栃木県の災害・感染症対策補助金の全体像

栃木県の災害・感染症対策補助金 種類別チャート
栃木県の災害・感染症対策補助金 種類別チャート
佐藤

佐藤

編集長

室谷さん、栃木県で災害対策や感染症対策に使える補助金って、正直どのくらいあるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

想像以上に多いですよ(笑)。国の制度だけで常時10〜20件、栃木県独自の制度や市町村レベルまで含めると80件以上が該当してきます。
佐藤

佐藤

編集長

えっ、80件! そんなにあるんですか。
室谷

室谷

代表取締役

そうなんです。しかも「災害」って一口に言っても、自治体が防災インフラを整備するものから、被災した中小企業が事業を再建するもの、農業者が農地を復旧するもの、NPOがボランティア活動を行うものまで、対象者と用途で全然違う補助金が混在しているんですよ。
佐藤

佐藤

編集長

あー、それは整理しないとわかりにくいですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうなんです。まず大きく4種類に分けると頭が整理されます。防災インフラ整備、感染症対策・BCP強化、被災事業者支援、農業・農地の災害対策、この4軸で考えるとすっきりしますよ。
佐藤

佐藤

編集長

その4軸、全部聞かせてください!

【事業者・自治体向け】防災インフラ整備の補助金

室谷

室谷

代表取締役

まず1番スケールが大きいのが、防災インフラ整備系です。栃木県内の自治体が避難所や防災拠点に非常用発電設備・燃料備蓄設備を入れる場合、国から10分の10の定額補助が出るんですよ。
佐藤

佐藤

編集長

10分の10って、全額ですか!?
室谷

室谷

代表取締役

そうです。令和7年度「災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金」という制度で、石油製品タンクや石油ガス災害バルク等の設備導入費用が対象です。事業費総額で最大161億円規模のプログラムです。
佐藤

佐藤

編集長

161億円(笑)。もう国が本気って感じですね。
室谷

室谷

代表取締役

令和8年度も継続されていて、令和8年度版もありますよ。対象は自治体と、避難所や老人福祉施設など「社会的重要インフラ施設」を運営する法人が中心です。
佐藤

佐藤

編集長

民間企業は?
室谷

室谷

代表取締役

民間でも、停電時に自立して動けるコジェネ設備を入れるなら、令和6年度 災害時の強靱性向上に資する天然ガス利用設備導入支援事業費補助金が使えます。補助率は1/2か1/3で、上限3億6,000万円。工場や病院がBCP(事業継続計画)対応でガスコジェネを入れる際に実績が多い補助金です。
佐藤

佐藤

編集長

3億6千万円、これも大きいですね。
室谷

室谷

代表取締役

環境省でも似たものがあって、公共避難施設・防災拠点への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業という補助金です。太陽光発電+蓄電池の組み合わせで防災拠点を強化する場合に使えます。令和8年度版も公募中なので要チェックです。
佐藤

佐藤

編集長

インフラ整備系だけでもかなりありますね。

防災インフラ整備の主要補助金(栃木県対象)

感染症対策・BCP強化の補助金

佐藤

佐藤

編集長

次は感染症対策ですか。2020年以降にすごく増えたイメージがありますが、今も使えるものあるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

コロナ特需の補助金は終わったものも多いんですが、「感染症対策」の枠組みで今も残っているものはあります。中小企業のBCP策定支援とか、デジタル化による感染リスク低減とか。
佐藤

佐藤

編集長

BCP策定って、補助金対象になるんですね。
室谷

室谷

代表取締役

経済産業省系の中小企業支援の補助金だと、IT導入補助金や業務改善助成金の中に「感染症対策」が申請理由として認められるケースがあります。あとは都市ガス系の令和7年度 都市ガス分野の災害対応・レジリエンス強化に係る支援事業費補助金、ガス事業者向けですが最大1億3千万円の補助が出ます。
佐藤

佐藤

編集長

ガス事業者向けなんですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうですね。栃木県は那須烏山市など内陸部でLPガス依存度が高い地域もあるので、LPガスの防災対応体制整備もあります。石油ガス地域防災訓練事業費補助金というもので、補助率10/10。上限300万円で防災訓練の実施・防災体制整備費用が出ます。
佐藤

佐藤

編集長

300万円で防災訓練できるなら活用しがいありますね(笑)。
室谷

室谷

代表取締役

実はこれ、あんまり知られていないんですよ。LPガス事業者を中心にした協議体が一緒に申請する形なので、地域のガス販売店さんに相談してみるといいです。

感染症・BCP関連で注意すること

  • コロナ対応の緊急補助金(持続化給付金等)は2023年度で終了。現在は「レジリエンス強化」としての申請が主流
  • IT導入補助金でのBCPツール導入は「デジタル化枠」で申請可能(年度ごとに要件変更あり)
  • 「感染症」単体の補助金は減少。「防災・減災+感染症」のセット訴求が通りやすい

【被災中小企業向け】事業再建の補助金

災害時の補助金申請フロー(栃木県)
災害時の補助金申請フロー(栃木県)
佐藤

佐藤

編集長

次は、実際に被災した事業者向けの補助金を教えてください。栃木県って2019年の台風19号でかなり被害が出ましたよね。
室谷

室谷

代表取締役

そうなんです。令和元年の東日本台風(台風第19号)で栃木県内も那珂川流域を中心に甚大な被害が出ました。その時に活躍したのが「グループ補助金」です。
佐藤

佐藤

編集長

グループ補助金ってどんな制度ですか?
室谷

室谷

代表取締役

正式名は「中小企業等グループ施設等復旧整備補助金」で、被災した中小企業がグループを組んで復旧事業計画を作り、施設・設備を整備する費用を補助する制度です。栃木県では令和元年・2年度に実施して、多くの事業者が活用しました。
佐藤

佐藤

編集長

今また台風が来た場合も使えるんですか?
室谷

室谷

代表取締役

大規模災害が起きれば国と都道府県が協力して再発動します。ただし申請は発災後の「復興事業計画の認定」が前提なので、平時から商工会や商工会議所と連携しておくことが大事です。
佐藤

佐藤

編集長

なるほど、事前準備が重要なんですね。
室谷

室谷

代表取締役

中小企業基盤整備機構(中小機構)の「災害復旧貸付」も重要で、上限1億5,000万円の低利融資で、被災後に運転資金や設備復旧資金として使えます。補助金ではなく融資なのですが、金利が一般より低く設定されていて、被災直後の資金繰りに欠かせない制度です。
佐藤

佐藤

編集長

融資も含めて押さえておいた方がいいですね。
室谷

室谷

代表取締役

さらに小規模事業者向けには「小規模事業者持続化補助金の災害支援枠」があります。能登半島地震等の場合は被災4県向けに特別な枠が設けられました。栃木で次に大きな災害が起きた場合も、同様の特別枠が設定されることが多いので、中小企業庁の動向を常にチェックしてほしいです。
佐藤

佐藤

編集長

常にチェック、ですね。災害って突然だから、事前に情報収集しておかないとですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうそう。特に災害後は申請期限が短いものが多いんです。罹災証明書の取得→被害確認→補助金選択→申請、この流れを3〜4週間で完了させないといけないことも。だから平時から「うちの事業所が被害を受けたらどの補助金を使うか」をシミュレーションしておくべきなんです。
1被災後すぐに市町村で罹災証明書を取得する(これがすべての出発点)
2被害の種類を分類する(建物・設備・農地・在庫・売上減少 等)
3事業者向け or 農業者向け or 個人向けで申請先を決める
4商工会議所 / 商工会 / 農協に相談し、申請書類を準備する
5補助金(返済不要)と融資(低利)を組み合わせて資金計画を立てる

農業者向けの災害対策融資・補助金

佐藤

佐藤

編集長

農業が盛んな栃木県ですし、農業者向けの制度も教えてください。
室谷

室谷

代表取締役

栃木県は那須野ヶ原の農地や日光・鬼怒川流域の農業が盛んなので、農業系の災害対策も充実しています。
佐藤

佐藤

編集長

主にどんなものがありますか?
室谷

室谷

代表取締役

まず「栃木県農漁業災害対策特別措置条例」に基づく低利融資制度があります。「災害経営資金」は農産物が平年より30%以上減収した農家向けで、上限200万円・損失額の45%まで貸し付けてもらえます。償還期間3〜5年、据置き1〜2年です。
佐藤

佐藤

編集長

農業って天候に左右されやすいですもんね。
室谷

室谷

代表取締役

「施設復旧資金」は台風や大雨でビニールハウスや農業施設が壊れた場合に使えます。上限600万円・施設復旧費の80%まで貸し付けで、償還期間7年・据置き2年と長め。これはかなり実用的です。
佐藤

佐藤

編集長

具体的な金額が出てくると、わかりやすいですね。
室谷

室谷

代表取締役

「農業近代化資金の災害復旧支援資金」というのもあって、こちらは市町長の認定を受けた農業者が、被災した施設や家畜等への再投資に使える制度です。上限は原則1,800万円、知事特認で2億円まで。償還期間7〜20年と長期です。
佐藤

佐藤

編集長

知事特認で2億円というのはかなり大きいですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうなんです。大規模農業経営者が農業機械や施設を失った場合に重要な制度です。申請には市町村の罹災認定が必要なので、被災直後に農業委員会や農協に相談するのがポイントです。
制度名対象上限補助率・融資率
災害経営資金農産物30%以上減収農家200万円損失額の45%
施設復旧資金農業施設被害農家600万円復旧費の80%
農業近代化資金(災害復旧)市町長認定農業者1,800万円〜2億円融資
天災融資制度天災被害農林漁業者条例で定める低利融資

栃木県独自の災害支援助成金

佐藤

佐藤

編集長

栃木県独自の特色ある制度はありますか?
室谷

室谷

代表取締役

県独自の制度として注目なのが「栃木県地域福祉振興基金(栃の実基金)による災害支援活動助成事業」です。
佐藤

佐藤

編集長

栃の実基金、聞いたことない(笑)。
室谷

室谷

代表取締役

栃木県社会福祉協議会が運営する基金で、NPOや市民団体がボランティアで被災支援活動をする場合に最大20万円の助成が出ます。市町社協や民間非営利団体が対象で、令和8年度は令和8年12月末日が申請締切です。
佐藤

佐藤

編集長

少額ですが、ボランティア団体にとってはありがたいですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうなんです。商業利用ではなく、純粋に被災者を助けようとしている団体が申請できる。しかも「すでに終了した活動でも申請可能」という珍しいルールがあって、活動しながら後から申請できるんです。
佐藤

佐藤

編集長

それは動きやすいですね!
室谷

室谷

代表取締役

栃木県には過去の台風19号被害を踏まえた「中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業」の財産処分管理も継続しています。グループ補助で取得した資産を売却・転用する場合は県知事の事前承認が必要で、産業労働観光部商工振興課が窓口です。
佐藤

佐藤

編集長

補助金を使った後のルールも知っておかないといけないんですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうです。特に事業売却や廃業の際に補助金で購入した設備を処分する場合、無届けだと返還を求められることがある。これ知らずに困る人がけっこういるんですよ。

補助金で取得した資産の処分に注意

グループ補助金等の補助事業で取得・整備した設備・施設は、原則補助金交付後5〜10年以内は勝手に処分できない。廃棄・売却・転用・担保設定を行う場合は、事前に県知事(産業労働観光部商工振興課)の承認申請が必要。無断処分は補助金返還の対象になる。

補助金の選び方 - 事業者 vs 農業者 vs NPO

佐藤

佐藤

編集長

結局、誰がどの補助金を選べばいいんですか? 整理してほしいです。
室谷

室谷

代表取締役

はい、シンプルにまとめますね。まず「自分は何者か」で大きく3分岐します。
佐藤

佐藤

編集長

なるほど。3分岐で教えてください。
室谷

室谷

代表取締役

1つ目、商工業者・飲食店・サービス業なら「小規模事業者持続化補助金の災害支援枠」や「中小機構の災害復旧貸付」が基本セットです。商工会議所か商工会に申請書類の相談に行くのが最短ルートです。
佐藤

佐藤

編集長

2つ目は?
室谷

室谷

代表取締役

農業者・漁業者なら「栃木県農漁業災害対策特別措置条例」の融資制度と「農業近代化資金の災害復旧支援資金」。農協(JA)に相談すれば一緒に申請をサポートしてくれます。
佐藤

佐藤

編集長

3つ目は?
室谷

室谷

代表取締役

NPO・ボランティア団体・市民活動グループなら「栃の実基金の災害支援活動助成事業」です。栃木県社会福祉協議会が窓口で、活動が終わった後でも申請できるので柔軟です。
佐藤

佐藤

編集長

自治体の場合はどうですか?
室谷

室谷

代表取締役

自治体は「燃料備蓄推進事業費補助金」「防災拠点エネルギー設備導入推進事業」など経産省・環境省系の大型補助金がメインです。10/10補助のものも多いので、防災担当課が積極的に取りに行く価値があります。
申請者タイプおすすめ補助金相談窓口
商工業者・小規模事業者持続化補助金災害支援枠、中小機構融資商工会議所・商工会
農業者・漁業者災害経営資金、農業近代化資金JA・農協、農業委員会
NPO・市民活動団体栃の実基金助成事業栃木県社会福祉協議会
自治体・公共施設燃料備蓄補助金、防災拠点エネルギー設備補助産業労働観光部・環境省
ガス・エネルギー事業者天然ガス利用設備導入支援、LPガス防災訓練補助経産省・資源エネルギー庁

申請のポイントと注意事項

佐藤

佐藤

編集長

申請で気をつけることを最後に教えてください。
室谷

室谷

代表取締役

いちばん重要なのは罹災証明書の早期取得です。市町村の窓口が混雑するので、被災後48時間以内に申請窓口に連絡することをすすめます。
佐藤

佐藤

編集長

タイミングが大事なんですね。
室谷

室谷

代表取締役

あともう一つ、「補助金は後払い」が基本という認識を持ってほしいです。先に費用を立て替えてから請求するので、キャッシュフローの余裕がない場合は融資と組み合わせる必要があります。
佐藤

佐藤

編集長

後払いは盲点でした(笑)。
室谷

室谷

代表取締役

融資で先に資金を確保して復旧工事を進め、補助金が採択されたら返済に充てる、このダブル活用が実務的です。中小機構の災害復旧貸付は融資実行が早く、発災後の緊急対応に向いています。
佐藤

佐藤

編集長

なるほど。補助金だけに頼らず、融資との組み合わせが重要なんですね。
室谷

室谷

代表取締役

そうです。栃木県の場合、産業労働観光部の経営支援課金融担当に連絡すると、公的金融機関の相談先を教えてもらえます。電話一本で複数の制度についてまとめて相談できるので、まずはここに連絡するのが効率的です。

災害発生後の行動チェックリスト

  • 罹災証明書の申請(発災後48時間以内に市町村窓口へ)
  • 被害状況の写真記録(補助金申請の証拠として必要)
  • 商工会議所・農協への相談(申請書類サポートあり)
  • 中小機構の災害復旧貸付で緊急資金を確保
  • 補助金は後払いなので融資と組み合わせた資金計画を立てる
  • グループ補助金は複数事業者で連携申請が条件(商工会にグループを作ってもらう)

まとめ

佐藤

佐藤

編集長

今日は栃木県の災害・感染症対策補助金をいろんな角度から教えてもらいました。想像以上に多かった!
室谷

室谷

代表取締役

そうなんですよ。防災インフラ整備の大型補助金から、NPOの20万円助成まで、対象者と目的によってまったく異なる制度があります。ポイントは「自分は何者か」と「何に使いたいか」を最初に明確にすること。
佐藤

佐藤

編集長

平時のBCP策定も大事という話もありましたね。
室谷

室谷

代表取締役

災害は突然来ます。栃木県では台風19号の教訓から、農業者向け融資制度や中小企業向けグループ補助の体制が整ってきています。今使えるかどうかに関係なく、「うちはどれを使うか」を事前にシミュレーションしておくだけで、いざという時の対応速度が全然違います。
佐藤

佐藤

編集長

日頃から準備しておくのが大事なんですね。ありがとうございました!
室谷

室谷

代表取締役

最後に、栃木県内の補助金情報は栃木県の補助金一覧ページでまとめて確認できます。市区町村単位で絞り込む場合は宇都宮市那須塩原市など各市のページも参考にしてみてください。