにそうです。兵庫県の防災対策は阪神・淡路大震災の経験が土台になっているんです。
今日紹介してもらった補助金を整理してもらえますか?
はい、主要なものをまとめますね。事業者向けと個人向け、それぞれ押さえておきましょう。
そうですね。自治体レベルの大型インフラから、地域の防災活動を支える小規模な助成まで多岐にわたります。「自分にはどれが当てはまるか」をまず確認するのが大事です。
申請にあたって、特に気をつけるべきことを教えてください。
まず被災者生活再建支援については、罹災証明書の取得が最優先です。市区町村が行う被害認定調査の結果をもとに罹災証明書が発行されます。これがないと支援金の申請ができません。
罹災証明書の取得って、どのくらい時間がかかりますか?
大規模災害だと数週間から数ヶ月かかることもあります。ただ、申請期限は罹災証明書の発行から13ヶ月以内というケースが多いので、早めに動くことが大事です。
事業者向けは「GビズID(gBizID)」の事前取得をおすすめします。多くの補助金申請でGビズIDが必要で、取得まで2〜3週間かかります。災害が起きてから申請を考えても間に合わないことがあるので、日頃から準備しておいてほしいです。
- 被災者生活再建支援制度: 基礎支援金は被災から13ヶ月以内、加算支援金は37ヶ月以内が目安(制度適用通知が前提)
- 事業者向け補助金: 公募期間が短く、年1〜2回しかない制度が多い。「気づいたら終わっていた」が最大のリスク
- GビズID: 申請から取得まで2〜3週間かかるため事前準備が必須
今日はたくさん教えていただきありがとうございました! まとめると、兵庫県はどんな特徴がありますか?
3つのポイントにまとめると、(1)阪神・淡路大震災の経験を活かした独自の防災文化推進制度(ひょうご安全の日助成金)がある、(2)南海トラフ地震に備えたエネルギーレジリエンス系の補助金が充実している、(3)被災者生活再建支援は国の制度ですが、罹災証明書を早めに取ることが鍵になる、という感じですね。
そうです。補助金を「災害が起きてから探す」では手遅れになることも多い。今のうちにGビズIDを作っておく、自社のBCPを確認しておく、地域の自主防災組織に参加しておく。それが最大の防災対策です。
南海トラフのリスクが高い兵庫県だからこそ、早めに動くことが大切なんですね。本日はありがとうございました!